前視野緑内障について

患者さんが「検診で視神経乳頭陥凹拡大を指摘されました」で来院。既に、ググリ済みで「緑内障ではないか?」と心配している。
当院検査で「OCTで視神経繊維菲薄化」を認めるが、「視野検査は正常」の場合
1.緑内障なのか、緑内障ではないのか?
2.治療する必要があるのか、ないのか?


1.の答え=前視野緑内障

前視野緑内障(preperimetric glaucoma:PPG)眼底検査において緑内障性視神経乳頭所見や網膜神経線維層欠損所見などの緑内障を示唆する異常がありながらも通常の自動静的視野検査で視野欠損を認めない状態を称する。

緑内障診療ガイドライン(第4版)
Pre-perimetric glaucoma – treat or monitor?

↑は緑内障は一つの連続したスペクトラム疾患であるということを意味している。

2.の答え=原則、経過観察する。治療することもある。

原則的には無治療で慎重に経過観察する。
しかしながら、高眼圧や、強度近視、緑内障家族歴など緑内障発症の危険因子を有している場合や、特殊あるいはより精密な視野検査や眼底三次元画像解析装置により異常が検出される場合には、必要最小限の治療を開始することを考慮する。

緑内障診療ガイドライン(第4版)

↑で「眼底三次元画像解析装置により異常が検出される場合には、必要最小限の治療を開始する」なら「治療開始」ぽいが、「原則的には無治療で慎重に経過観察する」ときて、自家撞着の感あり。
ま、緑内障学会の物言いは、優れて日本的なので、我々開業医はそのあたりを咀嚼して患者さんに説明する必要がある。


僕は、ガイドラインの条件を踏まえたうえで、患者さんの性格や反応を見極めた提案をすることにしています。
セカンドオピニオンの提示は重要であり、希望の方には緑内障専門外来や桑山先生をご紹介しております。