近視進行を遅らせるDIMSレンズ眼鏡の効果

日本の眼科2025 p.254~から引用します。

近視治療の代表的なものとしてはOrthokeratology、低濃度アトロピン点眼、多焦点コンタクトレンズ、累進レンズ眼鏡などがある。
この中で安全性からいえば眼鏡によるものが一番と思われるが、従来Orthokeratologyやアトロピン点眼と比べるとその効果は弱いとされていた。

数年前からHOYA株式会社ビジョンケア部と香港理工大学が開発したDIMS(Defocus lncorporated Multiple Segments)レンズという近視進行抑制眼鏡が海外で臨床試験され効果が報告されている。

この新しい眼鏡について調べたところ、DIMS群と単焦点群で

  • DIMS群ですべての観察期間で有意に近視進行が遅れた。
  • DIMS群では近視が弱いほうが進行も緩やかだったが、単焦点群では近視が弱いほうが進行が速かった。

以上から

「DIMSレンズ眼鏡は、近視が弱いうちに装用すると効果がある」と結論付けています。

以前にも述べたようにDIMS眼鏡はビミョーな印象もあるけれども、簡便性ゆえに相変わらず研究が続けられているようですね。

上記のレンズは日本では未発売ということなのでHOYAさんに聞いて、ここで報告します。


2024/6/19追記

上記の件について、HOYAから以下のように教えていただきました。

日本国未承認及び今後の展開が未定であると言うことで具体的な資料の提示は出来ません。ただし、既に、海外で展開している内容がインターネットに出ておりますのでご案内させて頂きます。

Miyosmart _ HOYA Vision Care
https://www.hoyavision.com/vision-products/miyosmart/

HOYAビジョンケアが世界初のメガネレンズ「MiYOSMART」の6年間の追跡臨床研究結果を発表
https://kyodonewsprwire.jp/release/202205060845

HOYA ビジョンケアが欧州での「 MiYOSMART 」の 1 年間の研究結果を発表
https://kyodonewsprwire.jp/release/202310312068

特集:近視 Defocus Incorporated Multiple Segments (DIMS) 眼鏡レンズ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnjvissci/40/4/40_40.99/_pdf/-char/ja

小児における近視抑制治療の最前線(平岡 孝浩) 記事一覧 医学界新聞 医学書院
https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2022/3480_04

HOYAから近視抑制眼鏡が発売されるようです。

以前、 近視進行を遅らせるDIMSレンズ眼鏡の効果 でご紹介した際は、「日本国未承認及び今後の展開が未定で、資料提示は出来ません」だったが、MiYOSMART という名称で近日発売されるらしい。 cf.  近視抑制治療の最前線

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ZeissのMyoCareとは異なるコンセプト。

現下、各眼鏡店で研修中ということなので、詳細わかれば追加報告します。

 


本年も🙇🏻🙇!

↑南アフリカ🐴

「近視抑制治療の最前線ー本格始動の前に知っておくべきポイント」を聴講しました

筑波大学医学医療系眼科 准教授 平岡孝浩先生の講演でした。@  第75回神戸臨床懇話会

外遊びの重要性
  • 大都市以外でも、緯度が高い北海度、青森、宮城に近視が多い。これは、日照時間が少なく、家にこもりがちなため。
  • 一日2時間以上外に出るとよい。屋外時間が長いと、近業が長くても近視になりにくい。つまり、キャンセル効果がある。
  • 台湾では国策でやっており、近視有病率を減らしてきた。日本では「外あそび推進の会」活動をしている。
特殊デザイン眼鏡

●デフォーカス理論によるもの:周辺網膜の遠視性フォーカス(フォーカスが網膜より後ろ)が良くない。そのため周辺部を近視性デフォーカスにする。

  • 大いに期待されたマイオビジョンだが効果がなかった。鼻眼鏡や眼球運動にともない効果が減弱する。☞小生過去ログでも経緯を詳述してます。
  • MyoCare(Zeiss):円柱型リング。1年で有効であるらしい。長期結果は未だ。☞Myokidsの後継、つまり4代目MCレンズ?Zeissに問い合わせ中。→「MyoCareレンズは日本国内では未承認の為、販売未定であり、提供できる資料はない」とのことでした。
  • DIMSレンズ=Defocus Incorporated Multiple Segments 400個埋め込まれている。近視性デフォーカスを形成する。☞これも掲載済み
  • Stellest(Essilor会社):高度な非球面性を有する小型レンズが、同心円状に埋め込まれており近視性デフォーカスを形成する(DIMSレンズに似たコンセプトである)。☞これは初めて聞いた!

●コントラスト理論によるもの:網膜における強いコントラスト信号が眼軸長過伸展のトリガーとなっており、逆にコントラストを低減させる眼鏡を装用すれば近視進行を抑制できる。

  • DOT(SightGlass社)真ん中は単焦点、周りはdiffusion optics technology。☞これも既述
アトロピン点眼
  • ATOM2、ATOM-J、LAMPstudy、Orange Study:「濃度依存性に屈折度、眼軸長抑制効果がある」との結果。副作用とやめた後のリバウンドも同様に濃度依存性であった。0.025%(←参天のリジュセアの濃度)はリバウンドがきつい。十代後半まで長く使うことを推奨する。
オルソケラトロジー
  • 6歳~8歳から始めたほうが良い。抑制効果が高い。
  • リバウンドは?:14歳より若い年齢でリバウンドしやすい。15歳までは続けたほうが良い。
  • 結論:6-8歳で開始、18歳までは継続が理想的である。
  • アトロピンとオルソの併用。が結構強い効果がある。75%有効。
多焦点ソフトコンタクトレンズ
  • デフォーカス型:MiSightクーバービジョン
  • EDoF型:シード1dayPure
    デフォーカス型とEDoF型では、効果に差がなかった。
  • JJ&J ALBILITI:眼軸長抑制効果高い。;7D,10Dを加入している!のでもっとも効くらしい。☞これは初めて聞いた。J&Jに問い合わせ中。→「日本国内では承認されておらず、資料を全く持ち合わせていない」とのことでした。
光線療法
  • Red Light:Repeated Low-level Red-Right(RLRL):650nm,1600 lux、3分×2/day。7割きく。最強と謳われていたが、治療後後の網膜障害、中心窩での錐体の密度低下が観察される。中国では、製造中止となり推奨治療から外されてしまった。
  • Violet Oight:TLG-001J(バイオレットライト照射KB)で治験中
  • Blue Light KB:Mypoia X DopaVision
質疑応答
  • 従来の姿勢とか、外遊びの重要性についても伝える。そのうえで、患者さんの希望があれば上記治療について伝える。やりたくないものは続かない。
  • おすすめ:オルソ>多焦点ソフトレンズ。特殊構造KBが本格化すればなおよろしい。
  • オルソで間歇性外斜視の子供。寝ている間のずれが発生することがある。間歇性であっても、斜視があると難しい。手術をして眼位を正位にしてから治療開始する。アトロピンとか、多焦点ソフトレンズのほうがよいであろう。
  • ブルーライトカットメガネは?:かえって逆効果であろう。エビデンスがない。
  • 多焦点レンズも小1からできる。特に女の子はできる。

ZeissのMyoKids眼鏡 考

ZeissのMCレンズは発売中止だったはずだが、MyoKidsというブランド名で生き残っているらし、と既報した。

そこで、Zeissに直接話を聞いた。

先に言っとくと、この「MyoKidsというレンズは近視治療に役立ちそうな雰囲気の名前だが、医学的エビデンスはない」ということだった。


Zeissの近視対策眼鏡の変遷

初代が、いにしえのMCレンズで、Zeissが合併したソーラー社の製品。岡山大学で15%くらいの有効性であったが、ビミョーな評価なので沙汰やみになった由である。

2代目は正確にはMyoVisionといい、これが「同心円状に遠近度数を入れ込んだだけの老眼鏡レンズで効果がなかった」「有効性が明確に否定された」と逆の意味で有名なレンズ。
以下、あたらしい眼科2020年5月号から引用。

MyoVision(CarlZeiss Vision)として市販されるレンズは,平均30%の近視進行抑制効果を示した。しかしこの値は、近視の家族歴がある学童に限定した後付けのサブグループ分析から得られたものであった。

追試として国内では、家族歴のある学童に対象を限定して7大学共同でRCTが実施された。ところが期待に反して、屈折度、眼軸長いずれにおいても抑制効果はみられなかった。


3代目が件のMyoKidsで、設計は初代MCレンズと「基本同じで若干異なる」とのこと。2代目の同心円状配置ではない。初代よりいやましてエビデンスがなく、近視治療を一切謳っていない。

MyoKidsレンズのパターン配置

パンフレットには

眼鏡レンズによる近視のアイケアは、子供の近視の発症率の高まりにより、
ますます重要性を増しています。様々な治療法も提案されるなかで、眼鏡
レンズは最も実用的かつ消費者にとって選びやすい選択肢です。眼鏡レン
ズは市場に存在する近視コントロールプロトコルと併用することも可能です。

MyoKidsという命名といい、タイトロープを渡るがごとき戦略。。

あゝMCレンズ、以て瞑すべし哉。

 


2022/6/4追記。
Zeissから神戸でのMyoKids取り扱いにつき、以下ご連絡をいただきました:-)

予約優先でされている場合もございますので、お店に行かれる前に電話で確認して頂いた方がスムーズと思われます。

・グラスファクトリー神戸店・・・子供用フレームはございませんが、MyoKidsレンズ対応可能です。

神戸市中央区北長狭通2-5-12
TEL :078-392-3080   11:00~19:00、定休日:毎週水曜日

・マイスター大学堂・・・MyoKidsレンズ対応可能です。子供用フレームもご用意されております。

兵庫県神戸市中央区三宮センター街2丁目
TEL : 078-331-5542営業時間 :午前10:00~午後7:00  営業日:元日のみ休業

処方原則は

  1. 遠方は1.0以上見えるようにする(低矯正にする必要なし)
  2. 近方は基本的に加入度数+1.50Dにする。

2025/5/18 「近視抑制治療の最前線ー本格始動の前に知っておくべきポイント」を聴講しました – 眼科医のブログより

  • MyoCare(Zeiss):円柱型リング。1年で有効であるらしい。長期結果は未だ。☞Myokidsの後継、つまり4代目MCレンズ?Zeissに問い合わせ中。→「MyoCareレンズは日本国内では未承認の為、販売未定であり、提供できる資料はない」とのことでした。

EDoF型の近視抑制コンタクトレンズ

現在のところ、DIMSレンズ(デフォーカス組み込みレンズ)は、日本国内では承認されていない。しかし、デフォーカス機構とは異なった機序のEDoF型タイプのコンタクトレンズはすでに国内承認されている。

そのEDoF型タイプのコンタクトレンズが眼軸長抑制に働くという論文を紹介する。

論文内容を要約すると、

コントロール群と、デフォーカスコンタクトレンズ装用群、EDoF型コンタクトレンズ装用群を対象に近視の進行程度を調べた。

コンタクトレンズ装用群ではデフォーカスコンタクトレンズ装用群、EDoF型コンタクトレンズ装用群ともに、眼軸長伸長が優位に抑えらえた。

抑制効果は、デフォーカスコンタクトレンズ装用群、EDoF型コンタクトレンズ装用群の間で差がなかった。

実は、EDoF型のコンタクトレンズは、シード1dayPureというものがすでに市販されている。このレンズは、本来は老眼世代に対する遠近両用コンタクトである。

つまり、DIMSレンズ(デフォーカス組み込みレンズ) を個人輸入しなくても、このレンズで十分近視抑制効果が期待できるということである。


すでに、近視治療に熱心な医療機関では採用されているということであるので、当院でも早速導入し、アトロピン点眼、オルソケラトロジーに次ぐ第3の治療法として患者さんにはご説明する予定である。


2021/11/5追加情報:上記のシード1dayPureを利用した前向きのコーホート研究が阪大主導で実施中である。「約100人を対象に単焦点・Low(EDoF)・Mid(EDoF)にて研究を実施している」と聞き及ぶので、かなりはっきりした統計結果が得られるだろう、と期待する。

焦点深度拡張型CLを軽度叉は中等度近視と診断された小学生に処方することにより、当該レンズで近視進行抑制効果がどの程度あるか、また、焦点深度の違いにより近視進行抑制効果に差があるかを検証する


2024/3/18追記

質問があったので、調査の上追記す。

左:1Dayピュアマルチステージ・ビューサポート 真中:アルコンクーパービジョンの遠近両コンタクト 右:1Dayピュアイードフ

・1Dayピュアイードフ→全網膜で網膜上と網膜手前に焦点を持つ。
・1Dayピュアマルチステージ・ビューサポート→中心部分は網膜上、周辺部分が網膜手前に焦点を持つ。
つまり、両者のデフォーカス機構は全く異なる。

コントラスト感度を落とした眼鏡で近視を抑制する。

眼軸長伸長を抑制する方法として、低濃度アトロピン点眼と、オルソケラトロジーを当院では採用している。「DIMSレンズ(デフォーカス組み込みレンズ)の実用化が待たれる」と以前に書いた

ところが、全く新しい発想の眼鏡が日本の眼科2021年9月号に掲載されていたので、紹介しする。

神経学者Neitzは、健常者においても網膜における強いコントラスト信号が眼軸長過伸展のトリガーとなっており、逆にコントラストを低減させる眼鏡を装用すれば近視進行を抑制できると考えた(コントラスト理論)。

しかし、現時点でのエビデンスは極めて限られている。レーザーホログラフィー技術を用いて中央部のクリアゾーンを除き、主にコントラストのみを低下させる眼鏡レンズが作成され2年間の大規模RCTが進行中である(Cypresst rial)。

中間分析では、屈折度数と眼軸長における抑制率は,それぞれ平均74%と59%であった。

元論文によると、文中のCypress Trial中は、2022/1/31まで実施予定であり、上記の中間分析とは開始12か月後の中間結果とのことである。

This alternative hypothesis, that high retinal contrast signals the eye to grow, predicted that reducing contrast will slow axial growth and prevent myopia progression. A pilot study to test this hypothesis was performed in children with rapidly progressing myopia. The children wore spectacles made to their prescription in which one lens was a standard of care corrective lens, while the contralateral lens incorporated optical elements that modestly reduced contrast. Remarkably, over the three-month trial period, axial growth was drastically reduced in the treated eyes compared to controls. When the lenses were then switched between eyes (i.e., contralateral crossover), the formerly treated eye resumed its growth, and former control eyes virtually stopped growing.

パイロットスタディーで、3か月間「通常レンズ」と「低コントラストレンズ」を左右に装着した眼鏡を使用させたところ、低コントラストレンズのほうが著しく眼軸伸長が抑えられたとある。


SightGlassという会社が眼鏡を作成しているようなので、「販売しているんですか?」とメールを出しておきました。返事が来たら掲載します。

親子で学ぶ近視サイト

親子で学ぶ近視サイトは、子供にも理解できるような工夫がされていて、しかも、学術的に矛盾がないようにかかれている。

このなかで、しりょくけんさ は、視力表をA4紙に印刷して自宅で視力検査ができるので、お勧めである。

近視の抑制・治療 の頁に書かれてあることは、以前このブログで紹介したことと同一。

「多焦点ソフトコンタクトレンズによる予防」はよく言及されていて、すぐにでも使えそうに書いてあるが、実際にはハードルが高い。それは多焦点レンズは、日本国内では正式認可されておらず、個人輸入しなくてはならないからである。その場合、レンズの度数が合わなかったら、再々輸入、再々々輸入となって不便なこと、この上ない。

一日も早く、DIMSレンズが正式認可さされることを願う。その場合、アトロピン点眼、オルソケラトロジー以外に大きな治療の柱ができるので、近視患者さんへのメリットは大きいと思う。

「網膜内ドーパミンが近視の眼軸長伸長を抑制する」という論文を読みました。

Dopamine signaling and myopia development: What are the key challengesが元論文です。いろいろな論文を総覧したメタアナリシス論文です。

ドーパミンというと、パーキンソン病で低下し、幸福感と関係する重要な脳内トランスミッターという文脈で語られることが多いです。

そのドーパミンが、網膜内においては眼軸長伸長を防止しているというので、やや驚きました。

以下に要約を示します。

Retinal DA, released in response to light, is a stop signal for homeostatic control of myopic eye growth.

光に反応して放出される網膜内ドーパミンは、近視の眼伸長の調整過程における停止信号である。

If DA levels and/or signaling are decreased during myopic eye growth, then increasing DA levels or DA receptor activity would be predicted to prevent myopia. 

もし、ドパミンレベルやドパミンシグナルが近視眼軸長伸長で減少してるのであれば、ドパミンレベルやレセプター活性が近視抑制を予測するであろう。

These observations suggest that a pharmacological approach to the treatment of myopia may be more efficacious than an environmental intervention.

以上の観察より、近視治療の薬物的手法が環境要因の介入(訳注:明るい太陽光などを浴びることを意味している)よりも有用かもしれないと示唆される。

In general, these studies show that activation of D2-like receptors by subconjunctival or intravitreal agonist injection mimics the protective effect of periods of unobstructed vision on FDM.

一般的に言って、これらの研究から、ドパミン2レセプターを結膜下あるいは硝子体内にドパミン作動薬を注入することによって、FDM(form deprivation myopia,形態覚遮断近視,視性刺激遮断近視)の非遮蔽眼と同様の防御効果がえられることを示している。

From a therapeutic perspective, local administration of apomorphine (APO) and DA by eye drops may achieve therapeutic effects on myopia, with reduced systemic side effects. 

治療的観点からすると、アポモルフィンやドパミンの点眼によって、全身副作用を抑えつつ、近視治療効果を上げることができるかもしれない。

Furthermore, bi-phasic effects have been reported for APO and the D2-like agonist quinpirole on control of myopia: high doses of APO inhibit FDM, while low doses promote FDM in guinea pigs (Jiang et al., 2014b); in contrast, quinpirole inhibits myopia at low doses and promotes myopia at high doses in C57/BL6 mice (Zhou, unpublished data)

さらに言うと、アポモルフィンやD2関連作動薬クインピロールの近視に対する影響は二相性がある。高容量アポモルフィンはモルモットにおける視性刺激遮断近視を抑制するが、低用量だと逆に促進する。一方で、クインピロールはマウスの近視を低用量では抑制するが、高容量では促進する。

坪井先生が提唱する「バイオレットライトが近視抑制に有効」というのも、網膜内ドパミンレベルを上昇させることによって効いてるのかもしれない。

緑内障治療で埋め込み型徐放性薬剤デリバリーシステムが実用化されつつあるのと同様、オルソケラトロジーレンズやDIMSレンズ(デフォーカス組み込みレンズ)にドパミンアゴニストを含ませるような方式が開発されると理想的でしょうね。

デフォーカス組み込み型の近視抑制コンタクトレンズ

原題は「A 3-year Randomized Clinical Trial of MiSight Lenses for Myopia Control」です。MiSightはクーパービジョンが発売しているDIMSレンズ(デフォーカス組み込みレンズ)の使い捨てディスポレンズです。日本では未認可です。

論文を以下に要約すると、

治験参加者は8歳から12歳の近視児童。
治験デザインはMiSightレンズ装用者53名、プロクリアー1Day(コントロール)装用者56名。二重盲検。
結果「3年後の結果で、屈折度は 59% (−0.51 ± 0.64 D vs −1.24 ± 0.61 D) =0.73D、眼軸長は52% (0.30 ± 0.27 mm vs 0.62 ± 0.30 mm) =0.32mm抑制された。

近視治療の効果を見ると、0.01%アトロピン点眼には及ばないが、オルソケラトロジー程度の効果はあるようですね。オルソと違う点は日中普段使いできるという点かな。

個人輸入で試すことは可能なようですから、ご希望の方はお申し付けください。

 

近視治療用の多焦点眼鏡とデフォーカス組み込み型コンタクトレンズ

以前、当院ではMCレンズ(カールツァイス製)を処方していたのだが、いつの間にか製造中止になってしまった。

あたらしい眼科2020年5月号p.531 長谷部聡先生によると

MyoVision(CarlZeiss Vision)として市販されるレンズは,平均30%の近視進行抑制効果を示した。しかしこの値は、近視の家族歴がある学童に限定した後付けのサブグループ分析から得られたものであった。

追試として国内では、家族歴のある学童に対象を限定して7大学共同でRCTが実施された。ところが期待に反して、屈折度、眼軸長いずれにおいても抑制効果はみられなかった。

「MCレンズはたんに同心円状に遠近度数を入れ込んだだけの老眼鏡レンズで効果がなかった」というのが真相のようです。

これにたいして、DIMSレンズ(デフォーカス組み込みレンズ)という新発想のレンズが紹介されている。

従来のRRGレンズやMSCLによる治療は周辺部網膜で後方へのデフォーカスを取り除くことを主眼としてきたが、3次元空間で生活している限り、方法論としての限界があった。これに対する逆転の発想が,「デフォーカス組み込みレンズ」である。

眼軸長の視覚制御の仕組みが、どのようにデフォーカスの極性〔フォーカスが網膜の前方にあるか後方にあるか)を判断しているか、調節微動、色収差、軸外非点収差など諸説あるが結論は得られていない。

しかし、複数の動物実験において、極性の異なる二つのフォーカスを同時に与えると、眼軸長の視覚制御が機能不全に陥る可能性が示されている

この実験結果に基づき、defocus incorporated multiple segment(DIMS)眼鏡が考案された。

表面に微小なレンズがびっしり仕込まれていレンズで、以前のMCレンズとは異なる原理のようだ。白内障手術で用いるEDoFレンズに似ている印象。

次回は、実際にこのレンズの処方について述べます。