ブルーライトカット眼鏡について

「ブルーライトをカットする眼鏡は目に良いですか?」とよく言われるが、はっきりとしたエビデンスはないようです。

日本眼科医会の見解は以下の通りです。

  1. デジタル端末の液晶画面から発せられるブルーライトは、曇天や窓越しの自然光よりも少なく[1]、網膜に障害を生じることはないレベルであり、いたずらにブルーライトを恐れる必要はないと報告されています[2]
  2. 小児にとって太陽光は、心身の発育に好影響を与えるものです。なかでも十分な太陽光を浴びない場合、小児の近視進行のリスクが高まります[3]。ブルーライトカット眼鏡の装用は、ブルーライトの曝露自体よりも有害である可能性が否定できません[4]
  3. 最新の米国一流科学誌に掲載されたランダム化比較試験では、ブルーライトカット眼鏡には眼精疲労を軽減する効果が全くないと報告されています[5]
  4. 体内時計を考慮した場合、就寝前ならともかく、日中にブルーライトカット眼鏡をあえて装用する有用性は根拠に欠けます。産業衛生分野では、日中の仕事は窓ぎわの明るい環境下で行うことが奨められています[6]

眼鏡やPC業界のトークに乗せられないようにする必要がありますかねー。


[1].綾木雅彦、他.住宅照明中のブルーライトが体内時計と睡眠覚醒に与える影響.住総研研究論文集 2016;42:85-95https://www.jstage.jst.go.jp/article/jusokenronbun/42/0/42_1408/_pdf/-char/ja
[2].Duarte IA, et al. Ultraviolet radiation emitted by lamps, TVs, tablets and computers: are there risks for the population? An Bras Dermatol 2015;90:595–597
[3].Eppenberger LS, et al. The role of time exposed to outdoor light for myopia prevalence and progression: A literature review. Clin Ophthalmol 2020;14:1875-1890
[4].American Academy of Ophthalmology. Should You Be Worried About Blue Light?https://www.aao.org/eye-health/tips-prevention/should-you-be-worried-about-blue-light (参照2021-04-12).
[5].Singh S, et al. Do blue-blocking lenses reduce eye strain from extended screen time? A doublemasked, randomized controlled trial. Am J Ophthalmol, doi: 10.1016/j.ajo.2021.02.010. Online ahead of printhttps://www.ajo.com/article/S0002-9394(21)00072-6/abstract
[6].Lowden A, et al. Working Time Society consensus statements: Evidence based interventions using light to improve circadian adaptation to working hours. Ind Health 2019;57:213–227https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6449639

「近視抑制治療の最前線ー本格始動の前に知っておくべきポイント」を聴講しました

筑波大学医学医療系眼科 准教授 平岡孝浩先生の講演でした。@  第75回神戸臨床懇話会

外遊びの重要性
  • 大都市以外でも、緯度が高い北海度、青森、宮城に近視が多い。これは、日照時間が少なく、家にこもりがちなため。
  • 一日2時間以上外に出るとよい。屋外時間が長いと、近業が長くても近視になりにくい。つまり、キャンセル効果がある。
  • 台湾では国策でやっており、近視有病率を減らしてきた。日本では「外あそび推進の会」活動をしている。
特殊デザイン眼鏡

●デフォーカス理論によるもの:周辺網膜の遠視性フォーカス(フォーカスが網膜より後ろ)が良くない。そのため周辺部を近視性デフォーカスにする。

  • 大いに期待されたマイオビジョンだが効果がなかった。鼻眼鏡や眼球運動にともない効果が減弱する。☞小生過去ログでも経緯を詳述してます。
  • MyoCare(Zeiss):円柱型リング。1年で有効であるらしい。長期結果は未だ。☞Myokidsの後継、つまり4代目MCレンズ?Zeissに問い合わせ中。→「MyoCareレンズは日本国内では未承認の為、販売未定であり、提供できる資料はない」とのことでした。
  • DIMSレンズ=Defocus Incorporated Multiple Segments 400個埋め込まれている。近視性デフォーカスを形成する。☞これも掲載済み
  • Stellest(Essilor会社):高度な非球面性を有する小型レンズが、同心円状に埋め込まれており近視性デフォーカスを形成する(DIMSレンズに似たコンセプトである)。☞これは初めて聞いた!

●コントラスト理論によるもの:網膜における強いコントラスト信号が眼軸長過伸展のトリガーとなっており、逆にコントラストを低減させる眼鏡を装用すれば近視進行を抑制できる。

  • DOT(SightGlass社)真ん中は単焦点、周りはdiffusion optics technology。☞これも既述
アトロピン点眼
  • ATOM2、ATOM-J、LAMPstudy、Orange Study:「濃度依存性に屈折度、眼軸長抑制効果がある」との結果。副作用とやめた後のリバウンドも同様に濃度依存性であった。0.025%(←参天のリジュセアの濃度)はリバウンドがきつい。十代後半まで長く使うことを推奨する。
オルソケラトロジー
  • 6歳~8歳から始めたほうが良い。抑制効果が高い。
  • リバウンドは?:14歳より若い年齢でリバウンドしやすい。15歳までは続けたほうが良い。
  • 結論:6-8歳で開始、18歳までは継続が理想的である。
  • アトロピンとオルソの併用。が結構強い効果がある。75%有効。
多焦点ソフトコンタクトレンズ
  • デフォーカス型:MiSightクーバービジョン
  • EDoF型:シード1dayPure
    デフォーカス型とEDoF型では、効果に差がなかった。
  • JJ&J ALBILITI:眼軸長抑制効果高い。;7D,10Dを加入している!のでもっとも効くらしい。☞これは初めて聞いた。J&Jに問い合わせ中。→「日本国内では承認されておらず、資料を全く持ち合わせていない」とのことでした。
光線療法
  • Red Light:Repeated Low-level Red-Right(RLRL):650nm,1600 lux、3分×2/day。7割きく。最強と謳われていたが、治療後後の網膜障害、中心窩での錐体の密度低下が観察される。中国では、製造中止となり推奨治療から外されてしまった。
  • Violet Oight:TLG-001J(バイオレットライト照射KB)で治験中
  • Blue Light KB:Mypoia X DopaVision
質疑応答
  • 従来の姿勢とか、外遊びの重要性についても伝える。そのうえで、患者さんの希望があれば上記治療について伝える。やりたくないものは続かない。
  • おすすめ:オルソ>多焦点ソフトレンズ。特殊構造KBが本格化すればなおよろしい。
  • オルソで間歇性外斜視の子供。寝ている間のずれが発生することがある。間歇性であっても、斜視があると難しい。手術をして眼位を正位にしてから治療開始する。アトロピンとか、多焦点ソフトレンズのほうがよいであろう。
  • ブルーライトカットメガネは?:かえって逆効果であろう。エビデンスがない。
  • 多焦点レンズも小1からできる。特に女の子はできる。

白内障と生体リズム

睡眠や深部体温に代表される生体リズムは,内分 泌・代謝・循環・精神機能など多くの生理機能に関 与しています。

この生体リズムの乱れは肥満・脂質異常・糖尿病・高血圧・精神障害・うつ・脳卒中・虚血性心疾患・がんなどの多くの疾病と関連します。

ヒトの生体リズムには網膜での光受容が最も重要で、網膜神経経節細がブルーライトを感じて生体リズムを調整しています。

白内障があるとちょうどブルーライトの波長が遮断され.十分に眼内に届かないため生体リズムが障害され、生体リズムを崩すと考えられています。

最近のPCは夜間になるとブルーライトが軽減される仕組みになっている。

ところが、白内障があると、「ブルーライトを一日中カット」→「朝から晩まで夜間状態だと体が勘違い」となるのな。