EDoF型の近視抑制コンタクトレンズ

現在のところ、DIMSレンズ(デフォーカス組み込みレンズ)は、日本国内では承認されていない。しかし、デフォーカス機構とは異なった機序のEDoF型タイプのコンタクトレンズはすでに国内承認されている。

そのEDoF型タイプのコンタクトレンズが眼軸長抑制に働くという論文を紹介する。

論文内容を要約すると、

コントロール群と、デフォーカスコンタクトレンズ装用群、EDoF型コンタクトレンズ装用群を対象に近視の進行程度を調べた。

コンタクトレンズ装用群ではデフォーカスコンタクトレンズ装用群、EDoF型コンタクトレンズ装用群ともに、眼軸長伸長が優位に抑えらえた。

抑制効果は、デフォーカスコンタクトレンズ装用群、EDoF型コンタクトレンズ装用群の間で差がなかった。

実は、EDoF型のコンタクトレンズは、シード1dayPureというものがすでに市販されている。このレンズは、本来は老眼世代に対する遠近両用コンタクトである。

つまり、DIMSレンズ(デフォーカス組み込みレンズ) を個人輸入しなくても、このレンズで十分近視抑制効果が期待できるということである。


すでに、近視治療に熱心な医療機関では採用されているということであるので、当院でも早速導入し、アトロピン点眼、オルソケラトロジーに次ぐ第3の治療法として患者さんにはご説明する予定である。


2021/11/5追加情報:上記のシード1dayPureを利用した前向きのコーホート研究が阪大主導で実施中である。「約100人を対象に単焦点・Low(EDoF)・Mid(EDoF)にて研究を実施している」と聞き及ぶので、かなりはっきりした統計結果が得られるだろう、と期待する。

焦点深度拡張型CLを軽度叉は中等度近視と診断された小学生に処方することにより、当該レンズで近視進行抑制効果がどの程度あるか、また、焦点深度の違いにより近視進行抑制効果に差があるかを検証する


2024/3/18追記

質問があったので、調査の上追記す。

左:1Dayピュアマルチステージ・ビューサポート 真中:アルコンクーパービジョンの遠近両コンタクト 右:1Dayピュアイードフ

・1Dayピュアイードフ→全網膜で網膜上と網膜手前に焦点を持つ。
・1Dayピュアマルチステージ・ビューサポート→中心部分は網膜上、周辺部分が網膜手前に焦点を持つ。
つまり、両者のデフォーカス機構は全く異なる。

Comments

  1. toasa says:

    コメント失礼します。
    子供が9歳で近視なのですが診断を受けて一年半位で0.8から0.2まで視力が下がってしまいました。
    今は近視抑制に効果があるというクロセチンのサプリメントの服用とアトロピン点眼を始めたばかりです。

    ソフトコンタクトのシード ワンデーピュア イードフ を使用する事により近視抑制になるとうのをネットで見て、いつも通っているクリニックに電話した所、そのコンタクトは扱っているが処方するのは小学6年からとういう事と遠近両用のレンズなので、手元を見る力が無くなるという考え方もあるんですよね。っと言われました。

    先生は手元を見る力が無くなるという事についてどう思われますか?

    あと眼鏡でもZEISS MyoKidsという近視抑制になるというの見つけたのですが説明を読んだらソフトコンタクトと同じ考え方なのでは?なら目に負担の少ない眼鏡の方が良いのでは?っと思いました。

    知り合いの人づての話であるのですが長期間コンタクトを使用していて、70代になり言い方は違うかもしれませんが、眼科の先生にもうコンタクト出来る目ではないと言われたそうです。

    長期間コンタクトをする事により正しく使っていても目には負担になるのでしょうか?

    あとコンタクトを使うと自分で見る力が無くなり目が悪くなるという情報もあります。

    乱文で申し訳ありませんがお返事頂けたらとても嬉しいです。
    宜しくお願い致します。

    • Koji says:

      >先生は手元を見る力が無くなるという事についてどう思われますか?
      私としては『「手元を見る力が無くなる」なんてことはない』と思います。

      >ZEISS MyoKidsという近視抑制になるというの見つけた
      ZeissのMyoKidsについては、https://tarumi.co.jp/blog/index.php/2022/05/29/post-1699/ の記事をご参照ください。

      >長期間コンタクトをする事により正しく使っていても目には負担になるのでしょうか?
      今から20年ほど前には、CLによる角膜消耗症(cf. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11340391/)がよくいわれました。ただし、最近ではあまり声高には言われなくなっています。
      コンタクト装用によるリスクは確実に存在し、医学的受益とのバランスにおいて判断すべきであろうと思います。

      • toasa says:

        こんにちは。
        大変、返信が遅くなり申し訳ありませんでした。

        お返事頂けて感謝しております。
        ありがとうございました。

                       toasa

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