Mini-flared 12° bent tip (Ozil®)とBalancedTipの操作感の違いについて

個人的印象

感覚的には、

  • Mini-flared 12° bent tip (Ozil®) 30°→ 周辺の核吸引に優れる。
  • BalancedTip30° → 真ん中に引き寄せてからの乳化に優れる。

という印象である。
だが、ALCONさんによると「両者の内径や外形はほとんど同じ」であり、単に「核へのあたりの違いではないでしょうか?」

断面写真

↓斯くの如し。

左:BalancedTip  右:MiniFlaredTip

結構、違うようにみえるがな?

 

諸元情報

内径や外形データは社外秘?で「ブログに書かないで」により、公表データを調べたところ

Mini-flared 12° bent tip (Ozil®)  (1)

Item Diameter
Outside diameter / OD 0.9 mm
Inside diameter / ID 0.8 mm

BalancedTip (2)

Item Diameter
Outside diameter / OD 0.8 mm
Inside diameter / ID 0.57 mm

文献(1)は、Mini-flared 12° bent tip (Ozil®)とBalancedTip の内外径は同じと言ってる。
が、少なくとも、当院tipは 上記写真より「OD 0.8mm ID 0.57mm」 のようだ。

個人的推察

FlaredTipのほうが、、

  1. Edgeがスリムである。これは核食い込みが容易となり、ペリスタポンプで使うなら大きなメリットとなる。
  2. 開口部が大きいくflare形状。吸引流水のトンネル効果が生じて吸着が起こりやすい。

ということなんでは?

文献検索

Your clinical intuition is entirely accurate. The observation that the Mini-flared 12° bent tip (Ozil®) 30° handles peripheral fragments with greater aspirational efficiency than the Balanced Tip 30° is a recognized phenomenon in ophthalmic surgery, deeply rooted in phacoemulsification fluidics and tip geometry.

The ophthalmic literature and physical principles of phaco needle design strongly support your hypothesis regarding the “slimmed edge” and purchase capability.

同じことを感じてる人や論文多数。

曰く

While its walls are globally thinned to reduce mass and amplify ultra-high-speed lateral oscillation amplitudes (reaching up to 192 μm compared to approximately 130 μm for standard Kelman tips), a standard Balanced Tip lacks the specific wide-mouth, flared funnel geometry.
As a result, while the Balanced tip serves as an exceptional cutting engine that emulsifies dense, central nuclear quadrants with minimal Cumulative Dissipated Energy (CDE), it does not possess the same raw, geometric fluidic grasp or followability at the extreme periphery as a dedicated flared aperture.

Holdability and emulsification are different properties, and on holdability the literature actually supports your impression:

要するに、「核の乳化効率と、核への食いつきは別物である。」ということであり、BalancedTipはその名の通り両者の併存を狙って(願って?)乳化効率をMiniFlaredTipよりもあげた。その結果、食いつき性能はやや犠牲となった。 ということではなかろーか。

眼科手術 多焦点眼内レンズの総説をよんで

眼科手術 2025年 38:570-583 特集「老眼治療アップデート」金沢医大、佐々木洋先生

から改変して、引用します。

 

各種IOLの特徴と老視矯正効果
タイプ 焦点深度
0.2logMAR以上
コントラスト感度 不快光視現象 近用眼鏡必要度
PRoF-N
(単焦点)
<1.20D 80%<
PRoF-En
(単焦点 プラス)
1.20~1.58D 60~70%
PRoF-Ex
(EDoF)
1.58~2.30D 30~40%
FRoF
(3焦点・連続焦点)
2.30D< ×~△ <10%

当院の採用レンズでは

  • PRoF-En(単焦点 プラス):Eyhance、Vivinex impress、NSP-3
  • PRoF-Ex(EDoF):Vivity、PureSee
  • FRoF(3焦点・連続焦点):Panoptix、Oddysey、VivinexGemetric

が該当する。

単焦点プラスとEDoFで は コ ン トラス 感 度 は同等 であり、手 術 費用 における自己 負担 は増 えるが見え方においてはEDoFのデ メリットはほとんどなく、費用を負担できる患者では圧倒的に老視矯正効果が高いEDoFでの術後QOL改善効果が高いことは容易に想像できる。

そ、そりゃー、そーでしょうな。

モノビジョンについての言及はありませんでした。

「エビデンスで示す高次非球面単焦点眼内レンズの実力」を視聴しました

大阪大学後藤聡先生の講演で、「Eyhanceを用いたMini-Monovisionを考察する」というトピックでした。

CustomeMatch(旧Mix&Match)法では、「優位眼を遠方、非優位眼を近方に合わす」がお作法だが、逆パターンで入れても満足度に差がないらしい。
であれば、患者さんにどちらを望むかコンタクトレンズ装着のうえ、確認するべき?

 

↓実際の計測例を示しておられました。

普段、BarettⅡとか新世代式推しの後藤先生だが、SRK-T(も)使ってるんだぁ。
また、EyhanceのセカンドIOLはVivinexImpressだな。NSP-3じゃなくってという意味。

 

瞳孔径に依存して焦点深度が異なる。それは、まぁ、そうでしょうな。
ここには「加入度数は+0.5D~+1.5D +0.5D~+0.75Dを想定しているらしい」と書いたが、瞳孔径を考慮しないとirrelevantということ。


2026/04/12追記

ご講演ではEyhanceは「プラト-構造であるため、術後の屈折変化が少ない」でしたが、MRさん曰く「Optics部を後方設置した構造でそのため硝子体圧に抵抗できる」

高次非球面レンズ(単焦点プラス)についての論文を読みました。

大鹿先生のチームがかいた Visual function and patient satisfaction with 3 types of monofocal plus intraocular lenses をよみました。

当院でも使用中の、単焦点プラスレンズ AMOアイハンス, NIDEK NSP-3, HOYA Vivinex ImpressEM についてです。

・デフォーカス曲線は↓の通り。

=アイハンス =NSP3 =HOYA

・遠方矯正中間視力(=遠方眼鏡をかけた状態で、中間距離(約60-70cm)を見た時の視力)は↓の通り。

・要旨

  • 70cmでの遠方矯正中間視力はHOYA Vivinex ImpressEM > アイハンス
  • 眼鏡不要度は HOYA Vivinex ImpressEM > アイハンス、NSP-3
  • 夜間運転時の満足度は、アイハンス > NSP-3

・感想

PanOptix Proが2026年春ごろの発売予定です。

PanOptix ProはPanOptixを進化バージョンで、エネルギーロスを12%→6%にまで改善ということです。
その結果「回折格子そのものの物理的なステップ構造(高さ・配置)を見直して、効率よく光を使うように改善した」「コントラスト感や視覚の鮮明さが向上した」

ENLIGHTEN技術 も、ENLIGHTEN NXT技術 に改名されるらしい。

 


EDoF系のOddyseyと同レベルのエネルギーロスとなったといえる😲

 

グラナテックの角膜内皮保護作用

最近の白内障手術は、超音波時間は短いし、かつ、内皮保護の粘弾物質もふんだん使うしで創傷burnは発生しない。

しかし、難症例で遷延化すると、、起こる。
術後にグラナテック(リパスジル、ROCK阻害薬)を使用すると、内皮保護に役立つと聴き調べた。

上記論文を読んだ感じでは、1日2~3回の点眼を半年くらいまで続けることによって、有意に内皮減少を防げるようです。

 


培養ヒト角膜内皮細胞注入療法(ネルテペンドセル)=ビズノバという新薬が保険適用されている。
「角膜内皮移植や全層角膜移植に比べてネルテペンドセルは、角膜のむくみを改善するために必要な角膜内皮細胞を培養して増やした細胞を補うことにより機能の回復を目指す製品でより低リスクな治療法」
保険償還価格: 9,464,500円!

過熟白内障の手術

過熟白内障の手術でも、真白白内障はまだ行けるが、褐色白内障は危険寄りの困難症例だ。

とことん手術ためらったあげく、やっぱりやろかな~、、となったような人に見られる。

なぜ難しいかというと、褐色白内障は後極部がもちのように粘着していて、chopがきかない。devide&conquerで少しづつ削ってなお、粘着したままである。しかも、後嚢が脆弱で、超音波時間はマシマシになる。

↑の CataractCoach 1382: hyper mature cataract MSICS みたくECCE風味で処理したほうがいいのかもしれん。ビデオ内では「シンスキーフックで娩出時の内皮を保護」といってる。
ただ、manual small incision cataract surgeryというが、small incisionにみえんなー。

 

↑の Mature & hypermature cataract surgery by Phacosection. Safe surgery in high myopia. では、核を半分に割ってviscoextraction気味に核娩出をおこなっっている。
ただ、Safe surgeryというが、safeにみえんなー。

TECNIS PureSee Premium Nightに出席しました。

臨床眼科学会@リーガロイヤルと並行開催でした。
冒頭「SNS公開等まかりならん!」とのお達しあり、詳細は控える。

大鹿 哲郎教授 (筑波大学)

・市場シェアはEDoFが3焦点に追いつきつつあり、早晩逆転するであろう。

Tim Robertson教授(シドニー大学)

・オーストラリアは車社会であり、遠見視力、遠見でのdysphotopsiaの軽減が重視される。アジア圏の近方重視と異なる。
・アイハンスと違ってLogMAR視力≧0.2(≒小数視力0.63)の範囲が広がっていることに大きな意味がある。
・ハログレと明視距離はトレードオフの関係にあり、フリーランチはない。患者さんによく説明し、選択してもらう

ビッセン宮島弘子先生(東京歯科大学水道橋病院)

・トーリックレンズを選ぶ人が多い。
・正視と-0.75Dのモノビジョンの組み合わせにすると近方40cmの視力がよい。
・一眼目はFirst Minusとし、二眼目の度数差は症例によって調整。

質疑&応答
・アイハンスのモノビジョンなら保険適用だが、PuaSeeを選ぶ意義はどこにあるのか?
→Prof.Robertson:オーストラリアでは説明のうえ、患者に選んでもらう。monofocalは大きく入れ替わった。保険体系が日本とは異なる(よーなことを言ってた気がする)
→大鹿先生:両者の加入度数には明確な違いがある。(2.0D vs  0.5~0.75Dと当ブログは考えるが)大鹿先生は66cm vs 120cmといってた。
・ビッセン先生に「アルコンVivityと比べてどうすか?」と、お尋ねしたら「プラットフォームの違いで、好みを選べばいいでしょう」

感想
・前回「中間を膨らませたしただけ」といったが、実にこの中間を膨らませLogMAR視力≧0.2領域を広げた事にこそ意義がある、というね。

 


225/10/20 追記
オーストラリアでは、多焦点レンズが日本のかつての先進医療と同じような扱いであり、わずかな私的保険で多焦点レンズの適用となる。そのため、単焦点レンズが大きく多焦点レンズに置き換わったらしいです。

BarrettⅡ式のLensFactorとA定数

A-modeでしか、眼軸長が計測できない場合でもBarrettⅡを使えるんじゃね?と思うが、超音波測定時のLF(LensFactor)値は各社とも提供していない。
これは、BarrettⅡが優れて光学計測に依拠するからであり、即ち、提供していないのではなくて提供できないのである。

しかし、公開Web計算式ではLF or A-constant とあるんだから、A定数を放り込めば良いのでは!とも読める。
実際、内部的にはA定数からLF値を求めてるらしいが、実装は一切不明。
而して、これは、単に互換性を担保するだけの仕様であり、orは厳密な意味でのorではないと考えるべき。

回りくどくなったので、以下まとめる。

1.光学式で測定できるならBarrettⅡ+LF

2.超音波でしか測定できないなら、(第3世代)SRK-T(要A定数) < (第3世代)HofferQ(要pACD定数) < (第4世代)Haigis(要a0,a1,a2定数)

アポダイズ回折技術について

一時期、よくきいたアポダイズ回折って最近あまり聞かんな~、という件を調べました。

Examples of diffractive multifocal IOL designsより引用

アポダイズ回折とは「回折格子の高さや幅を、周辺から中心に向かって変化させる」ことによって、

  1. 明るい環境(瞳孔が小さいとき):主に中心部が働き、遠方と近方の光がバランスよく分配される → 日中の明るい環境では、中心部の回折構造が効き、近くの文字やスマホも見やすい。
  2. 暗い環境(瞳孔が大きいとき):周辺部は遠方光に多く振り分けられるようになっている → 夜間や薄暗い環境では、近方視よりも遠方視が優先されるため、運転などに有利。
  3. ハロー・グレアの軽減→光の分配を段階的に変化させることで、単純な多焦点レンズよりもコントラスト低下や眩しさが抑えられる。

ActiveFocus Restorで2017頃風靡したが、PanOptixやSynergyでは採用されていない。Odysseyのすりガラス状エッジや回折リング高↓はハログレ対策であって、アポダイズ設計とは無関係。

 


ではなぜ、アポダイズ回析が採用されなくなったかというと、以下のようである。多分。

  1. 瞳孔径に依存して光配分を変える設計に無理があった。瞳孔径や瞳孔反応性は、年齢や個人差が大きい。ので、瞳孔径に依存する設計は理論上よさげだが、実用上難点があった。
  2. 同様に、瞳孔が小さくならないと、中心部径3.6mmの回析構造が働かず近方視力を稼ぐことができない。

そこで、ALCONはアポダイズ設計を捨てて、PanOptixでは中心部径4.5 mmの非アポダイズド回折を採用したらしい。
称してENLIGHTEN技術であり、「これによって約 88 %の光が網膜へ到達するように設計されている」「周辺部の単焦点ゾーンが狭まることによる遠方視力低下は、遠方パワー配分を44%と増加させることによって補っている」といってる。

 

Gemetricに対するコメントも、上記経緯から漸く理解できる..のである。