黄斑疾患のサプリメント

眼のサプリメントとして販売されているものは数多くありまるが、エビデンスが確立されているものは少ない。
オキュバイトとルタックスは、エビデンスが証明されている数少ないサプリメントといえる。

それは、以下に示すような一流の研究結果が示されているからである。


AREDS(Age-Related Eye Disease Study)

<方法>
全米の多施設で、3640例の加齢性黄斑変性症の患者に対して
1.抗酸化物質(βカロチン 15mg/日+ビタミンC 500mg/日+ビタミンE 400IU)
2.亜鉛80mg/日+銅2mg/日
3.抗酸化物質+亜鉛80mg/日
を平均6.3年間(1991年~1996年)与え続け、黄斑変性症の進行率を調べた。

<結論>
 1.→17%の進行抑制
2.→21%の進行抑制
3.→25%の進行抑制
を認めた。

βカロチン 15mg/日+ビタミンC 500mg/日+ビタミンE 400IU+亜鉛80mg/日に最大の抑制効果あり


軽症例への予防効果はなく、中等症以上のリスク眼に対して進行予防が認められた。」と結論づけられている。
中等度に進行した黄斑症や、反対眼に進行した黄斑変性症をもつ患者さんに対して、上記サプリメントが推奨される根拠といえる[1]


[1].吉村長久 『加齢黄斑変性』 p.233 医学書院(2008)

スギ花粉の舌下アレルゲン免疫療法

当院では、舌下投与によるスギ花粉のアレルゲン免疫療法[1]を開始する予定です。

要は、「体内に少しずつスギ花粉エキスを取り込んで、体を馴れさせよう」ということ。

ただし注意点があって

  1. 3年間、毎日続ける必要がある。→3ケ月でも効果があるともいわれてる。
  2. 治療開始できるのは、スギ花粉が飛んでいない6月から12月の間のみ→2月~4月は以外なら可能ともいわれてる。

上記で「いわれている」というのは「巷間いわれている」だけであって、公式見解ではありません。

まずは、院長自身が人柱実験し、このブログ上でご報告させていただきます。

[1].アレルゲン免疫療法 – Wikipedia

第39回神戸アイセンターオープンカンファレンス@2021/3/6

特別講演:16:00~
「データサイエンスとしての眼科学」予定
講師:鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 感覚器病学講座
   眼科学分野 教授 坂本 泰二 先生

をZOOM聴講しました。

コロナ以後は、スマホで視力を測定し、自宅でOCTを撮影する時代になる。

自宅で視力だけでなくOCTまで測定できるようになれば、眼科に通院する必要はなくなるだろう。そのうえで、診断はAIが行うことになるであろうとの見立てであった。

将棋の世界では、すでに人間の最高峰よりもPonanzaのほうが圧倒的に強いらしい[1]

診断でもかつては「眼科教授のご明断」「さすが~」「ははー」て感じだったけど、そんな時代は終焉し、今なら診断用Ponanzaのほうがはるかに優秀であろうと思う。


ただし、人間はなぜそのようにご明断されたのか根拠を示されないと、納得できない。

そこのところは、将棋の名人よりも、教授先生のほうが少しは生き残れる確率が高いかもしれない。

[1].コンピューターに「完敗」した佐藤天彦九段。「あの日」と将棋の未来を語る | ギズモード・ジャパン (gizmodo.jp)

ドライアイとストレスの関係

以前から、ドライ症状が強い患者さんはストレス傾向が強いと感じていたが、

鬱および不安症とドライアイの自覚症状は相関するが、客観的な指標は相関しない[1]

we found that depression and anxiety were related to the subjective symptoms of DED but not the objective symptoms

ドライアイと精神病性向の間には大きな関連性がある[2]

significant association between DED and psychiatric morbidity burden is present

外来で診ていても、

①自覚症状は強いが、指標は悪くない人

   vs

②指標は悪いのに、自覚症状が少ない人

で比較すると、

①の人のほうが、心気症的傾向が高いことは間違いない。

そのような方に、安易にデパスやらソラナックスをだしちゃうと、調節筋力が低下してかえって症状が増悪することがある。

そこで、当院では、運動・睡眠・栄養などを通して、薬剤によらず行動療法的にストレス発散するように指導している。

[1]Dry Eye Syndrome (nih.gov)

[2]Mental Health Status in Dry Eye Disease – a Case Control Study | touchOPHTHALMOLOGY