Panoptix vs Synergy・Odyssey vs Gemetric

Alconによると、、、

Odyssey・Synergyに対して

AはOdyssey、BはSynergyですね。
つまり、Panoptixのほうがハログレが少ないといいたいようである。

VivinexGemetricに対して

・Gemetricのように回折格子の幅を3.2mm程度に制限することはActiveFocus時代にさんざ実験済みで、単焦点ゾーンが広がるため遠方はよく見えることになるが、瞳孔径に依存した見え方を避けられえない。
・そのため回折格子幅を4.5mmにした。
・単焦点ゾーンが狭まることによる遠方視力低下は遠方パワー配分を44%と増加させることによって補っている。


以上は、Alconの一方的言い分なので、J&JとHOYAの言い分も機会があったら書きます。

Mix&Match法「PanOpitx,Vivity臨床データアップデート、適切なIOL選択」をみました

アルコン・ライブラリーから視聴しました。
佐々木洋先生のMix&Matchについてです。
以前のFEST法は、両眼同一レンズのモノビジョンでしたが、Mix&MatchはEDoF+3焦点(≒Vivity+PanOptix)。

EDOFはVivity、3焦点はPanOptix、連続焦点型とはSynergy を意味するようである。

OSI(Objective Scattering Index)値は、視力コントラスト感度と相関がある。
単焦点だと1.1くらい。2.0以下なら良いらしい。

Mix&Match法での両眼視力
「50cmまでの視力は両眼PanOptixとMix&Matchで変わらないのは、コントラスト感度が良いので両眼加算大きい」とのことだが、グラフ見るとMix&Matchのほうが良いんでは?

海外論文の引用ですが、「Mix&Matchは視力も満足度も高い」

優位眼にVivity 非優位眼にPanOptixを入れると一番ハログレが少ない。


視力、コントラスト感度の両眼加算を勘案すると

  • 「優位眼にVivity 非優位眼にPanOptix」のMix&Match法が、いいとこどりできて優秀。

 

2025/5/1追記

Mix-and-match vs bilateral trifocal and bilateral EDOF intraocular lens implantation: the spline curve battle” によると、

According to our study, PMG participants with the Vivity and Panoptix IOLs presented the highest VA curves, followed by the BMG ones who received bilaterally the Panoptix IOL and the BXG ones who received bilaterally the Vivity IOL.

PMG(Premium Monovision Group)は「優位眼Vivity 非優位眼PanOptix」です。

「臨床成績から見るTecnis Odysseyの本質」をみました。

J&Jさんのプロモーション動画だったのですが、みてみました。

Odysseyは、連続焦点型眼内レンズSynergyの進化型というとらえ方です。

以前にも書いたけど、回析格子のエッジが滑らかになり、高さも2/3になってるので、特にスターバーストが出にくいということ。

 

「デフォーカス曲線が-0.5D~+0.5Dまでほぼ直線である!そのためtargetずれに強い」のも既出

 

回析格子の構造変化により、synergyほどには近方が見えないので、first negativeを選択する。


だいたい、いままでに聞いたことがある話でした。

先日のPairing手法といい、白内障手術周りの技術革新から受ける印象は、KPE無縫合手術の盛り上がりを思い起こさせる。

次回は、佐々木洋先生のMix & Matchについて。

「網膜硝子体手術 Update:術野の詳細観察が可能にする最新の術式とその威力」を聴講しました。

関西医大教授 今井 尚徳先生@西部地区眼科医会総会のご講演でした。

面白いと思ったのは

1.眼内レレズのフランジ手術を行う際に術中OCTを併用すると、眼内レンズの傾斜が抑制できる。

2.黄斑円孔に網膜フラップを設置するときも、術中OCTで正しくZ軸方向の位置同定が可能となる。

3.CME切開は、硝子体注射の難治症例のうちの50%~60%に対して効果がある。

教授就任式でいわれていた「単に手術がうまいだけというのではなく、それを定量的に科学に落とし込む」という意味合いがよく了解できました。

HOYAの眼内レンズVivinex EMについて

アイハンス(によく似たプロフィールのレンズで、EMとはEnhanced monofocalの意。

すなわち、「焦点深度深めで、farのdefocusが平ら気味、保険適応が効く」レンズである。

Defocus Curveは以下の通り。 アイハンスはこれ

構造は Vivinex Impress | Hoya Surgical Opticsによると、

同心円様の構造がわずかにみえる。

アイハンスは全くそのような構造物をもたない。

HOYAが主張する

アイハンスは0.5D~0.75D付加だが、EMは-1.0D付加できる。

というのは、このわずかな構造調整に依るのかもしれない。

新しい多焦点眼内レンズの選択手法「Paring」について

多焦点眼内レンズの焦点深度を深める手段として、HOYAからParingという新手法が発表されています。

左右のレンズでdefocus曲線のpeak値を変えるという点が新しい。
peak値のみを変えるのであっって、peak位置を変えるわではないのも佳い。

Vivinex Gemetricが通常の3焦点レンズで、Vivinex Gemetric Plusが近見のpeak値を底上げした3焦点レンズ。

Gemetric vs Gemetric Plus
Paring時には近見視力が改善する。

 

 

 

 

 

 

 

佐々木先生のFEST法を敷衍してるようでもあり、一眼手術後に近見満足度が高ければ対眼にもGemetricをいれ、不満ならGemtrci plusを入れる戦略である。(ただし、優位眼、非優位眼の選択は採らないらしい)

ミニウェルフュージョンシステムにも通じるが、回折格子の口径が全く同じというのが売り。
この部分が比較的小さいことにより、夜間ハログレをおさえ得るというのがHOYAの主張なのである。


後発なだけあって、いろいろと取り入れてるなとは思う。

日本ではようやく挿入され始めたばかりで、今度の日眼で一か月後の経過が発表される。
発表を聴いて、追ってご報告いたします。

 

電子処方箋対応(セカンド証明書編)

前回までで、HPKIカードの電子署名モジュールは自作できた。

が、本番カードが来ないので、セカンド証明書を使うしかない。
そして、その症例報告は皆無である。

緒言
  • 物理HPKI証明書の知識は不要。☞ サーバーが署名して、ローカルにxmlを返却する仕組み。
  • ローカルマシンとサーバー間のHandshakeが、分かりにくい。
ローカルマシンとサーバー間のHandshake

初見時の感想は「よう分からんナ~。分からんものを、使う気にならん~」

そこで、「雰囲気で使わずきちんと理解する!整理してOAuth2.0を使う」を読んで、ブラウザー挙動から動きを探った。
(FIDO(=Fast IDentity Online)認証を想定、用語はOAuth2.0とOpenIDで異なるが、OAuth2.0用語に統一)

cf.  セカンドHPKI証明書の覚書きWiki

クエリパラメータの説明 KeyCloadの説明
セカンド証明書署名ライブラリー

物理カードモジュールとは異なり、多業者が参入しているわけではない。
現状 HPKIセカンド証明書リモート署名ライブラリ一式Ver2.10 一択。

提供ライブラリーには、

  1. ExamplePublisherClient.exe
  2. RemoteSignatureClientAdapter.exe
  3. RemoteSignatureClientService.exe

が含まれている。

うち、ソース提供があるのは 1.ExamplePublisherClient のみ。
2.3.は完全にブラックボックスで、リバースエンジニアリング厳禁とある。

役割分担の考察
  1. RemoteSignatureClientAdapter.exeは、ポート番号3000を待ち受けするサービス。タスクスケジューラに登録する。
  2. RemoteSignatureClientService.exeは、ポート番号5000を待ち受けするサービス。タスクスケジューラに登録する。
  3. 上記ポートのリスニングは1.の起動時に走るNode.jsサーバーが担当する。
  4. ExamplePublisherClient.exeは「OAuth2.0+PKCE+OpenID+スマホ認証」のHandshake図で記した煩雑なトークン処理をRemoteSignatureClientAdapterに投げる。🔹 KeyCloakで「生体認証」が完了。
  5. 4.で受け取ったIDトークン+「HPKIセカンド電子証明書管理サービスクライアント証明書」を、(WebAPI選択の場合は)RemoteSignatureClientService経由で管理サーバーに渡す。🔹 「生体認証」+「所有認証」が完了。
  6. 5までが成功すると、管理サーバー上の「HPKI セカンド電子証明書」を使う権利が生じ、PrescriptionDocumentのハッシュ値を管理サーバーに送付する。管理サーバーはこのPrescriptionDocumentのハッシュ値と、管理サーバーがもつKeyinfo要素とSignedProtperties要素の参照3要素を、管理サーバー上の「HPKI セカンド電子証明書」の秘密鍵で署名しPrescriptionSign要素としてJSONで返してくる。
  7. ローカルで処方箋のcsvからPrescriptionDocument要素を作り、6.のPrescriptionSign要素を付加して、電子署名付き処方箋.xmlが完成。

大枠、こういう流れになってると思う。


結語
  1. RemoteSignatureClientAdapterとRemoteSignatureClientServiceの相当物をスクラッチから作るのは、できなくはなかろうがかなりの難題であり、かつ、セキュリティホールができるだろう。MedisがFindexに委託したのもこの所以かもしれん。
  2. ExamplePublischerClient.exeは、WebAPIを選択すると、署名APIUrlの5000ポート、つまり、RemoteSignatureClientServiceを使う。一方、ライブラリを選択すると、直接管理サーバーの署名APIをたたいているようにみえ、つまり、RemoteSignatureClientServiceを使わないようだが、うまくは動かない。
  3. 2のWebAPI利用なら、セカンド証明書電子署名モジュールは自作できる。著作権は「一般財団法人 医療情報システム開発センター」および「株式会社ファインデックス」帰属なので、Github公開できないがC#erなら楽勝。

この一連のサービスは遠からず、有料化されるらしい。
有料化されるまでに、本番カード届くのかナ?!

第30回兵庫県黄斑研究会を受講しました。

加齢黄斑変性に対するアイリーア8mgの使用経験 兵庫医大眼科学講師 佐藤孝樹先生
  • ほかの薬剤で効果が不十分だった症例の中でも、効果がみられる症例が確かに存在する。
  • いずれにしても発売後9か月しかたっていないので評価が定まっていない。
DMEに対するアイリーア8mgの使用経験 神戸大学眼科学講師 楠原仙太郎先生
  • アイリーアのターゲット:VEGF-A、VEGF-B、PIGF
  • バビースモ:VEGF-A、Ang2
  • 投与モル比
    ルセンティス 0.5
    アイリーア2mg 1
    バビースモ 2
    アイリーア8mg 4 薬価は一番高い。
    ベオビュ 11 → 強すぎるのでいろいろ副作用が出るのかもしれない。

    以前の「硝子体注射薬の山城先生の感触」を上記と合わせて改訂すると
商品名 効き目
ルーセンティス
ラニビズマブBS(≒ルーセンティスのゾロ)
アイリーア2mg
バビースモ 中(~強)
アイリーア8mg
ベオビュー 強強
長崎大学 大石明生教授
  • AMDの定義がまたまた変わった。
  • 滲出型→新生血管型
  • 50歳の基準を撤廃。↓と関連す。
  • pachychoroidを包含→PNV
  • 典型AMDはなくなった。
  • RAPに対するPDTは推奨されない。

PNV (Pachychoroid Neovasculopathy):パキコロイドに関連して発生するNVという概念が台頭してきているらしい。PDT治療が奏功するPCVはここに属する由。

感想
  • かつては、「神経眼科やってると格好いい」だったのが、いまは「黄斑周りやっとります!😤」みたい。
  • ここでは、日本人学者はPCVをパキコロイドに入れないように抵抗していると書いたが、欧米学派を受け入れつつあるのかな?
  • 開業医的にはバビースモ最強と思ってたけど、アイリーア8mg最強説かもしれない。当院でもスイッチして奏功した例がある。
  • バビースモとアイリーア8mgを交互にカクテルショットみたいな発表は聞いたことがないんだが、レセプターをかえモル比を変えるという戦略はアリかも。

 

電子処方箋対応(自作モジュール編)

前回、「市販モジュールで管理サーバーと交信」はできた。

自力ベンダーとしては、しかし、電子処方箋モジュールも自作したいところである。

 

と或る電子カルテメーカーに、問い合わせると

電子処方箋の取り扱いには、電子署名、ICカードのハンドリング等の技術が必須になりますので、 かなりハードルが高いです。

 

 

自分でできる範囲内のことを、やることにする。


目標
  • ES型式の署名付き医師処方箋発行を目指す。調剤処方箋とか、ES-XLとかは一切触らない。
使用言語
  • C#:Base64エンコード、exc-c14n正規化、SHA256hash計算はできそう。
電子署名、ICカードのハンドリング
APDU Handling
  • HPKIカードで署名してみる は、APDUコマンドを直接カードに送り込んでいる。この手法は大部であるし、もっとオサレな方法はないのか?と調査したところ、、
High-Level API
  • 電子署名に使えるHigh-LevelAPIがあると判明。

    PKCS#11 CNG/CryptoAPI
    Cross-Platoform Yes No(Windows-only)
    Direct Token Aceess Yes Indirece(via middleware)
    Eas of Use Moderate High
    Dependency Vendor’s PKCS#11 library Windows CSP/KSP

    ☞ HPKIドライバーは提供されているので、PKCS#11でいく。

  • BouncyCastle:有名なライブラリだが、直接スマートカードにアクセスはできない。スマートカードをPCに接続しHPKI driverをインストールすれば、証明書ストアに公開鍵関連データが保存される。そのストアにアクセスする仕様。従って、証明書取り出しと検証(←公開鍵要、秘密鍵不要)は可能で、そこに関してはPKCS#11系でやるより美しく書ける。
  • 以上より、署名はPKCS#11で、証明書取り出しと検証はBouncyCastleを使う。
xmlの仕様

取り寄せた市販モジュールの出力xml、OSNに掲載されてる各社の電子処方箋xmlを諸所比較すると、結構違いがある。

  • xmlの名前空間:xsかdsか。
ds: xs:
Namespace URI http://www.w3.org/2000/09/xmldsig# http://www.w3.org/2000/09/xmldsig#
Primary Usage Digital signatures XML Schema definitions
Scope Ensures security (signatures, keys) Defines structure and data types
Common Context Security-related XML documents XML Schema files or validation rules

xsを使ってる例のほうが多いようだが、XAdES(XML Advanced Electronic Signatures) 型式なんだから、dsのほうが良いんじゃね? 仕様書もdsつかってるみたいだし。

  • PrescriptionDcoumentをexc-c14nで正規化するかどうか。
    正規化してもしなくてもいいようで、正規化しない例のほうが多い。
    ただ、KeyInfoとSignedPropertiesは正規化必須なので、PrescriptionDcoumentも正規化するほうが整うと感じる。
  • IssurerSerialをどうするか
    いれてない例もあるし、入れててもIssuerNameとSerialNumberを別々に載せている場合、IssuerNameとSerialNumberをくっつけるSigningCertificateV2を採用してる場合がある。
    SigningCertificateV2に移行するらしいので、これを使う。
完成したやつ
  • HPKISigner.exe “入力csvのパス” “出力xmlのパス” PIN
  • .net8.0なのでwin-64のみならず、linux・mac・mac-armとCross-platform(のはず)
  • 今一、全く自信ないので、いつでも市販モジュールと交換できるようにしてる。
  • Github に載せました

これで、一安心の一歩手前。しかし、肝心の本番カードは未入手である。。

 

2025/2/18追記

セカンドHPKIは「xs:を使っており、PrescriptionDcoumentはexc-c14nで正規化しておらず、IssurerSerialは加えず」

参天製薬からアトロピン点眼「リジュセアミニ点眼液」が発売されます。

参天製薬の「近視進行抑制剤」に注目が集まる理由 国内で初承認
をみつけ、参天製薬に問い合わせたところ、

現在発売時期なども未定の中なので提供できる資料などが非常に乏しい状態でございます。参天+アトロピンでの論文となると現状下記の一報のみとなります。

光干渉断層撮影法と眼底写真によるアトロピン応答を予測する近視イメージングバイオマーカー 

要約は、

アトロピン点眼が眼軸長延長の抑制効果を予測するには、「OCT所見のGCL+(≒GCC)、眼底写真のRGBのうちR要素」と相関があった。

この論点は初見だな。今後、アトロピン点眼を処方するときに有用かも。


この点眼薬の特徴は

  • 濃度は0.025%である。学童の近視進行抑制2023 – 眼科医のブログ で述べたように「日本人を対象とした研究では、0.01%アトロピンの点眼の有効性が、他国人(≒欧州人、シンガポール人)よりも出にくい。」ことがあるのかもしれない。
  • 使いきりである。:マイオピンとの差別化かな。
  • 費用:自費診療で、4千円/月らしい。従来品はこちら

☞ 当院では0.01%、0.025%、0.05%を調剤しています。全部250円ですが使いきりではないです。