ライカの手術顕微鏡を導入しました。

従来より手術顕微鏡と云えばZeiss一択で、当院でも長きにわたって同社製OPMI MDOを使用してきました。
OPMI MODは名機で、あえて最新機種を使わず頑固にこの機種を使い続けるサージャンも多いときく。

当院のOPMI MODも相変わらず視界は良好なんだが、いかんせんXY軸の動きが鈍くなってきたので、A社、T社、Z社のデモ機を比較してLeica顕微鏡を選定しました。


以下、ライカ社と他社レンズの比較


ZeissとLeicaの見え具合が図抜けていることは間違いない。
Leica顕微鏡は、加えて術者の願望をかなり上手にくみ取っていることがわかる。一方のZeiss社はやや名声に胡坐をかいてる感あり。

私は「周到な準備+最高の装備+不断の研鑽」こそが、結果を産むと信じでいる。
当院ではLeica顕微鏡で引き続き、バリバリ手術続行していく所存ですので、よろしくお願い申し上げます。

新しい近視治療点眼薬(慶応大学とロート製薬の共同研究)

日経新聞に目薬で近視の進行抑制という記事が掲載されました。
アトロピンクロセチンとは異なる機序の新薬を、坪田先生とロート製薬が共同研究しているという内容。

ロート製薬に問い合わせ、下記のScleral PERK and ATF6 as targets of myopic axial elongation of mouse eyesを教えていただきました。


マウス実験で

endoplasmic reticulum(ER) stress(※)↑→ PERK and ATF6系の活性↑→眼軸長↑
 ⇩
4-phenylbutyric acid (4-PBA)投与→endoplasmic reticulum(ER) stress↓→眼軸長↓
 ⇩
4-phenylbutyric acid (4-PBA)は、近視治療に有望である。

と、いうのが2022/10発表の論文骨子である。

 

この度、国内第I相臨床試験(以下、「本試験」)に向けての準備が整いましたので、本試験を開始いたします。

と、いうのが2023/11発表の記事である。

 

坪田先生はベンチャー経営されているだけあって、動きが速いなと感心する。

ただ、violet lightといい、意外と実用化に時間かかる感じでありましょうか。


(※)小胞体の中に、折り畳み不全のタンパク質が蓄積したときに認められる状態のことをendoplasmic reticulum(ER) stressといい、4-phenylbutyric acid (4-PBA)は、この折り畳み不全タンパク質が正しく折りたたむのを手助けするchaperone(介添え人)として働くらしい💦

左は正常眼の強膜線維芽細胞、右は折り畳み不全のタンパク質が蓄積した近視眼の強膜線維芽細胞

受動喫煙で近視が進む

この研究によると、

  • 受動喫煙群では等価球面度数が0.09D、眼軸長が0.05mm伸長していた。
  • 中等度近視と高度近視のオッズ比は、それぞれ1.30、2.64となる。
  • 近視の平均発症年齢が低くなる。

高度近視のオッズ比、高いな。
近視児の両親に「タバコ吸ってませんね?」と確認せねば、、である。