先日のmiLoopを模擬眼で使ってみた。

ポイントは
- ハイドロをしっかり行う。
- 挿入時にはリング先をCCC縁に近づける。
- ハンドルを左に回旋させた状態を保ってリングを開く。
- リングが完全に開いてから、手前引き気味&揺らし気味にしてハンドルを右回旋させる。
米国ではそこそこ普及しているが、日本では全然ということでした。
そやろな~という感じ。
参考url
分割システム miLOOP.pdf
Hand positioning of ZEISS miLOOP – YouTube
先日のmiLoopを模擬眼で使ってみた。

ポイントは
米国ではそこそこ普及しているが、日本では全然ということでした。
そやろな~という感じ。
参考url
分割システム miLOOP.pdf
Hand positioning of ZEISS miLOOP – YouTube
Intensityの最新情報@リッツカールトン大阪を聴いてきました。

-1次、-2次の今まで捨て置かれてた球面収差を利用することにより、3焦点+2焦点=5焦点を実現している。
そのため、光ロスが従来型レンズよりも40%少なく、93.5%の光透過率をもつ。


レンズ中央部は中間距離になっている点は、他社レンズが中央を遠方に設定している点と異なる。
ただし、瞳孔径の大きさに応じて、power配分が大きく変わる+上記の収差回収により、なだらかなdefocus曲線を獲得している。

「近見視力が他社レンズより劣る」と、えの眼科クリニック絵野亜矢子先生は提示されていましたが、ツカザキ病院野口三太郎先生によると「両眼挿入の場合には、近見における眼鏡装用率も大幅に改善する」
【感想】
ニューヨークタイムズの記事です。
大雑把に意訳すると
認知症の予防薬として、目が飛び出るほど高い薬が開発されているが、ほとんど効かない。リスク要因を取り除く方が、実効性がある。
JAMA研究によれば、全リスクファクターを取り除けば62%の認知症を防げる。1.8%は視力を保つことによって防ぎうる。
以前ご紹介した、白内障手術によって、認知症が防げると同工です。
他のリスクファクターとしては
高血圧、低教育、難聴、喫煙、肥満、鬱状態、運動不足、糖尿病、社会的孤立
が挙げられています。
白内障手術で認知症を防ぐとはいっても、ある程度が進んでしまうと
となり、局所麻酔では手術が困難。しかし、家族さんは「全身麻酔は怖い」なので、結局そのままということがある。
何事にも、限度がある。
その限度は全身状態、眼局所だけではなく、認知レベルにも規定される。
お元気そうで、慶賀の至りであります。
大橋先生は不動の4番バッターと紹介されていましたが、小生的には白内障手術界の永守会長かしらん[1]
不肖、私めが、会長のご高見を以下にまとめさせて頂きます。



1.三好先生ご自身は稲盛和夫元京セラ会長を尊敬しておられ、講演内でも「本業で得られた喜びは、趣味で得られた喜びより比較にならないくらい大きい」という言葉を引用されていました。
2.眼内レンズ、コンタクトレンズには以下の二種類の製法がある。
・レースカット製法:レンズを塊から削り出す方法
・モールディング製法:鋳型にレンズを流し込んで製造する方法
レースカット製法のほうがコストはかかるが、グリスニングは生じにくい。
アルコンのレンズは(ClareonもPanOptixも)モールディング製法。AMO、NIDEKのレンズはレースカット製法。
2022/11/8追記
アルコンによるとClareonは含水率1.5%、かつてのアクリソフは含水率0.4%。「グリスニングは房水吸引によっておこるためClareonでは発生しにくくなっている」とのこと。
「片眼に単焦点レンズを入れたが、僚眼にはミニウェル・プロクサをいれたい」という御要望があった。
そこで調べたが、結論は「無理っぽい」です。
片眼プロクサ and/or 両眼プロクサの御所望は結構多いらしい。
しかし、Sifi社は『ミニウェル・レディを優位眼に、ミニウェル・プロクサを非優位眼に入れることを「Well Fusion」と呼び、両者は補完的に働く』に拘りおる由で、プロクサを単独販売しない。
これは、優れて欧州的と云うべし。
「Well Fusion」を購入してプロクサのみ挿入する手はあろうが、コスト倍で非定型挿入というリスクが発生する。
どうしても非回析型の近方レンズを入れるなら、既存のアイハンスを入れるか、Vivity登場を待つのは如何か知らん?
前週の慶応大学教授根岸一乃先生の講義後半は、老眼治療についてでした。
Vuityの二重盲検試験の結果は以下の通りで、当院のオレオレ検証と並行する。凡そ、3~4時間までが効き目と見受ける。

欧米では、老眼治療の点眼薬が治験進行中であり、検討されている。

Vuityについては当ブログで既報なので、他薬剤の関連リンクを貼ります。
MicroLine
CSF-1
PRX-100
UNR844
VP1-001
なお、この記事が、簡潔かつ詳細である。
学会会場でのQ&A
Q.5焦点のレンズ(訳注:Hanita社のIntensity)はどうか?
A.使用経験はないが摘出例はある。決定版というほどではないであろう。
Q.(水晶体弾性を増加させる)治験点眼薬はどういう機序か?
A.水晶体のリポイックアシッドによる水晶体クリスタリン蛋白の架橋を断つことによって、水晶体の弾力性を取り戻す。
Q.ピロカルピンを入れてると、かつてよく散瞳不良例が見られたがどうか?
A.治験薬は消炎剤を組み合わせて、散瞳不良を防いでいるようである。
Q.シナジーとパンオプティクスの使い分けは?
A.患者さんに選択肢を任せる。3焦点指名ならパンオプティクス、より近くが見える方が良い and/or 新しく出たレンズがよいならシナジー
2023/1/24追記
某製薬会社が老眼点眼に興味がある由で当院を訪問されました。
ノバルティスが開発断念したこともご存じで、かなり研究されている様子でした。
遠からず、Vuityの国産品が発売されるかもしれません。
2022年9月10日、第27回大阪眼科手術シンポジウムを聴講しました。講師は慶応大学教授根岸一乃先生。
国内承認されている3焦点レンズPanoptixとSynergy
どちらがよいのか!というビミョーな命題についてでした。


症例数は少ないが、コントラスト感度が良いのはSynergyである。これは臨床印象と一致しているとのことでした。ここまでは利益相反なしな話。
以下は、J&J社(旧AMO)の協賛論文からである。


あまり差はないが、焦点深度はSynergyが広いといってる。

これも、近見はSynergyのほうがやや良いと言ってる。
関東ではSynergyがPanOptixよりも優勢で、関西と異なると聞き及んだが、慶大教授が上記のように仰られるならば、むべなるべしとは思う。☞詳説
根岸教授は、老眼治療についても積極的で、なんと来年は老視学会が設立されるとのことだった。これについては、また次週触れます。
2022/9/19追記
学会会場でのQ&Aでは
Q.シナジーとパンオプティクスの使い分けは?
A.患者さんに選択肢を任せる。3焦点指名ならパンオプティクス、より近くが見える方が良い and/or 新しく出たレンズがよいならシナジー
ミニウェル・レディの見え方について、日本語資料を入手しましたー。
夜間運転のシミュレーションは以下の通り。ハロー・グレアはほぼない。何なら単焦点レンズよりも少ないかしらん。

遠方から近方までの視力表の見え方シミュレーション。

さすがに、遠方の見え方は単焦点が一番よいかな。
今なぜ、このレンズが脚光を浴びているかについて考按する。
Sifi社からミニウェルがEDoFレンズの嚆矢として発売されたとき、巨人AMO社やALCON社も当然このレンズを研究したはず。しかし、市場投入するにあたって球面収差だけでは近見困難なので、回折格子を導入した。
↓
市場拡大に伴い副作用面に対する不満、すなわち光エネルギーのロスとかハログレが問題視されるようになった。
↓
温故知新的に球面収差onlyのミニウェルが見直された。Sifi社も近方不足は認識していたためproxaをWell Fusionとして発売した。
↓
意識高い系な人達が着目して盛上がってる + AMOやALCONも回折格子を持たないレンズ発売。⇐ いまここ。
適応についても、考按する。


「神経質な方、期待度が過度に高い方は避けた方がよい」である。ここから引用すると
considering a MINI WELL®, make sure you choose patients with appropriate psychological and clinical profiles. Ideally,
you’re looking for easy-going Generation X-ers, with relatively active lifestyles and realistic expectations for the surgical procedure. In addition, and critically, they should have healthy eyes – in particular a
healthy tear film and no dry eye syndrome (which is one of the main contributing factors to IOL failure).
イージーゴーイングなX世代の人たち(1960年代中盤から1970年代終盤に生まれた世代)で、活発なライフスタイル、現実的な期待度、眼疾患がない(特にドライアイがないこと)を対象者とするべきである。
しかしながら、現状このレンズを意識高く抱いてる人って、「神経質な方、期待度が過度に高い方」じゃね?と感じる。このレンズを採用するクリニック側は「自費診療」という∞リスクを負担する。患者さん側も、また然りである。
この供給サイドと需要サイドのスプレッドが、かなり開いてるので、高額な料金設定となる ⇒ ますます「期待度が過度に高い方」が対象となる、、のでは?
このスプレッドを最小化すべく、当院ではWell Fusion両眼100万円で応需します。
☞挿入動画
2022/6/14追記
輸入業者からWellFusionの追加資料。

2022/9/11追記
AMOテクニスのアイハンス眼内レンズについて │ 眼科医のブログ (tarumi.co.jp) の追記に書いたように片眼アイハンス、片眼クラリオンという呉越同舟セットが意外と好評である。Miniwell検討者も一度考慮すべきかも。
ミニウェル・プロクサについて問い合わせがありましたので、ミニウェル・レディとの違いなど書きます。
以前のエントリーより再掲↓
EDoF(焦点深度拡張型レンズ)の先駆けとなったレンズで、アラガン社のsymphonyがでるまではEDoFレンズの代表でした。その後の一連のEDoFの流行の発端を作ったレンズで、現在でも、一部手術者に絶大な人気があります。
それは「ハロー、グレア、単眼複視など、多焦点 IOL で一 番問題とされた問題点を大部分取り除くことに成功している」という大きな利点があるためです
ただし、やや近方視力が弱い。
日本国内で認可されていないために、手術代、診察代がすべて自費となり高価となる。という問題点があります。
保険適用、選定医療を用いるなら、似た性格のSymphony、ActiveFocusを用いることが多いです
静的固定レンズが多焦点性,焦点深度を拡張させるための手法としては,①回折格子,②屈折加入,③小開口,④球面収差,⑤コマ収差の 5 つの手法に限られています。①,②はすでに多焦点 IOL として用いられており、⑤は像質が不良であることより,実質的には①から④の手法が現実的です。その④の球面収差を利用した機構をもちいたものが MiniWell Ready です。光学的デザインにより焦点深度を伸ばすことを可能にし,連続的な焦点を実現しています。近方加入度数は 3.0D です。
この記事によると、
CATANIA, Italy, Dec. 21, 2020 /PRNewswire/ — SIFI, a leading international eye care company, today announces the launch of the WELL FUSION™ system and the Mini WELL PROXA® intraocular lens, offering a novel solution that provides cataract patients the option to treat presbyopia with spectacle-free uninterrupted high-quality vision at all distances and in all lighting conditions.
2020/12/21、イタリアのSIFI社はミニウェルフュージョン、及び、ミニウェル・プロクサを発表した。白内障患者に全距離・全照度で高品質な見え方を提供し、老眼鏡を不要とします。

さらにWell Fusion Systemによると、
ミニウェル・プロクサは、ミニウェル・レディと同技術を使った真のEDoFレンズである。ミニウェル・レディが苦手としていた近方を補完するので、ミニウェル・プロクサ(=Proxa=近方)なのである。
ミニウェル・レディを優位眼に、ミニウェル・プロクサを非優位眼に入れることを「Well Fusion」と呼び、両者は補完的に働く。
デフォーカスカーブは以下のとおりで、素晴らしい。

多焦点レンズ普及に伴い、その欠点であるハログレが問題視され、回折格子を持たず球面収差に解決策を求めるレンズが注目されつつある。
既報のアイハンスやvivityもその類のレンズである。
今回のミニウェルフュージョンシステムは、球面収差やマイクロ・モノビジョンなどの概念を総動員した「てんこ盛り」レンズと云える。
当院では、適応がある場合には全例アイハンスを挿入していますが、ミニウェル・レディ、および、ミニウェル・プロクサも選択肢とすることにしました。
また、ご報告します。
白内障手術を始めて以来、ずっとALCON社の手術装置を使っている。
その馴れ初めから、今回のセンチュリオン導入まで。

勤務医時代は10thousandで、日本人は1万マスターといってた。永原御大がボトル高を80㎝以上にしてるときいて、45cmそこそこでやってた僕らはびっくりし、聖母病院まで押しかけて設定値を教えてもらったのを思い出す。

開業初期はレガシーエヴェレスト20000。デフォルトで前房虚脱が実質的にほぼ起こらなくなった装置だった。「角膜熱傷を起こさないようにする」が当時の争点で、マックールシステムとか本当に角膜を冷却するアタッチメントが存在していた。
で、この角膜熱傷を防ぐ目的もありで、パルスモードの本格導入が始まった。それまでは「パルスモードは初心者モード、手術名人はコンティニュアスモードをセナ足で使いこなす」だったのである。
また、この装置の末期ごろにフレアチップとか特殊なチップが出現し、次世代の横ブレ振動の萌芽が見られた。

現有機はinfinity。これは上記横ブレをozilモードとして昇華させたALCON渾身の名器である。infinity=∞=ozilモードの動きといいたいのな。
核片保持はよいし、角膜熱傷も起こさないしと、いいことづくめで、本当に開業医向けの手術装置であると感じいり、長年愛用してきたのである。

しかし、Centurionを、2022日本眼科学会の機械展示で、触って乗り換える決断をしました。
ALCONの推しは、前房圧をモニタリングしてactiveに圧を負荷するActive Fluidics機能。「業界初です」ていってるんだが、実際はライバル社の〇〇〇であるし、そもそも前房虚脱とか一体いつの話?と、今まで食指が動かなかった。
僕がハンズオンで、感心したのは超音波発振そのものである。infinityよりもかなり洗練されている。ozilモードだとほとんど振動を感じないし、縦振動も全然違くて感銘した。これは実際に手術を行っている人間なら誰しも感じるだろう。
ALCONは、この点をもっと訴求したほうが良いんちゃう?
ALCONは、TOYOTAとかINTELという位置づけで安定感、安心感がある。
このまま、糟糠の妻と偕老同穴と成るかしらん、。。
2022/5/24追記。
Centurionでは「パルスモードではなくてコンティニュアスモードがデフォルトです」。パルスモードにしなくても「食いついがよく、かつ熱損傷も起こさない」なら、コンティニュアスモードのほうがむしろ効率UPで、良き!という結論。