「パキコロイドの登場で加齢黄斑変性診療はどう変わったのか」を聴講しました。

2023/3/11、神戸アイセンターで山城健児 高知医大教授の講義を受講しました。


パキコロイドは以前も書いた、分かりにく~い概念である。
講義後「論点が整理され、明解になった」とおっしゃるが、小生、一層わからん次第。

御高演によると、

  • ドルーゼン関連→古典的AMD+PCV+RAP
  • パキコロイド関連→中心漿液性網膜剥離とその関連疾患

と分類されてきたが、欧米学派はPCVをパキコロイド関連に入れようと画策している。
しかし、PCV症例を多く見ている日本人学者は「それは、無理があるやろ」といってるらし。

 …… ・ω・ … ・ω・ … ・ω・ …………

かくの如く、黄斑屋さんは、昔っからterminologyをめぐり「咄!」「點!!」をやってる。
市井の臨床医は、しかし、高僧には敬意を払いつつ、宗教論争を遠ざけねば、と感じる。

今回の講義から日常臨床にフィードバックできること

  • PCVと古典的AMDを分けることに、あんまし意味はない。ポリープはAMDの新鮮病巣を見ているだけ(かも)である。
  • 硝子体注射薬の山城先生の感触
商品名 効き目
ルーセンティス
ラニビズマブBS(≒ルーセンティスのゾロ)
アイリーア
バビースモ 中(~強)
ベオビュー
各種硝子体注射薬
  • TAE(Treat and Extend)が主流となる。PRNのように経過観察はなしで、必ず治療して間隔をあけていく。

2024/10/16追記

「欧米学派はPCVをパキコロイド関連に入れようと画策」についてだが、欧米学派に一票を投ずる。慢性型ICSCとかPCV。のOCT像はよく似ている(と、感じられる)。慢性型ICSCでもdouble layer sighはみられる(と、思う)

MIGS(低侵襲緑内障手術)について(第4版)

「達人に学ぶ!最新緑内障手術のコツ」から、島根医大教授 谷戸正樹先生 の序文を引用させていただきます。

ほんの10年前には、眼外法のトラベクロトミーとトラベクレクトミーの2種類だけが主たる手術の選択肢でした。前者は眼圧下降効果がマイルドである代わりに過度の低眼圧や濾過胞感染等の晩期の合併症が少ない、後者は強力な眼圧下降効果が期待できる反面、術後の管理が煩雑で視力低下につながる合併症の危険性が比較的高いといったが特徴がありますが、この2術式だけでは種々の状態の緑内障患者さんすべての要望・要求を埋めることは困難で少なくないアンメットニーズが存在しました。

このような背景のなかで、近年大きな変革が2つありました。

1つは、低侵襲緑内障手術(MIGS)と呼ばれる一連の眼内法による流出路再建術の登場です。
本邦では、iStent、カフークデュアルブレード、マイクロフックabinternoトラベクロトミー、スーチャートラベクロトミー眼内法等が代表的なMIGS術式として行われています。
MIGSは、眼表面への低侵襲性や白内障手術との相性の良さから、多剤併用と従来の観血手術の間を埋める眼圧下降治療法として定着してきました。

もう1つは、瘢痕化が起こりやすい角膜輪部をバイパスし眼球赤道部に房水濾過を行うチューブシャント手術の登場です。
本邦では、アーメド緑内障バルブとバルベルト緑内障インプラントが保険診療で行われています。
チューブシャント手術は、トラベクレクトミーの効果が期待できない症例で、トラベクレクトミーと毛様体破壊術の間を埋める選択肢を提供しています。
また、マイクロパルスを用いた毛様体光凝固術は、MIGSとして、あるいは、トラベクレクトミー後の治療法として、両端の選択肢となる可能性があります。

以上を、以下のごとくに分類しました。

[su_spoiler title=”MIGS関連” open=”yes” icon=”folder-2″ class=”my-custom-spoiler”]
[_su_spoiler title=”ロトミー系” open=”yes” icon=”folder-2″ class=”my-custom-spoiler”]
[__su_spoiler title=”トラべクトーム” open=”yes” icon=”folder-2″ class=”my-custom-spoiler”]

トラベクトーム手術研究会発売元のKOWA によると、

  • 結膜・強膜を切開せずに、角膜を1.6mm切開し、専用機器を使い内側から線維柱帯を電気焼灼し、房水の流出率を改善します。
  • 当初は、製造元であったNeoMedix社の強い意向によりライセンス制がとられていましたが、トラベクトームのすべての権利がMicroSurgicalTechnology社に継承されたことにより、ライセンスは不要となりました。今後は、講習会に代わり、新たに設けられたe-Learningを受講していただくことになります。
  • 所感:オワコン?

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[__su_spoiler title=”カフークデュアルブレード” open=”yes” icon=”folder-2″ class=”my-custom-spoiler”]

  • 平行に設置されているデュアルブレードにより線維柱帯を帯状に切除することができる。
  • トラベクトームが電気的に焼灼・切除するのに対して、2枚刃による切除であるため熱による組織障害を生じない。
  • マイクロフックに比べると大きいことから、虹彩や角膜内皮細胞を損傷しないよう前房内操作にはより注意が必要である。
  • 線維柱帯を帯状に切除するため,術後は周辺虹彩前癒着が生じやすく,ピロカルピン点眼が予防に効果的である。
  • 所感:マイクロフックに昇華?

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[__su_spoiler title=”マイクロフック” open=”yes” icon=”folder-2″ class=”my-custom-spoiler”]

  • マイクロフックトラベクロトミーには、ストレートフックと2種類のアングルフックがあり、それらを使用して鼻側と耳側線維柱帯・シュレム管内壁の切開を試みるデバイスである。
  • 従来のトラベクロトミー眼外法と比べ、手技が簡便で、直接線維柱帯を視認できる正確性から多くの施設で行われるようになっている。
  • 術前眼圧25.9mmHg→14.7mmHg、白内障同時手術で術前眼圧16.4mmHg→11.8mmHgで従来のトラベクロトミー眼外法と同等の効果がある。
  • 所感:従来のレクトミー、ロトミーの塗炭の苦行に比べれば簡単そうだが、緑内障ガイドラインのたまうに「十分な隅角手術の経験のある術者が行うべき手術であり,安易に行うことは厳に慎むべきである」マジ?
  • マイクロフック手術動画

  • cf.教育セミナー

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[_/su_spoiler]

[_su_spoiler title=”通糸系” open=”yes” icon=”folder-2″ class=”my-custom-spoiler”]
[__su_spoiler title=”スーチャートラベクロトミー” open=”yes” icon=”folder-2″ class=”my-custom-spoiler”]

  • スーチャートラベクロトミーは隅角鏡を使用して、眼内からシュレム管内に糸を挿入しその全周を切開して眼圧を下降させる術式であり、切開範囲が120度程度にとどまる従来のトラベクロトミーよりも大きな眼圧下降が期待できる。
  • 角膜にサイドポートを2~3か所作成して前房内を粘弾性物質で満たし、鼻側の線維柱帯の一部を眼内から切開する。その後、糸をシュレム管内に挿入し,全周通過した場合には糸の両端を締めて線維柱帯を360度切開する。
  • 術後の合併症としては.前房出血と一過性眼圧上昇がある。

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[_/su_spoiler]
[_su_spoiler title=”毛様体凝固系” icon=”folder-2″ class=”my-custom-spoiler”]
[__su_spoiler title=”マイクロパルス” icon=”folder-2″ class=”my-custom-spoiler”]
2023/3/20ごろ、掲載予定
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[su_spoiler title=”チューブシャント関連” open=”yes” icon=”folder-2″ class=”my-custom-spoiler”]
[_su_spoiler title=”アーメド緑内障バルブ” icon=”folder-2″ class=”my-custom-spoiler”]
2023/3/27ごろ、掲載予定
[_/su_spoiler]
[_su_spoiler title=”バルベルト緑内障インプラント” icon=”folder-2″ class=”my-custom-spoiler”]
2023/4/6ごろ、掲載予定
[_/su_spoiler]
[/su_spoiler]

☞未掲載部分については、追ってご報告予定です。


記載履歴

  • 2023/2/20 トラべクトーム記載了
  • 2023/2/26 カフークデュアルブレード記載了
  • 2023/3/5カフークデュアルブレード加筆、マイクロフック記載了
  • 2023/3/12 スーチャートラベロトミー加筆
  • 2023/3/19 マイクロフック手術動画追加

MIGS(低侵襲緑内障手術)について(AIバージョン)

緑内障ポリサージェリー後で、眼圧⇧につき大学紹介した。手術リスクがある症例だった。
しかし、サクッと「繊維柱帯切開術を施行しました」と御返事。

ゔ~むぅ、よって、MIGSについて調べる。

まずは、ChatGPTのご託宣。

MIGSとは、低侵襲緑内障手術(micro invasive glaucoma surgery)の略で、眼への負担の少ない緑内障手術の総称です²³。眼圧下降効果は従来の手術に比べて弱めですが、合併症の少ない安全性の高い手術です²³⁴。

MIGSの手術は、目薬のみの麻酔(点眼麻酔)で施行可能で、5~10分で施行可能な手術です⁵。MIGSには、マイクロフック法とiStent (アイステント)とという2種類の手術があります¹³。

マイクロフック法とは、線維柱帯に小さな切開を入れて、目の中の水(房水)の流れを改善する手術です¹³。切開は、0.5mm以下の大きさで、自然に癒着します¹³。
iStent (アイステント)とは、線維柱帯に直接穴を開けて、目の中の水(房水)を排出するための小さなチューブを挿入する手術です¹³。チューブは、米粒の1/3の大きさで、目に入れても違和感はありません¹³。

白内障手術との相性が良く、白内障手術と同時に行って手術の負担を減らすことができます³⁵。

上記以外では、SLOT(suture trabeculotomy)67を聴き及ぶ。

が、ともかく、MIGSといえばマイクロフックで、マイクロフックといえば谷戸フック(らしい)7
かおりの逆フックなる、フックするかされたくなるHookもあるらしい。

諸事、次回以降。。


(1) 当院での低侵襲緑内障手術(MIGS)について|のみやま眼科 https://www.nomiyama-ganka.jp/migs
(2) 低侵襲緑内障手術(MIGS) | 岡本眼科クリニック. http://www.eyecenter.or.jp/service08/
(3) 緑内障手術 | 低侵襲緑内障手術を解説 | くりっくeye. https://clickeye.jp/disease/glaucoma-surgery/
(4) 低侵襲緑内障手術(MIGS:microinvasivegulaucomasurgery …. https://morii-ganka.jp/operate/migs
(5) http://www.eyecenter.or.jp/service08/
(6)Full article: Outcomes of 360° suture trabeculotomy with deep sclerectomy combined with cataract surgery for primary open angle glaucoma and coexisting cataract (tandfonline.com)
(7)達人に学ぶ!最新緑内障手術のコツ(全日本病院出版会) OCULISTA2021.1月号No.94


2023/3/5追記
「かおりの逆フック」は、緑内障マイクロフックとは無関係で、「核片の下に粘弾性物質を敷き、後嚢との間にスペースを作ったら、その空間で、核の下に逆レンズフックを潜り込ませます。先端は上を向いているので、後嚢とは屈曲部のみが接するため、破損の危険無く挿入出来ます」でした! が、ブラインドで「核の下に逆レンズフックを潜り込ませます」のは怖いな。flipflopする方がまだしも安全かな?

cf 森井式眼内レンズフック“かおりの逆フック” | | 手術器具 | 株式会社イナミ (inami.co.jp)

オンライン資格確認に対応しました。

ベンダーには頼まず自力構築したが、とても面倒である。

登録する必要があるサイト

  1. オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係医療機関等向けポータルサイト:申請状況の把握。
  2. 医療機関等ONS(ベンダー向けサイト):各種ドキュメントの保管場所。認証アプリが必要でGoogle Authenticatorを採用す。半年アクセスしないとパスワードが失効する。
  3. 電子処方箋(システムベンダ向け) |厚生労働省 (mhlw.go.jp) ← 電子処方箋について追加。

読むべきPDF

  1. 医療機関等向けセットアップ手順書(資格確認端末編):全体の流れはこれ。
  2. オンライン資格確認等システム接続ガイド(IP-VPN 接続方式):IPv6のDNS設定はこれの7頁。
  3. オンライン請求ネットワーク関連システム共通認証局ユーザーマニュアル(Windows ChromiumEdge)+ オンライン請求ネットワーク関連システム共通認証局電子証明書の発行等申請の手引き:証明書関連はこれの前者の5頁と、後者の17頁。証明書ダウンロード時にIPv4の接続を同時存続させると「オンライン請求の電子証明書更新で発行申請サイトが表示出来ない問題」が発生する模様。
  4. ネットワーク接続確認ツール導入・操作手順の2頁
  5. XMLレイアウト(オンライン資格確認)業務コード仕様(オンライン資格確認):取り出したxmlの解釈はこれ。

医療機関等ONS上のpdfは無数で、かつ、乱雑に放置されている。上記のみに絞るがよろし。

参考サイト

  1. オンライン資格確認向けルーター設定方法YAMAHA:IPv6系とIPv4系は分離した。
    IPv6のDNS設定はルータに設定すれば必ず降ってくるわけではなく、「PCのTCP/IPv6の優先DNSサーバーアドレス/代替DNSサーバーアドレスをオンライン資格確認等システム接続ガイド(IP-VPN接続方式)で記載されているDNSサーバーアドレスに設定していただく必要があります」
  2. カルテメーカー.番外編:電子カルテ屋さんのようですが、自力諸氏が参考サイトに挙げてる。非常に実践的。

当院では、既存の保険証OCRシステムと統合した。
ただ、取り出したxmlの仕様書が今一で、サンプルデータもくれない。よって、on the flyで解析するしかなく、それってどうなん?

全般にお役所仕事な印象、つまり「拠らしむべし、知らしむべからず」で、導入者が苦しもうが、それは「国民の責任!」みたいな感じです。

 


2024/11/30追記

オンライン請求ネットワークサポートディスク0120-220-571で問題解決のサポートを受ける事が可能。

眼内レンズの入れ替え手術

眼内レンズの度数変更を希望する場合に行う手術。

  1. 眼内レンズとカプセルの癒着を粘弾性物質ではがす。
  2. レンズを前房に脱出させる。
  3. レンズ切断鋏でレンズ分割。
  4. 分割片を摘出

という手順で、カプセルと角膜内皮に留意すれば、簡単な手技である。

つかう鋏は

参考動画

術後屈折度にコンシャスな患者さんが増えており、変更希望があれば間を置かず実施するのが良ろし。

2023年の目標(説明編)

「詳しく説明してもらいたい」が、「滞在時間は短く」という人はかなりいる。
一方で「時間がかかっても、詳細に病状説明して欲しい」という人もいる。

ただ、僕が思っている以上に急ぎ人は多く、タイパが訴求されているか?と感じる。

よって、express ムンテラとかexpress会計を、整備する予定です。

2023年の目標(近視治療編)

 近視治療で、ミドリンMを使ってる患者さんには、裸眼視力の推移を入力したカードを手渡している。
眼科クリニックの伝承芸である。

 本年は、アトロピン点眼・オルソケラトロジーを実施している患者さんに、眼軸長、屈折度の変化グラフをアプリケーションで提示したい。
近視研究の論文では必ず、等価球面度数と眼軸長の変化が提示されているからである。
 ☟

Myopia control with novel central and peripheral plus contact lenses .. より引用

 当院独自のアプリをネイティブかWebアプリで配布したいと思い、そんな格好いいことが実現できるんかいな~とも想ふ。

2023年の目標(手術編)

挿入レンズのターゲットずれを極小化する
そのためには、リアルタイムでズレ検出し、フィードバックをかける必要がある。

既に、当院では、術後屈折をデーターベース化&グラフ化しているが、
①採用レンズが多岐にわたる。
②全患者さんのデータをとってくる。
ため、集計に長時間かかる。

そこで、ISAMデータベース(MDB)はやめてSqlServerに移植する予定。

AI画伯

本年も、よろしくお願いします。ᕱ⑅ᕱ


☞当院の決定式はBarrett Ⅱ。現在のところ、、
・アイハンス→ほぼねらい目通り。
・クラリオン→0.5~0.8Dくらい近視化。
・NIDEK→ほぼねらい目通り。
NIDEKレンズはやや入れにくいような気がするが意外と優秀。
圧倒的に入れやすいのがクラリオン。

2022年の反省

年初の展望が実現できたかを、振り返る。

手術編

アイハンスを積極的に適用した年だった。
・供給不安定のため、年途中では優先希望者にしか挿入できなかった。
・アイハンスは夢のIOLというほどでもなく、加入度数が弱い+微小なハログレが存在することがわかった。
2023年は、患者さんの要望を聞いたうえで、Alconのクラリオン、HOYA発売予定のEDoFレンズの使用&併用を進めていく所存。

  

説明編

・入力をSpeech-To-Textエンジンでリアルタイムに行う。→当初AmiVoice使ったがいまいちで、途中からGoogleVoiceを使った。ある程度成功。
・スタッフの人員余力、患者さんの待ち時間をリアルタイムで把握して配分する。→できず。
・Web上で公開している説明紙を、各人のLINE上に直接配布する。→需要がない(?)のでやらず。LINEに関しては、公式アカウントからの診察申し込みが多く、このSNSの影響力を思い知った。

リモート診察編

老眼治療薬の自費診療と相性がよい。老眼年齢の人はITリテラシーが高いのである。
・高齢患者さんでは、つききりで1時間説明しても不可なことがあった。個人差は大きく、困っている人ほど利用しずらいという印象。。

近視治療編

・オルソケラトロジーのレンズでブレスオーコレクトを選択する人が多くなった。
・日本人に合ったレンズを評価する向きが多いという印象で、導入してよかったと感じる。
・シードピュア1DayピュアEDoFも導入したが、オルソケラトロジーよりは近視抑制効果が薄い印象であった。