「標準型電子カルテ」について

政府主導の「標準型電子カルテ」が2026年から本格稼働するらしい。

現在各社バラバラの電子カルテを標準化し、2030年頃までに全国の医療機関に導入される予定とのこと。

 

いつもながら情報の提供が保守的で、専業ベンダーなら対応できるんだろうが、自作カルテ業者にはキツいものがある。
オープンソース化とかできないのかな?

 

 

多焦点眼内レンズのシミュレータ2

Johnson&JohnsonからAR Eyeというアプリがリリースされました。

「AREye」は、拡張現実(AR)の技術を用い、白内障の術前・術後の見え方を擬似体験できま丸スマートフォンのカメラを通して現実の風景をもとにバーチャルな映像を再現。白内障の方だけでなく、ご家族が白内障の不自由さを体験し理解を深めることにも役立ちます。

 

当院でも、多焦点レンズを希望する患者さんには体験してもらうことにしています。

☞ハロー・グレアが若干強めに出るような設定にしてるとのことでした。

京都QuolityOfVision向上研究会を受講しました。

ビッセン宮島先生のお話が聞けるというので受講しました。

トーリックレンズの話

  • 手術後の残余乱視は0.5D以下を目指す。
  • 直乱視を残したほうが偽調節が働くということはない。調節が働く要因は小瞳孔と角膜のmutifocalityである。
  • 日本ではトーリックレンズの採用率が1割程度。これは仕入価が高い+術前術中の操作が面倒なため。残余乱視≦0.5Dを目指すなら半分以上がトーリックとなるべき。

☞当院では半数弱がトーリックレンズ挿入しています

Odysseyの話

  • 回折格子形状がちがう。詳細な話はなかったです。

  • 術後オートレフ値はマイナスにでる。ので、自覚視力測定が大事である。Vivityもその傾向あり。
  • SynergyはFirstPositiveだったが、FirstNegativeを選択する。ここで担当さんが言ってた話。

  • デフォーカス曲線が-0.5D~+0.5Dまでほぼ直線である!そのためtargetずれに強い。

アイハンスVivityの項でも書いたが、デフォーカス曲線のFar平坦化は今後トレンドになるんでは?

 

HOYAの多焦点レンズVivinexについて

HOYAから多焦点レンズVivinexが発売されている。

PanOptix対抗だが違いは

  1. 回折格子の範囲が3.2mmである。PanOptixは4.5mm。したがって夜間運転時(瞳が散大する時)、グレハロが少ない。
  2. 中間が+1.75D、近見が+3.5D加入である。PanOptixは中間+2.17D、近見+3.25D。したがって近見が強い。

後発なので、ライバル社の欠点を消しに来てる印象。

A:PanOptix B:Synergy C:FineVision D:Vivity

当院でも、オプションとしてご説明の上、御希望の方には適用する予定です。

 

PhacoChop手法について

1.Horizontal chop

日本の術者のビデオをみると、horizontal chopを行っている場合が多い。僕もhorizontal派だ。

M -1112 中京式スパーテル(INAMI) (youtube.com)

Where do you place the probe to facilitate phaco chop cataract surgery? (youtube.com)  1:40~

phacoprobe just inside the sub incisional rhexis aimed toward the optic nerve not in the center of nucleus

2.Vertical Chop

海外の術者はvertical chopを採用している人も多い。

Routine Cataract Surgery – Vertical Chop Technique with Step-By-Step Narration | John Welling, MD (youtube.com) 3:24~

 

3.Horizontal vs Vertical

CRSTG | Europe Edition | The Basics of Phaco Chop Techniques (crstodayeurope.com) から抜粋。

Horizontal :Additionally, the very end of the tip must be dull, or even oliveshaped, to protect the capsular bag.

Vertical:in contrast to the dull distal end of a horizontal chopper, the end of a vertical chopper must be sharp to penetrate the nucleus easily.

horizontalの方は先が丸いものを使うことが、vertical chopperは先が鋭利なものを使う。これは手法の違いを見れば明らかだ。

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UltraChopperなるものもあるらしい。→CataractCoach™ 2286: resident ultra chopper case (youtube.com)

が、使うのは怖いな。


2024/10/13追記

Vertical Chopは核がある程度やわらかくないと不可。ので、Horizontalの方が汎用性がある。手法が普及しているのには理由があるってこと。

参天 保険適用老視矯正IOLによる白内障手術レベルアップ

当院でアイハンスでミニモノビジョンをしてますが、これを参天のレンティスコンフォートで行うというお話でした。

どのような患者さんを適応とするかについては

1.患者さんの意向

2.多焦点にしたいが、費用を気にしている場合。

ということで当院と同じ。

ターゲットは-0.5-から-1.0Dですが、FEST法のような度数同定はしていない感じでした。

広田眼科の廣田篤先生によると、

トーリックレンズは

直乱視1.5D以上ならいれる。
倒乱視0.75D以上ならいれる

当院は-0.75D以上なら、直、倒にかかわらず挿入しています。

 

 

ホームページを更新しました。

初代HPは2001年に公開しました。

マイクロソフト全盛期で、WindowsXPが発売された年。

嫁さんにホームページビルダーで作ってもらった。

みんな、アクセスカウンター付けてたな。

 

二代目は2010年頃で、HP制作会社に外注しました。

Flashを多用した目まぐるしい動きで、当時の流行り。

FlashもSilverLightも今やディスコンです。

 

三代目は2012年頃で、院内予約システムと統合する目的で自作しました。

当初WebForm使ってポトペタしてたんだけど、SEOに対応すべくMVCで作るべしみたいな風潮になり、MVCパターンを導入しました。

 


これで10年以上運営してたんですが、ややカビ臭が、、、

どーやら、

  • 今時のHPは2カラム、3カラムを採用しない。1カラムで、mobile first !
  • 他院HPのソース見るとcssやjqueryをメガ盛りしてる。

そこで、モダ~ンでresponsiveなHPに改編すべく、書き直しました。

👉他院HPから🍽️ってた地図も差し替えました。🙇🏻‍♂️🙇‍♂️🙇🏾‍♂️


ところが、もうjqueryは古いらしい!

VueとかReactとかいうjavascript frameworkが主流で、MVCも時代遅れで、SPAがトレンドとのこと。

javascriptを一切使わずC#だけで書くBlazorなる新技術もあるらしい。

 

なんかDead on Arrivalかもーだけど、とっても時間がある日が来れば、再改修するかもしれません。

今井尚徳関西医大教授就任パーティに出席しました。

神戸大学出身教授としては4人目ということです。

中村誠神戸大学教授の話では「病棟医長に就任した月から、手術症例数が倍増した」

どんな医局にも「三度の飯より手術好き」という人はいる。

しかし、中村教授によると「単に手術がうまいだけというのではなく、それを定量的に科学に落とし込む」能力、力量に優れている由。

然もあらば、京大配下の大学教授戦にも勝ち抜きえたのかしらむ。


就任挨拶では「眼科はデジタル医療において非常に相性がよい分野である」とのことで、大いに肯んずる次第。 FLACS手術なんか、その最たるものだと思う。

術中リアルタイム表示システム ARGOSについて

当院では、乱視矯正IOLを積極的に挿入しています。乱視軸は、座位の患者さん角膜にマーカーをあてて同定を行っています。
ところが、術中に乱視軸を提示することができるシステムがある哉に聴き、調べてみました。

日本の眼科 95:6号(2024) 白内障手術のデジタルマーキングシステム 根岸一乃慶応大教授 から引用。

乱視矯正効果を最大限生かすためには、予定されたTIOLの固定軸に対してできるだけ正確にTIOLを固定することが重要である。

予定固定軸のマーキングは当初はマニュアルで行われることが主流だったが、現在は生体計測データをデジタル化して手術室のユニットに転送し、術者の顕微鏡の視野にオーバーレイ画像を投影するデジタルマーキングシステムも普及しつつある。

現在、国内では主にARGOS Biometer with ImageGuidance(アルコン)、CALLISTO eyeマーカーレスシステム(カールツァイス)が使用されている。

ALCONの担当者、及びALCON社HPによると

  1. ARGOSはALCON社の顕微鏡以外にも装着できる。
  2. 結膜血管の認証精度が他社製品より高い。
  3. 水晶体の白濁が進んだ白内障グレード以上において他社製品と比較して高い眼軸長データ取得率を実現した。

根岸先生の結語は

TIOL挿入の際のマニュアルマーキングとデジタルマーキングの比較に関しては目標軸への固定精度や残余乱視は改善するものの、視力には有意差がないとの報告もある。

どうなんだろー。

AMOテクニスのOdyssey眼内レンズについて

先日の根岸先生の講演で老眼治療多焦点レンズとしてOdysseyが挙げられていました。
J&Jさんの話では、国内でも有名少数施設で先行使用されているということでしたが、仕様の詳細不明。

ネットで調べたところ、以下のようなことがわかりました。

  • 基本的にはシナジーの進化バージョンらしい。
  • AI設計していて、target errorへの許容度が大きいらしい。
  • 回折格子がとがってなく丸めてありハログレーが少なく、スターバーストはほぼ0%らしい。
  • ループはフロスト加工されているためトリックレンズでも回転しにくい、つまり術後の軸ずれが起こりにくい。

日本では秋口に発売予定で、シナジーより1万円ほどお高いと伺っております。

 


 

ASCRS 2024: George O. Waring IV, MD, shares early results of bilateral implantation with novel IOL technology (ophthalmologytimes.com)

 

 


2024/10/9追記

担当さんの話によると

  1. 回折格子を滑らかにしただけではなく、格子配置、高さがsynergyとは異なる。
  2. ハログレを減らしたためか(?)、近方距離は40cmとなりsynergyの35cmほどには近くが見えないらしい。
  3. これを補うため、synergyのfirst positive戦略を採らず、-0.5程度negativeに合わせる先生もいるとのこと。