「網膜硝子体手術 Update:術野の詳細観察が可能にする最新の術式とその威力」を聴講しました。

関西医大教授 今井 尚徳先生@西部地区眼科医会総会のご講演でした。

面白いと思ったのは

1.眼内レレズのフランジ手術を行う際に術中OCTを併用すると、眼内レンズの傾斜が抑制できる。

2.黄斑円孔に網膜フラップを設置するときも、術中OCTで正しくZ軸方向の位置同定が可能となる。

3.CME切開は、硝子体注射の難治症例のうちの50%~60%に対して効果がある。

教授就任式でいわれていた「単に手術がうまいだけというのではなく、それを定量的に科学に落とし込む」という意味合いがよく了解できました。

HOYAの眼内レンズVivinex EMについて

アイハンス(によく似たプロフィールのレンズで、EMとはEnhanced monofocalの意。

すなわち、「焦点深度深めで、farのdefocusが平ら気味、保険適応が効く」レンズである。

Defocus Curveは以下の通り。 アイハンスはこれ

構造は Vivinex Impress | Hoya Surgical Opticsによると、

同心円様の構造がわずかにみえる。

アイハンスは全くそのような構造物をもたない。

HOYAが主張する

アイハンスは0.5D~0.75D付加だが、EMは-1.0D付加できる。

というのは、このわずかな構造調整に依るのかもしれない。

新しい多焦点眼内レンズの選択手法「Paring」について

多焦点眼内レンズの焦点深度を深める手段として、HOYAからParingという新手法が発表されています。

左右のレンズでdefocus曲線のpeak値を変えるという点が新しい。
peak値のみを変えるのであっって、peak位置を変えるわではないのも佳い。

Vivinex Gemetricが通常の3焦点レンズで、Vivinex Gemetric Plusが近見のpeak値を底上げした3焦点レンズ。

Gemetric vs Gemetric Plus
Paring時には近見視力が改善する。

 

 

 

 

 

 

 

佐々木先生のFEST法を敷衍してるようでもあり、一眼手術後に近見満足度が高ければ対眼にもGemetricをいれ、不満ならGemtrci plusを入れる戦略である。(ただし、優位眼、非優位眼の選択は採らないらしい)

ミニウェルフュージョンシステムにも通じるが、回折格子の口径が全く同じというのが売り。
この部分が比較的小さいことにより、夜間ハログレをおさえ得るというのがHOYAの主張なのである。


後発なだけあって、いろいろと取り入れてるなとは思う。

日本ではようやく挿入され始めたばかりで、今度の日眼で一か月後の経過が発表される。
発表を聴いて、追ってご報告いたします。

 

多焦点眼内レンズのシミュレータ2

Johnson&JohnsonからAR Eyeというアプリがリリースされました。

「AREye」は、拡張現実(AR)の技術を用い、白内障の術前・術後の見え方を擬似体験できま丸スマートフォンのカメラを通して現実の風景をもとにバーチャルな映像を再現。白内障の方だけでなく、ご家族が白内障の不自由さを体験し理解を深めることにも役立ちます。

 

当院でも、多焦点レンズを希望する患者さんには体験してもらうことにしています。

☞ハロー・グレアが若干強めに出るような設定にしてるとのことでした。

京都QuolityOfVision向上研究会を受講しました。

ビッセン宮島先生のお話が聞けるというので受講しました。

トーリックレンズの話

  • 手術後の残余乱視は0.5D以下を目指す。
  • 直乱視を残したほうが偽調節が働くということはない。調節が働く要因は小瞳孔と角膜のmutifocalityである。
  • 日本ではトーリックレンズの採用率が1割程度。これは仕入価が高い+術前術中の操作が面倒なため。残余乱視≦0.5Dを目指すなら半分以上がトーリックとなるべき。

☞当院では半数弱がトーリックレンズ挿入しています

Odysseyの話

  • 回折格子形状がちがう。詳細な話はなかったです。

  • 術後オートレフ値はマイナスにでる。ので、自覚視力測定が大事である。Vivityもその傾向あり。
  • SynergyはFirstPositiveだったが、FirstNegativeを選択する。ここで担当さんが言ってた話。

  • デフォーカス曲線が-0.5D~+0.5Dまでほぼ直線である!そのためtargetずれに強い。

アイハンスVivityの項でも書いたが、デフォーカス曲線のFar平坦化は今後トレンドになるんでは?

 

HOYAの多焦点レンズVivinexについて

HOYAから多焦点レンズVivinexが発売されている。

PanOptix対抗だが違いは

  1. 回折格子の範囲が3.2mmである。PanOptixは4.5mm。したがって夜間運転時(瞳が散大する時)、グレハロが少ない。
  2. 中間が+1.75D、近見が+3.5D加入である。PanOptixは中間+2.17D、近見+3.25D。したがって近見が強い。

後発なので、ライバル社の欠点を消しに来てる印象。

A:PanOptix B:Synergy C:FineVision D:Vivity

当院でも、オプションとしてご説明の上、御希望の方には適用する予定です。

 

PhacoChop手法について

1.Horizontal chop

日本の術者のビデオをみると、horizontal chopを行っている場合が多い。僕もhorizontal派だ。

M -1112 中京式スパーテル(INAMI) (youtube.com)

Where do you place the probe to facilitate phaco chop cataract surgery? (youtube.com)  1:40~

phacoprobe just inside the sub incisional rhexis aimed toward the optic nerve not in the center of nucleus

2.Vertical Chop

海外の術者はvertical chopを採用している人も多い。

Routine Cataract Surgery – Vertical Chop Technique with Step-By-Step Narration | John Welling, MD (youtube.com) 3:24~

 

3.Horizontal vs Vertical

CRSTG | Europe Edition | The Basics of Phaco Chop Techniques (crstodayeurope.com) から抜粋。

Horizontal :Additionally, the very end of the tip must be dull, or even oliveshaped, to protect the capsular bag.

Vertical:in contrast to the dull distal end of a horizontal chopper, the end of a vertical chopper must be sharp to penetrate the nucleus easily.

horizontalの方は先が丸いものを使うことが、vertical chopperは先が鋭利なものを使う。これは手法の違いを見れば明らかだ。

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UltraChopperなるものもあるらしい。→CataractCoach™ 2286: resident ultra chopper case (youtube.com)

が、使うのは怖いな。


2024/10/13追記

Vertical Chopは核がある程度やわらかくないと不可。ので、Horizontalの方が汎用性がある。手法が普及しているのには理由があるってこと。

参天 保険適用老視矯正IOLによる白内障手術レベルアップ

当院でアイハンスでミニモノビジョンをしてますが、これを参天のレンティスコンフォートで行うというお話でした。

どのような患者さんを適応とするかについては

1.患者さんの意向

2.多焦点にしたいが、費用を気にしている場合。

ということで当院と同じ。

ターゲットは-0.5-から-1.0Dですが、FEST法のような度数同定はしていない感じでした。

広田眼科の廣田篤先生によると、

トーリックレンズは

直乱視1.5D以上ならいれる。
倒乱視0.75D以上ならいれる

当院は-0.75D以上なら、直、倒にかかわらず挿入しています。

 

 

術中リアルタイム表示システム ARGOSについて

当院では、乱視矯正IOLを積極的に挿入しています。乱視軸は、座位の患者さん角膜にマーカーをあてて同定を行っています。
ところが、術中に乱視軸を提示することができるシステムがある哉に聴き、調べてみました。

日本の眼科 95:6号(2024) 白内障手術のデジタルマーキングシステム 根岸一乃慶応大教授 から引用。

乱視矯正効果を最大限生かすためには、予定されたTIOLの固定軸に対してできるだけ正確にTIOLを固定することが重要である。

予定固定軸のマーキングは当初はマニュアルで行われることが主流だったが、現在は生体計測データをデジタル化して手術室のユニットに転送し、術者の顕微鏡の視野にオーバーレイ画像を投影するデジタルマーキングシステムも普及しつつある。

現在、国内では主にARGOS Biometer with ImageGuidance(アルコン)、CALLISTO eyeマーカーレスシステム(カールツァイス)が使用されている。

ALCONの担当者、及びALCON社HPによると

  1. ARGOSはALCON社の顕微鏡以外にも装着できる。
  2. 結膜血管の認証精度が他社製品より高い。
  3. 水晶体の白濁が進んだ白内障グレード以上において他社製品と比較して高い眼軸長データ取得率を実現した。

根岸先生の結語は

TIOL挿入の際のマニュアルマーキングとデジタルマーキングの比較に関しては目標軸への固定精度や残余乱視は改善するものの、視力には有意差がないとの報告もある。

どうなんだろー。

AMOテクニスのOdyssey眼内レンズについて

先日の根岸先生の講演で老眼治療多焦点レンズとしてOdysseyが挙げられていました。
J&Jさんの話では、国内でも有名少数施設で先行使用されているということでしたが、仕様の詳細不明。

ネットで調べたところ、以下のようなことがわかりました。

  • 基本的にはシナジーの進化バージョンらしい。
  • AI設計していて、target errorへの許容度が大きいらしい。
  • 回折格子がとがってなく丸めてありハログレーが少なく、スターバーストはほぼ0%らしい。
  • ループはフロスト加工されているためトリックレンズでも回転しにくい、つまり術後の軸ずれが起こりにくい。

日本では秋口に発売予定で、シナジーより1万円ほどお高いと伺っております。

 


 

ASCRS 2024: George O. Waring IV, MD, shares early results of bilateral implantation with novel IOL technology (ophthalmologytimes.com)

 

 


2024/10/9追記

担当さんの話によると

  1. 回折格子を滑らかにしただけではなく、格子配置、高さがsynergyとは異なる。
  2. ハログレを減らしたためか(?)、近方距離は40cmとなりsynergyの35cmほどには近くが見えないらしい。
  3. これを補うため、synergyのfirst positive戦略を採らず、-0.5程度negativeに合わせる先生もいるとのこと。