過去LASIKを受けた患者さんに白内障手術を行う場合、通常の眼内レンズ算定式は適用できない。
LASIK施行症例ではIOL度数計算が難しく、通常の角膜屈折力及び度数計算式を用いると、術後に遠視化する。
屈折矯正術後のPEA+IOL挿入術後に遠視化する要因はいくつかあるが、主にIOL挿入術前の角膜屈折値の評価誤差と、前房深度予測誤差の二つによる。
当院でもそのような症例が増加傾向にあるので、LASIK施行後の眼内レンズ算定式について調べた。
日本眼科医会の「4.屈折矯正手術後眼でのIOL度数計算式」によると
・Barrett True-K式は厚肉光学を用いたBarrett Universal II式が元になっており、計算に必要なパラメータは眼軸長、K値、前房深度で、水晶体厚、角膜横径は任意である。lens factor(LF)という独自の定数を用いるが、詳細は非公表である。
・Haigis-L式では、角膜屈折力を用いず、眼軸長と術前前房深度の重回帰式からELP(effective lens position)を予測する。屈折矯正手術前のデータが不要である。
・Barrett True-K式は、APACRS(Asia Pacific Association of Cataract & Refractive Surgeons)からオンライン計算が可能である。
・Haigis-L式は、ASCRS(American Society of Cataract and Refractive Surgery)→「Prior Myopic LASI/PRK」からオンライン計算が可能である。
Barrett True-K式のほうが、眼科医の支持が多い印象だけど、当院では両者測定のうえ判断しています。
1.中村友昭:LASIK術後眼のIOL度数計算. 日本白内障屈折矯正学会雑誌 Vol.24 (2010)
2.磯谷尚輝 etal:LASIK後の白内障手術における眼内レンズ度数計算式の精度. 日本視能訓練士協会誌 Vol.37(2008)
3.日本眼科学会:眼内レンズ度数計算式およびトーリック度数計算式の使用にあたって (nichigan.or.jp)