MIGS(低侵襲緑内障手術)について(第4版)
- 2023.03.11
- 緑内障
「達人に学ぶ!最新緑内障手術のコツ」から、島根医大教授 谷戸正樹先生 の序文を引用させていただきます。
ほんの10年前には、眼外法のトラベクロトミーとトラベクレクトミーの2種類だけが主たる手術の選択肢でした。前者は眼圧下降効果がマイルドである代わりに過度の低眼圧や濾過胞感染等の晩期の合併症が少ない、後者は強力な眼圧下降効果が期待できる反面、術後の管理が煩雑で視力低下につながる合併症の危険性が比較的高いといったが特徴がありますが、この2術式だけでは種々の状態の緑内障患者さんすべての要望・要求を埋めることは困難で少なくないアンメットニーズが存在しました。
このような背景のなかで、近年大きな変革が2つありました。
1つは、低侵襲緑内障手術(MIGS)と呼ばれる一連の眼内法による流出路再建術の登場です。
本邦では、iStent、カフークデュアルブレード、マイクロフックabinternoトラベクロトミー、スーチャートラベクロトミー眼内法等が代表的なMIGS術式として行われています。
MIGSは、眼表面への低侵襲性や白内障手術との相性の良さから、多剤併用と従来の観血手術の間を埋める眼圧下降治療法として定着してきました。
もう1つは、瘢痕化が起こりやすい角膜輪部をバイパスし眼球赤道部に房水濾過を行うチューブシャント手術の登場です。
本邦では、アーメド緑内障バルブとバルベルト緑内障インプラントが保険診療で行われています。
チューブシャント手術は、トラベクレクトミーの効果が期待できない症例で、トラベクレクトミーと毛様体破壊術の間を埋める選択肢を提供しています。
また、マイクロパルスを用いた毛様体光凝固術は、MIGSとして、あるいは、トラベクレクトミー後の治療法として、両端の選択肢となる可能性があります。
以上を、以下のごとくに分類しました。
☞未掲載部分については、追ってご報告予定です。
記載履歴
- 2023/2/20 トラべクトーム記載了
- 2023/2/26 カフークデュアルブレード記載了
- 2023/3/5カフークデュアルブレード加筆、マイクロフック記載了
- 2023/3/12 スーチャートラベロトミー加筆
- 2023/3/19 マイクロフック手術動画追加
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