「あなたのこども、そのままだと近視になります」を読みました(2)

「バイオレットライトを使ったメガネ型医療機器の製造・販売承認取得、眼鏡を研究中で2023年ごろには実用化を目指している[1]」とのことです。

坪田先生は、坪田ラボというベンチャー企業のCEOで、国公立大学教授とは一味も二味も違う展開をされておられます。

バイオレットライトメガネの工程表

さらに、クロセチンというサプリメントも発売済みで、

坪田一男、栗原俊英、鳥居秀成と大阪大学大学院医学系研究科眼科学教室の西田幸二教授、高静花寄附講座准教授ら、ロート製薬株式会社らの研究グループが共同研究において、小学生69名に対し、クチナシ由来の色素成分「クロセチン」を投与するランダム化比較試験を施行し、クロセチンが小児の眼軸長伸長、屈折度数の近視化を有意に抑制することを確認しました。

ロートクリアビジョンジュニアEXがその製品バージョンのようです。

エビデンス的には、バイオレットライト>クロセチンという印象だな。


[1].JINS、バイオレットライトで近視進行抑制するメガネ。医療機器承認目指す – Impress Watch

「あなたのこども、そのままだと近視になります」を読みました

「唯一、誰もが認めるエビデンスは戸外活動を2時間以上すること」ということです。

坪田先生は、「屋外で活動する」→「バイオレットライトが目に入る」→「眼軸長伸長を抑制する」という機序を考えておられるようです。

バイオレットライトは下図のような光波長で、屋内のガラス窓のうちにいると浴びることができない。

動物実験ではバイオレットライトによる抑制効果は証明されているらしい。

僕なりに解釈すると、眼は本来外敵から身を守るために進化獲得した組織器官で、屋外で「敵に襲われる可能性がある」と脳が感じていることが、眼軸長維持に有効なのだろう。屋内で安全にスマホやタブレットを見ている生活を続ければ、脳は「敵に襲われる心配はなく、近くを見ることに専念すればよい」と感じて眼軸長の維持をやめるのだと思う。「近視は、子供の生活習慣病」と僕が主張するゆえんでもある。

したがって、単にバイオレットライトを浴び得ればいいという単純な構図でもないような気はするが、坪田先生はJINSと組んで商品化に取り組んでおられるらしい!

それについては、次回以降で御報告する。

「第125回日本眼科学会総会」に出席しました。

●LS-313MF15(Lentis)とW-60R(単焦点)の臨床成績 萱沢朋泰先生 近畿大学
Lentisは後方移動し術後3Mで+0.28D程度遠視化しやすい。単焦点のW-60Rよりも優位に裸眼視力はよい。
●ZMB00(テクニス回析型)とtecnis symphonyの比較 白神智貴先生 ツカザキ病院
ZMB00(テクニス回析型) vs tecnis symphony→ZMB00(テクニス回析型)は近見がつよい。tecnis symphonyは遠見がつよい。
●ZMB00(テクニス回析型)とLentis Comfortの比較 田邊裕貴先生 ツカザキ病院
ZMB00(テクニス回析型)がほとんどすべての点で上回った。Lentisがグレアが少なくMTFでは上回った。
●Lentis ComfortとPanOptixの比較 赤田真啓先生 ツカザキ病院
PanOpixがほとんどすべての点で上回った。夜の運転はLentisがよかった。social function(=普段家で友人と過ごす時間が長いですか?)もlentisがよかった。メガネの装用率を低めたい人はPanOptix。夜の運転はLentis
●ZMB00(テクニス回析型)とPanOptixの比較 河村純哉先生 ツカザキ病院
PanOptixがほとんどすべての点で上回った。近見視力のみZMB00(テクニス回析型)が上回った。

ZMB00(テクニス回析型)をAlconアクティブフォーカスと読み替えると、演者や座長の導いた結論は、この記事に書いた結論とほぼほぼ同じであった。

つまり、多焦点レンズを選ぶならば現状ではPanOptix一択。ただし、夜の運転をするならハローが少ないLentisということ。

黄斑疾患の食べ物

前回の記事でも書いたが、黄斑症のサプリメントは「軽症例への予防効果はなく、中等症以上のリスク眼に対して進行予防が認められた。」と結論づけられている。

すると、軽症の黄斑疾患(軽度のドルーゼン発生がある程度)患者さんからは「サプリメントとらなくていいんですか?!」といわれる。

そういう方には、

【禁煙】

最近は減ってきたけども、いまだに喫煙習慣を保っている人がいる。指摘されるのも嫌なんだろうなーとはおもうが、やっぱし吸わないほうがいい。

Smoking and age-related macular degeneration: a review of association | Eye (nature.com)

【肉食を控える】

赤肉や加工肉、マーガリンやバターなどの脂肪、高脂肪乳製品、揚げ物などが多い食事を取っている人では、そうでない人と比べて後期AMDの発症率が大幅に高いことが分かっている(オッズ比3.44、95%信頼区間1.33~8.87、傾向P値=0.014)

PubMedCLOUD (carenet.com)

【抗酸化食品を摂る】

  • ルテイン

 緑黄色野菜に多く含まれるカロテノイドの一種。眼の中では黄斑部に多く含まれており、黄斑細胞を光線酸化から保護する。加齢、紫外線、喫煙などで減少するが、体内では合成できないため食品から摂らなければならない。

<多く含まれる食品>

 ケール,ほうれん草,ズッキーニ,ブロッコリーなど

※黄斑変性症の予防には 1 日 6mg 程度摂取とされてるが、食品から摂る場合ではほうれん草約 50 g,ブロッコリー約 300g に相当。 

  • アスタキサンチン

 鮭などの海洋生物に多く含まれるカロテノイドの一種。非常に強い抗酸化作用がある。脂溶性のため油を使った調理法で吸収率が上がる。にんじんやトマトと組み合わせると吸収が悪くなる可能性もある。

<多く含まれる食品>

 北極エビ,オキアミ,プランクトン,鮭