ラニビズマブBSからバビースモへのスイッチ

黄斑浮腫症例にラニビズマブBS(=ルセンティスのバイオシミラー)を硝子体注射して、いまいち浮腫がひかんなーという症例で、VEGFに加えてAng-2(Angiopoietin-2)という悪玉因子にもきくバビースモにスイッチしてみましょうと提示する。

薬価はラニビズマブBS79,348円→バビースモ163,894円と倍するので、患者さんも「効きますか!」という反応。

実際に2倍効果があるのかというと、どうなんだろう?


以前、神戸大学の三木 明子先生が質問に応える形で

バビースモを実際に使った手応え、切れ味はどうか?→AMDの未治療についてはバビースモでよい。治療スイッチについては症例不足で不明。

担当者がいうには、三木先生が近く「スイッチ症例では3割から5割奏功する」みたいな論文を発表されるらしい。症例数は20例くらいらしい。

どういう症例がスイッチに適するのか?奏功の判断基準などをぜひ知りたいものである。


2023/10/7追記

上記論文は、Short-Term Outcomes of Faricimab Treatment in Aflibercept-Refractory Eyes with Neovascular Age-Related Macular Degeneration として発表されました。

簡約すると、「55症例のアイリーア無効例で、バビースモにスイッチしたところ、網膜中心厚が有意に減少した」「網膜内液は16.4%で減少、網膜下液は40%で減少」
担当さんがいっていた40%というのは網膜下液のことを言っているようだ。
下図bなら、そこそこ効いてる?という印象ではある。

視力、脈絡膜厚は変化はないが、網膜厚は有意に減少。

2023/10/15追記

当院のラニビスマブBS→バビースモの自験例では、三木先生の発表と同様の印象です。つまり視力が改善するほどではないが、網膜厚が減る症例がかなりの確率で存在する。
患者さんとしては「よくなりましたー!」という感じでもないが、ドクターサイドとしては「明らかに改善!」「やってよかったですね」という状況。

近視治療の費用対効果について

近視抑制効果

Myopia Calculator | BHVI 準拠

オルソケラトロジーの近視進行抑制率は44%
EDoF型近視抑制コンタクトレンズの近視進行抑制率は43%
低濃度アトロピン点眼の近視抑制率は57%

年間費用

マイオピン以外は当院規定。マイオピンはここ準拠

治療方法費 用 内 訳1年間合計近視抑制率÷年間費用(%)
アトロピン点眼1本250円×123,000円1.9
オルソケラトロジー一括払い制検診1,950円×12+初年度11万円~13万円(2年目から原則不要)23,400円+初年度のみ11万~13万0.03
オルソケラトロジー定額制検診1,950円×12+6,600円~7,700円×1223,400円+79,200円~92,400円0.04
EDoF型近視抑制コンタクトレンズ1箱(片眼)3,630円(キャンペーン時3,190円)×2×1287,120円(キャンペーン時76,560円)0.05
クロセチン3,300円×1239,600円効果不明
マイオピン0.01%1本4,000円×12+1~3か月毎定期検診(2,000円~2,500円)48,000円+1万~1.25万0.10
マイオピン0.025%1本5,000円×12+1~3か月毎定期検診(2,000円~2,500円)60,000円+1万~1.25万0.08
各種治療選択と費用対効果

当院作のアトロピン点眼が図抜けてるな!😊

 
マイオピンは、当院品とほゞ同一である。上図から、絶妙な戦略とゆーか、価格設定が看て取れる。

「ルクスターナ勉強会」を聴講しました。

「新生血管治療薬以来の画期薬」という触れ込みにつき、受けました。

RPE65遺伝子

RPE65遺伝子はRPE65蛋白を産生する。このRPE65蛋白は杆体細胞+網膜色素上皮の視覚サイクルで11-cisレチノールの再生に必要である。RPE65蛋白が存在しないと、前段階のレチニルエステルが貯留し毒性を持つレベルに達すると杆体細胞が死滅する。

 

適用方法

正常なRPE65遺伝子を組み込んだ病原性のないアデノ随伴ウイルス2型(AAV2)を網膜下へ注射する。

 

適応疾患

「RPE65遺伝子の両アレル性変異」に起因するIRD(inherited redinatl dystorophy、遺伝性網膜ジストロフィー)
臨床疾患名としては「レーバー先天盲、網膜色素変性症」が対象となる。

薬価

1回分の薬格は約4960万円。

実施病院

遺伝子検索が求められるため、2023/9/3現在

  • 神戸市立中央市民病院/神戸アイセンター病院
  • 東京医療センター

1. 眼科疾患初の遺伝子治療薬「ルクスターナ注」発売
2.「両目で1億円」遺伝子治療薬、保険適用へ 対象は5年で15人


2024/10/26追記

2024/10/26行護憲眼科医会総会での弘前大学上野真治教授講演より

・適応は、OCTで視細胞の形態が保存されいてる10歳以下の年代
・視力は改善しない。視野や案順応が若干改善するかもという程度。

それで、両眼1億円というのは悩ましいな。