バイオレットライト透過眼鏡について

患者さんから近視の予防効果について質問されました。
「バイオレットライトの波長領域を選択的に透過する」とのことです。


[個人的見解]

バイオレットライトによる眼軸長伸展の抑制効果にはエビデンスがある[1]

では、「バイオレットライトの波長を選択的に透過する方が、全波長を透過させるより効果が高い」と云えるのかな?

すなわち、「タンパク質摂取は体に良い」を敷衍して、「タンパク質を選択的に摂った方が、まんべんなく食すより良き」と言えるのかな?

患者さんにお答えするには、このあたりの検討が必要とはおもう。


1.参照 「あなたのこども、そのままだと近視になります」を読みました │ 眼科医のブログ (tarumi.co.jp)

新生血管緑内障のVEGF治療

新生血管緑内障の患者さんを「観血的に御高療方よろしくお願い申し上げます」と大学病院に紹介した。すると、2日後に眼圧が40mmHg→20mmHg、前房出血も消失した状態で帰院された。

大学では、手術などはせず、アイリーア硝子体注射を施行しただけであり、しかもこれが著効したのである!


新生血管緑内障のVEGF治療は、欧米では2015年くらいから[1]日本では2019年前後から[2]普及した模様である。
緑内障診療ガイドライン(第5版)によると「VEGF薬の眼内投与の有効性が報告されている(エビデンスレベルC)」「手術前に抗 VEGF 薬の眼内投与を併用することで術中・術後合併症を抑制できることが報告されている(エビデンスレベルB)」なので、まずは、VEGFを打って、だめなら観血治療という流れであろう。


アイリーア以外のVEGF薬は、新生血管緑内障に対する保険病名が獲得できていない。最近、アイリーアは押され気味だが、この一点において、十分に存在意義がある。


1.Aflibercept for the treatment of neovascular glaucoma

2.Efficacy and Safety of Intravitreal Aflibercept Injection in Japanese Patients with Neovascular Glaucoma: Outcomes from the VENERA Study

2022/11/7追記
バイエル薬品によると「血管新生緑内障(NVG)の特許期限は2029年ごろ予定で、具体的な月日に関しては未定とのことです。後発品に関しては症例数も少なく、恐らく発売しないだろう」

ミニウェル・プロクサを片眼のみに挿入できるか?

「片眼に単焦点レンズを入れたが、僚眼にはミニウェル・プロクサをいれたい」という御要望があった。
そこで調べたが、結論は「無理っぽい」です。


片眼プロクサ and/or 両眼プロクサの御所望は結構多いらしい。
しかし、Sifi社は『ミニウェル・レディを優位眼に、ミニウェル・プロクサを非優位眼に入れることを「Well Fusion」と呼び、両者は補完的に働く』に拘りおる由で、プロクサを単独販売しない。
これは、優れて欧州的と云うべし。


「Well Fusion」を購入してプロクサのみ挿入する手はあろうが、コスト倍で非定型挿入というリスクが発生する。
どうしても非回析型の近方レンズを入れるなら、既存のアイハンスを入れるか、Vivity登場を待つのは如何か知らん?

「自分でできる人生が変わる緑内障の新常識」を読みました。

診察の結果「緑内障です」
 ↓
「点眼をしっかりして眼圧コントロールしましょう」となった場合、100%確率で

「目を疲れさせなければ大丈夫でしょうか?」
「スマホは見ないほうが良いでしょうか?」

と、質問がある。
当院では、緑内障の日常生活注意点.pdfを説明している。


今回、Nikkeiグッディで紹介されてた「自分でできる人生が変わる緑内障の新常識」を読んでみた。

著者は、平松類先生で、Youtubeでも発信されておられる。

この本から、エビデンスレベルA、Bを抜き出すと以下の通り。

  1. 目に良いといわれるルテインは緑内障にも良い。 A
  2. ビタミンA、Cは緑内障に良い。 A
  3. スクワットは眼圧を上げやすい。 A
  4. 運動習慣のある人のほうが、緑内障は進行しにくい。 A
  5. カシスは視野欠損の進行を抑え、緑内障の眼圧を下げる作用がある。 B
  6. マインドフルネスは眼圧を平均4mmHgほど下げる。 B
  7. ヨガの呼吸法は眼圧を下げる可能性がある。 B

一方、Nikkeiグッディのキャッチーな見出しは、

  1. 血糖値を上げやすい食品は避ける。 C
  2. メタボは緑内障にとって良くない。 C
  3. リラックスするために入浴と睡眠に工夫を。 D
  4. コンタクトレンズはあまりお勧めしない。 なし
  5. スマホやパソコンで目を酷使しないよう注意。 C

で、いずれもレベルC、Dか、レベル表示がない項目である。


●エビデンスのレベル分類

「自分でできる人生が変わる緑内障の新常識」では、

レベルA:複数のランダム化比較試験、またはメタアナリシスで実証されたデータ
レベルB:一つのランダム化比較試験、または非ランダム化比較研究で実証されたデータ
レベルC:レベルBより劣るが、一定のデータがあるもの
レベルD:参考にとどめておく。

一方、緑内障診療ガイドライン(第5版)では、

A(強):効果の推定値に強く確信がある
B(中):効果の推定値に中程度の確信がある
C(弱):効果の推定値に対する確信は限定的である
D(非常に弱い):効果の推定値がほとんど確信できない

 レベルCを「一定のデータがある」とみるか、「確信は限定的である」と読むかで、この本とNikkeiグッディ記事の印象はかなり異なる、と感じた次第。

オンライン資格確認

医療機関向けには、

患者さん向けには、

こ、怖い*゚Д゚。フラグが見える。絶対に喰ってはイカン感じだ。


ところが、Yahooニュース 及び オンライン資格確認説明会によると

厚労省は、2023年4月までの導入を義務付けるとのこと。間に合わなかった場合、直ちに罰則は与えないが、地方厚生局が丁寧に指導して導入を後押しするとのこと。

怖すぎる。。。

 ・
 ・
 ・

当院は、敢えてこの毒饅頭を戴くこととする。皿まで食す[1]こととする。

下賜いただくカードリーダは、パナソニック製に既に決めた。
次は、電子証明書発行申請である。


1:業者に頼まず、自前で実装する、という意。


2022/11/14追記

「皆もすなるマイポといふものを、私もしてみむとてするなり」
しかし!
「アルファベットを入力するべきなのに数字しか入力できない」「総務省のアプリとデジタル庁のアプリが二本立て」とか、、ないわ~。
丸投げ&縦割りを肌身に感じることができた点が、ポイントだとしか云えぬなり。