この研究によると、
- 受動喫煙群では等価球面度数が0.09D、眼軸長が0.05mm伸長していた。
- 中等度近視と高度近視のオッズ比は、それぞれ1.30、2.64となる。
- 近視の平均発症年齢が低くなる。
高度近視のオッズ比、高いな。
近視児の両親に「タバコ吸ってませんね?」と確認せねば、、である。
この研究によると、
高度近視のオッズ比、高いな。
近視児の両親に「タバコ吸ってませんね?」と確認せねば、、である。
3Dプリンタで、院外受付機とか院内備品を作れたら素晴らしいんでは?と考えPrusa MK4を購入しました。
「全て工作」が流儀らしいんだが、ヘナチョコなので完成品を輸入した。。
つもりが、「エンクロージャは自分で組み立ててね😊」と斜め上の製品仕様につき、結局、数日以上を費やしました。
●使用方法(ソフトウェア対応)
「製作用のstlデータをthingiverseやprintablesからダウンロード and/or 360FusionやTinkercadで作成 →PrusaSlicerでg-codeに変換→PrusaConnectにアップロードして印刷」
これは、簡単。
●目詰まり対処(ハードウェア対応)
印刷開始でいきなり目詰まり😒よくあることらしい。
1.バイク用の0.4mm経の針金をnozzle下方から突っ込むか、太い針金を上から突っ込んでガシガシする。
2.だめなら、ノズルの交換か、nextruderの分解掃除
こっちは、とても面倒。
上記の3DBenchyなるものを印刷するのが、2Dプリンタのテストプリントに相当するらし。
受付機が印刷できたら、アップします。
参考サイト
京都府立医大 稗田牧先生のご講演@兵庫県眼科医会特別講演
色々と目新しいことを、聴けました。
動物実験では、ぼやけが強い(≒高次収差が強い)ほど眼軸長が延長する。しかし、近視矯正手段であるタオルソケラトロジー、多焦点CL,アトロピン点眼はいずれもぼやけが強くなる手段である。つまり、動物実験と臨床経験が矛盾する。
これについては「中央網膜では高次収差が少なく、周辺網膜では高次収差が多いほうが近視抑制に働くのではないか?」と稗田先生ご自身は想定しているとのことでした。
●Lens induced myopia
過矯正眼鏡が近視を進めることは、臨床経験上知られてきた。
今では、これは論文レベルで根拠がある。
●正視眼と近視眼の違い
正視眼のひとにプラスレンズを挿入すると、45分程度で眼軸長が短縮する!ところが、近視眼の人にプラスレンズを入れると眼軸長が延長する。
従って、近視では低矯正眼鏡であっても眼軸長延長の可能性がある。
近視は眼軸長の調節機序が働かず、眼軸長が伸びる一方という疾患なのかもしれない。
●アトロピン点眼の有効性について
日本人を対象とした研究では、0.01%アトロピンの点眼の有効性が、他国人(≒欧州人、シンガポール人)よりも出にくい。
なぜなのかを研究したところ、日本人は他国人よりも薄暮時の瞳孔径が大きいことが判明した。
すなわち、交感神経が優位気味だとアトロピンが効きにくにいということ。
●アトロピン点眼の濃度依存性
いままでは、アトロピンは濃度依存性にきくとされてきた(LAMP study)
2023年の米国発表では0.01%には効果があったが、0.025%では効果がなかった由。
●アトロピン点眼の近視予防効果
0.05%アトロピンを近視になる前に点眼すると、近視発症予防効果があることが判明した。
2023/10/14 北里大学医療衛生部 神谷和孝教授@大阪眼科手術の会です。
日本眼科学会の公式見解:緑内障眼は多焦点レンズ挿入の除外対象
かつての2焦点レンズのころはコントラスト感度の低下が著しかった。
3焦点レンズ、EDoFレンズと技術進展に伴い、最近ではコントラスト感度の低下はほとんど見られないという報告が増えてきている。
以上の条件が満たされるなら、緑内障眼でも挿入可能か?と風向きが変わりつつある。
追加
アイファガン点眼(交感神経α2作働薬)には縮瞳効果があり、グレハロ軽減に役立つ。
PanOptixやアイハンスは、やや近視側に振るのが通説になってる。
しかしSynergyはやや遠視側に寄せる。
以下、大内雅之先生 TECNIS発売10周年記念講演から引用。
上図の3焦点はPanOptixでFirstNegative、SynergyはFirstPositiveといってます。
以前のエントリーに掲載した下図Defocus曲線を見れば、SynergyはPanOptixとくらべて±0.5Dでの傾きが非対称である。
ここで紹介した下図でも同様の傾向。
結論
第25回兵庫県眼科フォーラム@ポートピアホテルを受講しました。
黄斑円孔は初回閉鎖率が95%に達する。
閉鎖しない5%については、内境界膜を近位網膜からはがしたうえで有形移植するという手法を採用しているということでした。
初回の円孔手術でも、かつてのように内境界膜を剥いて終わるのではなく、内境界膜を残して裏返しにかぶせるとか、↓のような各種組織を詰め物する手法が開発されている。
黄斑円孔は、ほぼ完治するステージに入ったということですね。
黄斑浮腫症例にラニビズマブBS(=ルセンティスのバイオシミラー)を硝子体注射して、いまいち浮腫がひかんなーという症例で、VEGFに加えてAng-2(Angiopoietin-2)という悪玉因子にもきくバビースモにスイッチしてみましょうと提示する。
薬価はラニビズマブBS79,348円→バビースモ163,894円と倍するので、患者さんも「効きますか!」という反応。
実際に2倍効果があるのかというと、どうなんだろう?
以前、神戸大学の三木 明子先生が質問に応える形で
バビースモを実際に使った手応え、切れ味はどうか?→AMDの未治療についてはバビースモでよい。治療スイッチについては症例不足で不明。
担当者がいうには、三木先生が近く「スイッチ症例では3割から5割奏功する」みたいな論文を発表されるらしい。症例数は20例くらいらしい。
どういう症例がスイッチに適するのか?奏功の判断基準などをぜひ知りたいものである。
2023/10/7追記
上記論文は、Short-Term Outcomes of Faricimab Treatment in Aflibercept-Refractory Eyes with Neovascular Age-Related Macular Degeneration として発表されました。
簡約すると、「55症例のアイリーア無効例で、バビースモにスイッチしたところ、網膜中心厚が有意に減少した」「網膜内液は16.4%で減少、網膜下液は40%で減少」
担当さんがいっていた40%というのは網膜下液のことを言っているようだ。
下図bなら、そこそこ効いてる?という印象ではある。
2023/10/15追記
当院のラニビスマブBS→バビースモの自験例では、三木先生の発表と同様の印象です。つまり視力が改善するほどではないが、網膜厚が減る症例がかなりの確率で存在する。
患者さんとしては「よくなりましたー!」という感じでもないが、ドクターサイドとしては「明らかに改善!」「やってよかったですね」という状況。
マイオピン以外は当院規定。マイオピンはここ準拠。
治療方法 | 費 用 内 訳 | 1年間合計 | 近視抑制率÷年間費用(%) |
アトロピン点眼 | 1本250円×12 | 3,000円 | 1.9 |
オルソケラトロジー一括払い制 | 検診1,950円×12+初年度11万円~13万円(2年目から原則不要) | 23,400円+初年度のみ11万~13万 | 0.03 |
オルソケラトロジー定額制 | 検診1,950円×12+6,600円~7,700円×12 | 23,400円+79,200円~92,400円 | 0.04 |
EDoF型近視抑制コンタクトレンズ | 1箱(片眼)3,630円(キャンペーン時3,190円)×2×12 | 87,120円(キャンペーン時76,560円) | 0.05 |
クロセチン | 3,300円×12 | 39,600円 | 効果不明 |
マイオピン0.01% | 1本4,000円×12+1~3か月毎定期検診(2,000円~2,500円) | 48,000円+1万~1.25万 | 0.10 |
マイオピン0.025% | 1本5,000円×12+1~3か月毎定期検診(2,000円~2,500円) | 60,000円+1万~1.25万 | 0.08 |
当院作のアトロピン点眼が図抜けてるな!😊
マイオピンは、当院品とほゞ同一である。上図から、絶妙な戦略とゆーか、価格設定が看て取れる。
「新生血管治療薬以来の画期薬」という触れ込みにつき、受けました。
RPE65遺伝子はRPE65蛋白を産生する。このRPE65蛋白は杆体細胞+網膜色素上皮の視覚サイクルで11-cisレチノールの再生に必要である。RPE65蛋白が存在しないと、前段階のレチニルエステルが貯留し毒性を持つレベルに達すると杆体細胞が死滅する。
正常なRPE65遺伝子を組み込んだ病原性のないアデノ随伴ウイルス2型(AAV2)を網膜下へ注射する。
「RPE65遺伝子の両アレル性変異」に起因するIRD(inherited redinatl dystorophy、遺伝性網膜ジストロフィー)
臨床疾患名としては「レーバー先天盲、網膜色素変性症」が対象となる。
1回分の薬格は約4960万円。
遺伝子検索が求められるため、2023/9/3現在
1. 眼科疾患初の遺伝子治療薬「ルクスターナ注」発売
2.「両目で1億円」遺伝子治療薬、保険適用へ 対象は5年で15人
2024/10/26追記
2024/10/26行護憲眼科医会総会での弘前大学上野真治教授講演より
・適応は、OCTで視細胞の形態が保存されいてる10歳以下の年代
・視力は改善しない。視野や案順応が若干改善するかもという程度。
それで、両眼1億円というのは悩ましいな。
最近、問い合わせが多いので調査しました。
以前も書いたが、慶応大学の研究成果です。
「内服で、眼軸長延伸が抑制」を不思議に感じたので、機序を調べた。
クロセチンは、慶應義塾大学医学部眼科学教室の近視研究チームが、「EGR1を活性化する食品成分」を探したところ、 「クロセチン」が群を抜いてEGR1遺伝子を活性化させることがわかりました。
よって、EGR1が重要なメディエータと思しき。。
EGR1(early growth response 1)は、細胞の増殖を調整したり、腫瘍の形成を予防するような遺伝子です。
屋外環境に豊富にある波長域360-400nmの光を浴びると、実験近視モデルで眼軸長伸長が抑制され、EGR1が有意に上昇していることが確認されました
更に、このドーパミン説とも関連するんだけど、
EGR1(Early Growth Response 1)は、特定の神経活動や神経伝達物質の影響を受けて発現します。ドーパミンはそのような神経伝達物質の一つで、報酬や動機づけ、運動制御などに関与しています。
ドーパミンがEGR1の発現を誘導するという研究結果があります。例えば、”Dopamine induces expression of the immediate early gene zif268 (Egr1) in striatal neurons by diverse signaling pathways”という論文(Minatohara, Keiichiro et al., 2016)では、ドーパミンがストリアタム(脳の報酬系に関与する部分)のニューロンでEGR1の発現を誘導することを示しています。
以上、踏まえると
・クロセチンを摂取 and/or 太陽光線を浴びる
↓
・網膜内ドーパミン活性が亢進
↓
・EGR1遺伝子の発現が亢進
↓
・細胞増殖が抑制される
↓
・眼軸長の延長が抑制される
↓
・近視が抑制される
という流れが想定される。