日本国内では2021年11月から新発売のレンズである。高次非球面設計により、単焦点レンズのいいところは残しつつ、見える範囲が広がったレンズとされる[1]
デフォーカス曲線は以下の通りである。
黒線は非球面レンズ(従来の単焦点)、灰色が非球面高次レンズ(アイハンス)
「通常は認識しない高度収差のパワー を中間距離に振った」ということのようで、AMOが得意とする焦点深度拡張の亜型ともいえる。グレアやハローも単焦点レンズと同程度 である[2] 。
保険適用できる視覚領域の拡張レンズとしては、レンティスコンフォートが上市されているが、今一人気がない。おそらく、単焦点レンズと比較してのハローやグレアの増加デメリットが嫌われるのであろう。
その点、このアイハンスは名前が示す通り、「単焦点レンズのいいところは残しつつ、見える範囲が広がったレンズ」なので、ほぼ問題ないように思える。さまでは、近見には振っていないため「老眼鏡は基本的に必要となる」が、その点は従来の単焦点レンズでも同じだ。
当院では、近見に特化した合わせ方を希望しない患者さんに対しては、この眼内レンズを推していく所存。実は、仕入れ価格はわりかし高いのだが、保険適用レンズ なので患者さんの負担額は単焦点レンズと全く同一である。
そのことによって、より多くの患者さんが、白内障手術後により良い体験を享受してもらえれるのであれば、眼科医冥利に尽きる、と云へる。
1.Visual outcome, optical quality, and patient satisfaction with a new monofocal IOL, enhanced for intermediate vision: preliminary results
2.Clinical evaluation of a new monofocal IOL with enhanced intermediate function in patients with cataract
2022/9/11追記
先日、40代の若い患者さんの片眼にアイハンスを入れたところ、やや霧視が発生するので、対眼には単焦点を入れてほしいとの希望があり、ALCONクラリオンを挿入した。 すると両眼でかなり近いところまで見え、かつ、霧視症状も文字通り霧散したとのことであった。 これは、亜Monovisionともいうべき手法であり、Miniwellをいれるよりも保険がきくし、良き?という感触を得た次第。←この手法は非常に評価が高く、多くの反響を呼んでます as of 2023/5/15.
2022/9/12追記
外来で「アイハンスにトーリックレンズはあるのか?」とご質問いただきました。回答は「存在はするが、市場には存在しない」ということです。 担当者は「サーセン、生産が追い付かないッス」としか言わないんで、セガサターン 事案を危惧しております。。
2024/8/262追記
現在、当院ではアイハンスのトーリックレンズを積極的に採用しております。