HUS(Heads Up Surgery)について

第24回兵庫県学科フォーラムでHeads Up Surgeryの講演を聴きました。
顕微鏡をのぞかずに、3Dディスプレイ+3D眼鏡で行う手術です。

AlconのNgenuityとZeissのARTEVO 800が有名処だけど、演者の県尼長谷川 麻里子先生はNgenuityを使ってました。

長所は、

・画面の明るさを上げ、低照度でも手術ができるため網膜光障害を低減できる。
・優れた拡大倍率により、詳細な手術画像が得られる。
・色相や彩度の調節により視認性を向上できる。
・画面分割により術前情報を共有できる。
・術者のエルゴノミクスを改善できる。
・教育的指導に有用

硝子体手術屋さんにはメリットが大きいと思う。

←顕微鏡像 →Ngenuityで処理後

画質改善は明らかだ。

一方、白内障手術では、白黒画像にするとCCCや皮質処理がやりやすくなる程度の益。

私の感想

・手術するのに3D眼鏡をかけるのヤだな。
・さりとて、眼鏡なしだと平面的だよな。
・白内障手術的にはウレシみ少ないかな?

  

次ステップの遠隔ロボット手術もみすえて、各社しのぎを削るの構図。

けど、ローカルでlatency70msは少しラグいんでは?
FPSのネット対戦だと苦しいping値だ。

老眼治療の新しい点眼薬

前週の慶応大学教授根岸一乃先生の講義後半は、老眼治療についてでした。

Vuityの二重盲検試験の結果は以下の通りで、当院のオレオレ検証と並行する。凡そ、3~4時間までが効き目と見受ける。

欧米では、老眼治療の点眼薬が治験進行中であり、検討されている。

Vuityについては当ブログで既報なので、他薬剤の関連リンクを貼ります。
MicroLine
CSF-1
PRX-100
UNR844
VP1-001

なお、この記事が、簡潔かつ詳細である。


学会会場でのQ&A

Q.5焦点のレンズ(訳注:Hanita社のIntensity)はどうか?
A.使用経験はないが摘出例はある。決定版というほどではないであろう。

Q.(水晶体弾性を増加させる)治験点眼薬はどういう機序か?
A.水晶体のリポイックアシッドによる水晶体クリスタリン蛋白の架橋を断つことによって、水晶体の弾力性を取り戻す。

Q.ピロカルピンを入れてると、かつてよく散瞳不良例が見られたがどうか?
A.治験薬は消炎剤を組み合わせて、散瞳不良を防いでいるようである。

Q.シナジーとパンオプティクスの使い分けは?
A.患者さんに選択肢を任せる。3焦点指名ならパンオプティクス、より近くが見える方が良い and/or 新しく出たレンズがよいならシナジー


2023/1/24追記

某製薬会社が老眼点眼に興味がある由で当院を訪問されました。
ノバルティスが開発断念したこともご存じで、かなり研究されている様子でした。
遠からず、Vuityの国産品が発売されるかもしれません。

PanOptix vs Synergy

2022年9月10日、第27回大阪眼科手術シンポジウムを聴講しました。講師は慶応大学教授根岸一乃先生。

国内承認されている3焦点レンズPanoptixとSynergy
どちらがよいのか!というビミョーな命題についてでした。

PanoOptixのMTF
SynergyのMTF

症例数は少ないが、コントラスト感度が良いのはSynergyである。これは臨床印象と一致しているとのことでした。ここまでは利益相反なしな話。


以下は、J&J社(旧AMO)の協賛論文からである。

あまり差はないが、焦点深度はSynergyが広いといってる。

これも、近見はSynergyのほうがやや良いと言ってる。


関東ではSynergyがPanOptixよりも優勢で、関西と異なると聞き及んだが、慶大教授が上記のように仰られるならば、むべなるべしとは思う。☞詳説

根岸教授は、老眼治療についても積極的で、なんと来年は老視学会が設立されるとのことだった。これについては、また次週触れます。

2022/9/19追記
学会会場でのQ&Aでは
Q.シナジーとパンオプティクスの使い分けは?
A.患者さんに選択肢を任せる。3焦点指名ならパンオプティクス、より近くが見える方が良い and/or 新しく出たレンズがよいならシナジー

法令線にヒアルロン酸を入れました。

以前、下眼瞼のたるみにヒアルロン酸をいれたのだけど、法令線にも入れました。

通常、法令線にはジュビダームウルトラを使うのだが、小皺タイプの法令線なのでレスチレンリドを使ったとのこと。

ジュビダームとレスチレンの違いは

銀座禅クリニックから引用

前回は、自分で自分に適用できるかな?とか書いたけど、無理っぽいです。やはり、餅屋にお願いするのが吉かな。。