高次非球面レンズ(単焦点プラス)についての論文を読みました。

大鹿先生のチームがかいた Visual function and patient satisfaction with 3 types of monofocal plus intraocular lenses をよみました。

当院でも使用中の、単焦点プラスレンズ AMOアイハンス, NIDEK NSP-3, HOYA Vivinex ImpressEM についてです。

・デフォーカス曲線は↓の通り。

=アイハンス =NSP3 =HOYA

・遠方矯正中間視力(=遠方眼鏡をかけた状態で、中間距離(約60-70cm)を見た時の視力)は↓の通り。

・要旨

  • 70cmでの遠方矯正中間視力はHOYA Vivinex ImpressEM > アイハンス
  • 眼鏡不要度は HOYA Vivinex ImpressEM > アイハンス、NSP-3
  • 夜間運転時の満足度は、アイハンス > NSP-3

・感想

PanOptix Proが2026年春ごろの発売予定です。

PanOptix ProはPanOptixを進化バージョンで、エネルギーロスを12%→6%にまで改善ということです。
その結果「回折格子そのものの物理的なステップ構造(高さ・配置)を見直して、効率よく光を使うように改善した」「コントラスト感や視覚の鮮明さが向上した」

ENLIGHTEN技術 も、ENLIGHTEN NXT技術 に改名されるらしい。

 


EDoF系のOddyseyと同レベルのエネルギーロスとなったといえる😲

 

グラナテックの角膜内皮保護作用

最近の白内障手術は、超音波時間は短いし、かつ、内皮保護の粘弾物質もふんだん使うしで創傷burnは発生しない。

しかし、難症例で遷延化すると、、起こる。
術後にグラナテック(リパスジル、ROCK阻害薬)を使用すると、内皮保護に役立つと聴き調べた。

上記論文を読んだ感じでは、1日2~3回の点眼を半年くらいまで続けることによって、有意に内皮減少を防げるようです。

過熟白内障の手術

過熟白内障の手術でも、真白白内障はまだ行けるが、褐色白内障は危険寄りの困難症例だ。

とことん手術ためらったあげく、やっぱりやろかな~、、となったような人に見られる。

なぜ難しいかというと、褐色白内障は後極部がもちのように粘着していて、chopがきかない。devide&conquerで少しづつ削ってなお、粘着したままである。しかも、後嚢が脆弱で、超音波時間はマシマシになる。

↑の CataractCoach 1382: hyper mature cataract MSICS みたくECCE風味で処理したほうがいいのかもしれん。ビデオ内では「シンスキーフックで娩出時の内皮を保護」といってる。
ただ、manual small incision cataract surgeryというが、small incisionにみえんなー。

 

↑の Mature & hypermature cataract surgery by Phacosection. Safe surgery in high myopia. では、核を半分に割ってviscoextraction気味に核娩出をおこなっっている。
ただ、Safe surgeryというが、safeにみえんなー。

TECNIS PureSee Premium Nightに出席しました。

臨床眼科学会@リーガロイヤルと並行開催でした。
冒頭「SNS公開等まかりならん!」とのお達しあり、詳細は控える。

大鹿 哲郎教授 (筑波大学)

・市場シェアはEDoFが3焦点に追いつきつつあり、早晩逆転するであろう。

Tim Robertson教授(シドニー大学)

・オーストラリアは車社会であり、遠見視力、遠見でのdysphotopsiaの軽減が重視される。アジア圏の近方重視と異なる。
・アイハンスと違ってLogMAR視力≧0.2(≒小数視力0.63)の範囲が広がっていることに大きな意味がある。
・ハログレと明視距離はトレードオフの関係にあり、フリーランチはない。患者さんによく説明し、選択してもらう

ビッセン宮島弘子先生(東京歯科大学水道橋病院)

・トーリックレンズを選ぶ人が多い。
・正視と-0.75Dのモノビジョンの組み合わせにすると近方40cmの視力がよい。
・一眼目はFirst Minusとし、二眼目の度数差は症例によって調整。

質疑&応答
・アイハンスのモノビジョンなら保険適用だが、PuaSeeを選ぶ意義はどこにあるのか?
→Prof.Robertson:オーストラリアでは説明のうえ、患者に選んでもらう。monofocalは大きく入れ替わった。保険体系が日本とは異なる(よーなことを言ってた気がする)
→大鹿先生:両者の加入度数には明確な違いがある。(2.0D vs  0.5~0.75Dと当ブログは考えるが)大鹿先生は66cm vs 120cmといってた。
・ビッセン先生に「アルコンVivityと比べてどうすか?」と、お尋ねしたら「プラットフォームの違いで、好みを選べばいいでしょう」

感想
・前回「中間を膨らませたしただけ」といったが、実にこの中間を膨らませLogMAR視力≧0.2領域を広げた事にこそ意義がある、というね。

 


225/10/20 追記
オーストラリアでは、多焦点レンズが日本のかつての先進医療と同じような扱いであり、わずかな私的保険で多焦点レンズの適用となる。そのため、単焦点レンズが大きく多焦点レンズに置き換わったらしいです。

BarrettⅡ式のLensFactorとA定数

A-modeでしか、眼軸長が計測できない場合でもBarrettⅡを使えるんじゃね?と思うが、超音波測定時のLF(LensFactor)値は各社とも提供していない。
これは、BarrettⅡが優れて光学計測に依拠するからであり、即ち、提供していないのではなくて提供できないのである。

しかし、公開Web計算式ではLF or A-constant とあるんだから、A定数を放り込めば良いのでは!とも読める。
実際、内部的にはA定数からLF値を求めてるらしいが、実装は一切不明。
而して、これは、単に互換性を担保するだけの仕様であり、orは厳密な意味でのorではないと考えるべき。

回りくどくなったので、以下まとめる。

1.光学式で測定できるならBarrettⅡ+LF

2.超音波でしか測定できないなら、(第3世代)SRK-T(要A定数) < (第3世代)HofferQ(要pACD定数) < (第4世代)Haigis(要a0,a1,a2定数)

アポダイズ回折技術について

一時期、よくきいたアポダイズ回折って最近あまり聞かんな~、という件を調べました。

Examples of diffractive multifocal IOL designsより引用

アポダイズ回折とは「回折格子の高さや幅を、周辺から中心に向かって変化させる」ことによって、

  1. 明るい環境(瞳孔が小さいとき):主に中心部が働き、遠方と近方の光がバランスよく分配される → 日中の明るい環境では、中心部の回折構造が効き、近くの文字やスマホも見やすい。
  2. 暗い環境(瞳孔が大きいとき):周辺部は遠方光に多く振り分けられるようになっている → 夜間や薄暗い環境では、近方視よりも遠方視が優先されるため、運転などに有利。
  3. ハロー・グレアの軽減→光の分配を段階的に変化させることで、単純な多焦点レンズよりもコントラスト低下や眩しさが抑えられる。

ActiveFocus Restorで2017頃風靡したが、PanOptixやSynergyでは採用されていない。Odysseyのすりガラス状エッジや回折リング高↓はハログレ対策であって、アポダイズ設計とは無関係。

 


ではなぜ、アポダイズ回析が採用されなくなったかというと、以下のようである。多分。

  1. 瞳孔径に依存して光配分を変える設計に無理があった。瞳孔径や瞳孔反応性は、年齢や個人差が大きい。ので、瞳孔径に依存する設計は理論上よさげだが、実用上難点があった。
  2. 同様に、瞳孔が小さくならないと、中心部径3.6mmの回析構造が働かず近方視力を稼ぐことができない。

そこで、ALCONはアポダイズ設計を捨てて、PanOptixでは中心部径4.5 mmの非アポダイズド回折を採用したらしい。
称してENLIGHTEN技術であり、「これによって約 88 %の光が網膜へ到達するように設計されている」「周辺部の単焦点ゾーンが狭まることによる遠方視力低下は、遠方パワー配分を44%と増加させることによって補っている」といってる。

 

Gemetricに対するコメントも、上記経緯から漸く理解できる..のである。

PureSeeとEyhanceの比較

J&JがEyhance欠品中につき、PureSeeを提供してくれている。
で、両者の比較を行った。

以前、「デフォーカス曲線みると単焦点レンズやアイハンスの遠方~中間距離をやや膨らかしただけような気もする。」とかいた。

上記をみると、EyhanceをOddysey寄りに振ったという表現のほうがいいかも?

エネルギーロスは両者ともほぼ0%で、コントラスト感度曲線に差はない。

NIDEKのNSP-3について

アイハンスがま~たまた欠品なので、同様コンセプトを持つ他社製品を調べました。

いわゆる単焦点プラスとしては、このNIDEK NSP-3と、以前述べたHOYA ヴィヴィネックスインプレスEMがある。

NSP-3のデフォーカス曲線は

 

アイハンスとヴィヴィネックスインプレスを、以下に示す。

左:アイハンス 右:インプレス

 

NIDEKは加入度数≒0.75Dよりも、farのデフォーカス曲線が平坦になり測定ずれに強いことを強調したい感じだ。

↑は、僕が以前から言ってる論点で、眼軸長測定装置や計算式の改良と同じくらい重要だと思う。

HOYA インプレスは加入度数1.0Dをわりかしアピールしており、社によって戦略が異なるんだろうな。

 


 

☞加入度数を表立って言わないのは、単焦点レンズとして許認可とってるためらしい。

 

当院のミニモノビジョン

最近施行したミニモノビジョンの症例で、データがそろっている場合について、患者さん満足に何が重要かを調べました。

生データは

Patients evaluation Age 5mVision 70cmVision 30CmVision DominantEye TargetError ResisualError ToricLensInserted? Far Eye Posirion Near Eye Position Tear Film Thickness Non-Dominat eye Axis Length
Can read newspaper without glasses 85 1.2 0.5 0.4 Left -0.5 -0.625 no 0 8 18.5 24.93
Can see desktop without glasses.But can’t read a book. 66 1.5 0.7 0.7 Left -1.25 -1.625 yes 0 10 11 28.9
Can’t see well. 61 2 0.5 0.5 Right -0.5 -0.375 no 0 12 9.5 25.99
almos everything OK without glasses. 65 1.5 1 1 Left -1 -1.25 yes 14 20 19 26.86
can read a book. also can watch TV without glasses. 82 1 0.5 0.4 Right -1 -0.5 yes 0 6 19 24.38
can read a book without glasses. 67 1.5 0.6 0.6 Right -0.5 -0.375 no 2 10 15 25.38
seems to be able to rea a book without glasses. 72 1 0.3 0.3 Left -1 -1.375 yes 0 10 19.5 24.35

Julius ai によるご託宣、以下の如し。

MICROMONOVISION ANALYSIS SUMMARY
Key Findings:
– Distance vision (5m) is strongest predictor of satisfaction (r=-0.828)
– Tear film thickness positively correlates with satisfaction (r=0.696)
– Critical thresholds: Distance vision <1.5, Tear film >15m
– Unsatisfed patient is younger (61 vs 74.5 mean)
 

ま、この程度の症例数ではなんともいえんが、朧ろにみえるのは

  1. 遠見視力は出るほうがいいが、かといって2.0も出してはいかん。→ FarをFirst negativeにするだけではなくって、monovisionのdef値もnegative気味にするべき?
  2. ドライアイは治療しておく。→多焦点レンズと同じである。
  3. Unsatisfed patient is youngerは、アイハンス採用するなら若い方が良い、と相違するな。