アルコール飲酒と白内障リスク

www.nature.com/articles/s41598-022-24465-2 によると、

People who drank more alcohol were more likely to need cataract surgery.
Even those who drank moderately had an increased risk.

Our study suggests that cataracts may progress even in low frequency and light to moderate drinkers who consume less than 2 drinks (20 g of pure ethanol) per day, compared to that non-drinkers.

飲酒量が多い人は白内障手術が必要になる可能性が高かった。
適度に飲酒した人でもリスクが増加した。

飲酒しない人に比べて、1日あたり2杯(純エタノール20g)(※)未満しか摂取しない低頻度の軽度から中程度の飲酒者でも白内障が進行する可能性があることが示された。


眼科以外の分野でも、

Even a Little Alcohol Can Harm Your Health, Research Shows – The New York Times (nytimes.com) 

The main way alcohol causes health problems is by damaging DNA. 
More recent research has found that even low levels of drinking slightly increase the risk of high blood pressure and heart disease.
“Drink less, live longer” 

と、もはやタバコなみの扱いである。


飲酒には、Jカーブ効果があり「飲みすぎはNGだが、適量ならOK」だったんでわ~~😿
世の中の流れはSober Curiosの方向かしらむ。


※缶ビール5%500ml1本≒純エタノール20gの模様。

老眼診療アップデートを聴講しました。

神戸大学同窓会で、根岸一乃慶応大学教授のお話を聞きました。

保存的治療については、老眼治療の新しい点眼薬 とほゞ同じくでした。

外科的治療は、多焦点眼内レンズ一択とのこと。
※キャプチャー画面の提示は厳禁とのことなので、内容のみ提示します

  1. 老眼診断に最適な近方視力は0.4ではなく、1.0である。
  2. 多焦点レンズのtargetは球面誤差±0.25D以内、乱視誤差-0.5D以内
  3. 眼位異常(特に、内斜視・上下斜視)は術後不満が出やすい。
  4. ドライアイも不満が出やすいのであらかじめ治療しておく。
  5. アイハンスは、70歳未満の若年白内障患者では、中間視力、近見視力の回復が得られやすい。→アイハンス採用するなら若い方が良い。
  6. 術後の不満に直結するのは①術後の霞み、コントラスト感度の低下②遠方視力が出ない③グレハロで、中間視力近見視力は無関係である。

上記4、5は、当院でも要注意かな。

近視予防週間です。

BHVIから5/13~5/19は近視予防啓蒙週間ですとのお知らせがあり、関連記事を読みました。


以前はやや怪しい印象を持っていたred light治療でしたが、注目を浴びつつある印象です。

Red Light Therapy for Myopia: Merits, Risks, and Questions – Review of Myopia Management (reviewofmm.com) を要約すると、

1日2回、3分間赤色光を見るだけなので親子にとって望ましい選択肢になりうる。
懸念すべき点は
1.長期にわたる安全性が担保されていない。
2.どのような機序によって、近視抑制ができているのかが解明されていない。

「有効な近視抑制手段かどうかについては、さらなる研究が必須」という結論でした。


私的感想

  1. red light治療が全面的に承認されている感は未だしである。
  2. violet lightかred lightか論争はサプリメント議論に似る。サプリより食物が大事とおなじで、太陽光線を浴びるのが一番では?

 

iFaceのZoom講義を受けました

iFace本社はカナダですが、製造はアルゼンチンかも?で同国からのZoom配信。
👉アルゼンチンは美容大国らしい。

 

アラガンの実技演習は既に受講しており、今回はお手入れとか、注入物の処理みたいな話でした。


ただ、男性のアルゼンチン英語は、ほとんど分からんかったとです。
女性の方はまだ分かる。。

当院にくる外国の方にもいえるが、英語が母語でない場合女性のしゃべくりの方が聴きとれる。
なぜか、話も疎通する。

コニュニケーションに関する言語中枢は、Femaleがかなり優秀なんでは?と感じた次第。


●取り扱い説明書

●S1 iFaceSimulator VIDEOS:

近視進行を遅らせるDIMSレンズ眼鏡の効果

日本の眼科2025 p.254~から引用します。

近視治療の代表的なものとしてはOrthokeratology、低濃度アトロピン点眼、多焦点コンタクトレンズ、累進レンズ眼鏡などがある。
この中で安全性からいえば眼鏡によるものが一番と思われるが、従来Orthokeratologyやアトロピン点眼と比べるとその効果は弱いとされていた。

数年前からHOYA株式会社ビジョンケア部と香港理工大学が開発したDIMS(Defocus lncorporated Multiple Segments)レンズという近視進行抑制眼鏡が海外で臨床試験され効果が報告されている。

この新しい眼鏡について調べたところ、DIMS群と単焦点群で

  • DIMS群ですべての観察期間で有意に近視進行が遅れた。
  • DIMS群では近視が弱いほうが進行も緩やかだったが、単焦点群では近視が弱いほうが進行が速かった。

以上から

「DIMSレンズ眼鏡は、近視が弱いうちに装用すると効果がある」と結論付けています。

以前にも述べたようにDIMS眼鏡はビミョーな印象もあるけれども、簡便性ゆえに相変わらず研究が続けられているようですね。

上記のレンズは日本では未発売ということなのでHOYAさんに聞いて、ここで報告します。


2024/6/19追記

上記の件について、HOYAから以下のように教えていただきました。

日本国未承認及び今後の展開が未定であると言ことで具体的な資料の提示は出来ません。ただし、既に、海外で展開している内容がインターネットに出ておりますのでご案内させて頂きます。

Miyosmart _ HOYA Vision Care
https://www.hoyavision.com/vision-products/miyosmart/

HOYAビジョンケアが世界初のメガネレンズ「MiYOSMART」の6年間の追跡臨床研究結果を発表
https://kyodonewsprwire.jp/release/202205060845

HOYA ビジョンケアが欧州での「 MiYOSMART 」の 1 年間の研究結果を発表
https://kyodonewsprwire.jp/release/202310312068

特集:近視 Defocus Incorporated Multiple Segments (DIMS) 眼鏡レンズ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnjvissci/40/4/40_40.99/_pdf/-char/ja

小児における近視抑制治療の最前線(平岡 孝浩) 記事一覧 医学界新聞 医学書院
https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2022/3480_04

オルソケラトロジーのデータ表

他院からオルソケラトロジーの引継ぎでこられた患者さんが、以下のようなデータ票を持ってこられました。

よくできているので、早速当院でも採用させていただき、以下のようなエクセルフォーマットを作りました。


今後、当院のオルソケラトロジー外来を受診された患者さんに配布する予定です。

ミニモノビジョンについて

FEST(Fellow-Eye Self-Turning )法をAlcon Experience Academyの第77回日本臨床眼科学会ライブラリーで拝聴しました。

講演者は金沢医科大学 佐々木洋先生です。

要約すると

優位眼の片眼手術にVivityを挿入した後、その術後眼に+0.5Dを付加し-0.5Dの近視状態を作ってたうえで、遠見・中間・近見の視力を測定する。
満足できる視力であれば、対眼にもVivityを-0.5Dのミニモノビジョンで入れる。
満足できない結果であれば対眼にはPanOptixをいれる。

これによって、患者さんの満足度があがり、術者も自信をもってレンズ選定が可能となる。


これは有効な手法なので、当院の主力レンズであるアイハンスのモノビジョンでもはぜひ実践すべし、、と考えた。

そこでアイハンスの英文論文を探し、Comparison of visual performances of enhanced monofocal versus standard monofocal IOLs in a mini-monovision approach を読む。

<方法>
単焦点レンズのミニモノビジョンとアイハンスのミニモノビジョンを比較した。
<結果>
アイハンスノモノビジョンが中間視力、近見視力ともに優秀であった。
コントラスト感度特性もより良好であった。
QOLスコアも優れていた。

👉著者はJ&Jとは利益相反なしである。


前回も言ったように、アイハンスは乱視ラインアップが豊富で、患者さん満足度とも相関が高い乱視矯正が容易である。

以上より、保険医療で、ハログレがほぼ々々なくって、中間~近見視力がそこそこよいなら、非常に好ましい選択といえるのではないか?

当院でも積極的に患者さんに提案していこうと考えています。


2024/4/13 追記
この手法は、
①保険で
②できるだけミニウェルプロクサ的な遠見~近見視力獲得
を実現する手段とみることもできる。

「専門分野から見たアイハンスの臨床評価」を受講しました。

硝子体術者として慶応大学の國方彦志先生、緑内障術者として島根医大の谷戸正樹先生のご講演。

単焦点レンズと比べて、遠見視力、コントラスト感度特性に差はないが、-1.5D当たりの中間視力が優れている。
ハログレのアンケート調査でも差はない。

という予定調和な内容でした。


アイハンスは、トーリックレンズに力を入れているようであり、

「フロスト加工ので回転しにくい」とのことです。
当院でも、-1.5D以上の乱視者全員に採用しています。

アイハンスの適合レンズの選定url
ちなみに、アルコンはこちら


両演者ともターゲットは-0.5D~0Dに合わしている由。
当院では、ここで言った理由によりほぼ0Dを狙い。希望時には対眼でマイクロモノビジョン的にマイナス度数を入れています。

多焦点レンズ記事のおまとめ

最近、多焦点レンズを希望される方が、若干増加してきた印象である。
皆さん、よく勉強しておられ、当ブログも読み込んでおられる。

ただ、何分の散文集につき、所在が分かりづらい指摘もあり、おまとめしてみた。


・多焦点レンズ一覧

当院で取り扱っている多焦点レンズの比較

・各種レンズの記事

PanOptixとSynergyの比較

PanOptixとVivityの比較

Synergyについて

Synergyの目標ターゲット

Odysseyについて

Vivityについて(1)

Vivityについて(2)

Vivityについて(3)

Eyehanceについて(1)

Eyehanceについて(2)

Eyehanceについて(3)

Eyehanceについて(4)

Eyehanceについて(5)

Eyehanceについて(6)

EyehnaceとVivityの比較

Lentis Comfortについて

Miniwellについて

Intensityについて

・見え方のSimulator

多焦点眼内レンズのシミュレータ

多焦点眼内レンズのシミュレータ2

・モノビジョン

ミニモノビジョンについて


上記のうち、「シミュレータで見え方を確認して、決めました」という人が存外に多く、その有用性に気付かされる。

パキコロイド疾患の診断と治療-up to date-@兵庫県眼科医会臨時総会2024-2-17を聴講しました。

最近黄斑関連でよく名前をきく神戸大学三木明子先生のご講演でした。

パキコロイドの定義問題

パキコロイドは本来は『pchychoroid=pachy(厚い)+choroid(脈絡膜)から日本語では「脈絡膜が分厚い症候群」』だったが現在は、脈絡膜肥厚よりもPachyVesselsの拡張(脈絡膜拡張血管)を重視することになったらしい、です。

CSCの分類

Simple型:下記のComplex以外
Complex型:2乳頭径以上の網膜色素異常 and/or 多発性の網膜色素異常

治療予後に関連する因子

予後判定にはONL層の厚みが関連する。エリプソイド ゾーンではない。
ONL層の厚みが65.5μ以下だと予後が悪い。これは、罹病期間120日前後に相当する。
よって、半年以内の治療開始が望ましい。

NFL:網膜神経線維層
GCL:神経節細胞層
IPL:内網状層。
INL:内顆粒層
OPL:外網状層
ONL:外顆粒層
EML:外境界膜
EZ:エリプソイド ゾーン
RPE:網膜色素上皮


三木明子先生は子育てと仕事の両立に苦慮してくるということ。
中村教授から「旦那に寝かしつけを任せなさい」とアドバイスありました~