老眼診療アップデートを聴講しました。

神戸大学同窓会で、根岸一乃慶応大学教授のお話を聞きました。

保存的治療については、老眼治療の新しい点眼薬 とほゞ同じくでした。

外科的治療は、多焦点眼内レンズ一択とのこと。
※キャプチャー画面の提示は厳禁とのことなので、内容のみ提示します

  1. 老眼診断に最適な近方視力は0.4ではなく、1.0である。
  2. 多焦点レンズのtargetは球面誤差±0.25D以内、乱視誤差-0.5D以内
  3. 眼位異常(特に、内斜視・上下斜視)は術後不満が出やすい。
  4. ドライアイも不満が出やすいのであらかじめ治療しておく。
  5. アイハンスは、70歳未満の若年白内障患者では、中間視力、近見視力の回復が得られやすい。→アイハンス採用するなら若い方が良い。
  6. 術後の不満に直結するのは①術後の霞み、コントラスト感度の低下②遠方視力が出ない③グレハロで、中間視力近見視力は無関係である。

上記4、5は、当院でも要注意かな。

ジュビダームの実践講習を受けました。

眼周囲の窪み・クマは形成外科とか美容外科じゃなくって眼科医自身がやるべき、と思って受講しました。
顔面の血管走行、MDコードに基づく注入手技を、マネキンを使った講義形式で2時間半ほど。

「SNS上で詳細を提示してはいけない」につき、受講感想のみを書きます。


  1. 『眼科手術では「はっきりみえる環境下」で手技操作を行う』が、基本中の基本だが、ジュビダーム注入はblindの操作が多い点、難しい。
  2. 指導者側、受講者側ともに前向きに知識を教授+吸収しようという熱気が感じられた。
  3. MDコードを批判する向きもあるようだが、このコード体系に基づいた治療戦略、指導方法はよく練られていると感じられた。

「まず身内でやってみてください!」ということであったので、華岡青洲の妻をお願いしようかしらん。

老眼治療の新しい点眼薬

前週の慶応大学教授根岸一乃先生の講義後半は、老眼治療についてでした。

Vuityの二重盲検試験の結果は以下の通りで、当院のオレオレ検証と並行する。凡そ、3~4時間までが効き目と見受ける。

欧米では、老眼治療の点眼薬が治験進行中であり、検討されている。

Vuityについては当ブログで既報なので、他薬剤の関連リンクを貼ります。
MicroLine
CSF-1
PRX-100
UNR844
VP1-001

なお、この記事が、簡潔かつ詳細である。


学会会場でのQ&A

Q.5焦点のレンズ(訳注:Hanita社のIntensity)はどうか?
A.使用経験はないが摘出例はある。決定版というほどではないであろう。

Q.(水晶体弾性を増加させる)治験点眼薬はどういう機序か?
A.水晶体のリポイックアシッドによる水晶体クリスタリン蛋白の架橋を断つことによって、水晶体の弾力性を取り戻す。

Q.ピロカルピンを入れてると、かつてよく散瞳不良例が見られたがどうか?
A.治験薬は消炎剤を組み合わせて、散瞳不良を防いでいるようである。

Q.シナジーとパンオプティクスの使い分けは?
A.患者さんに選択肢を任せる。3焦点指名ならパンオプティクス、より近くが見える方が良い and/or 新しく出たレンズがよいならシナジー


2023/1/24追記

某製薬会社が老眼点眼に興味がある由で当院を訪問されました。
ノバルティスが開発断念したこともご存じで、かなり研究されている様子でした。
遠からず、Vuityの国産品が発売されるかもしれません。

老眼対策の点眼薬(副作用の対策)

1%サンピロを投与している患者さんで充血、頭痛を訴える人がいる。
やや、女性の方に多い印象である。

自己実験してみた。

←は点眼なし、→は1%サンピロ点眼5分後

コリン作動薬であるから、充血はするだろうし、血中に入れば頭痛も起こりうるだろう。しかし、かつて緑内障治療薬として処方していた頃には聞かなかったと記憶する。

緑内障治療している場合と、健康体に処方している場合では、副作用に対する感受度が異なるのかもしれない。


対策は、

  • 涙点を1分程度は抑える。
  • 濃度を0.5%に下げて、点眼回数は増やす。

ただ、点眼を続けていくうちに馴れてくるようです。

老眼対策の点眼薬(濃度別のサンピロ体験報告)

市販のサンピロは0.5%、1%、2%にくわえて、Vuityと同じ濃度の1.25%を自家調合して効果を比較実験しました。ただしn=1(女性、軽度老眼、正視眼)です。

0.5%サンピロはほとんど効いてないですね。1%サンピロは1.25%ピロカルピン、すなわちVuityとほぼ変わらないようです。2%だと頭痛などの副作用が出やすい様子。


 僕の想像ですが、「Vuity製薬会社も試行錯誤してほぼ1%あたりに至適濃度をみとめた。だけど、1%サンピロと同じものを販売すればコマーシャル的に、かつ法的に問題となるので、頭痛が出ない程度の濃度として1.25%を選んだ」あたりが真相ではないかぃな?

老眼対策の点眼薬(追加報告、および、希望者への頒布手順)

被験者約1名(女性、軽度老眼、正視眼)から、詳細な追加報告を頂戴したので、お報せします。

追加報告

1.方法

サンピロ1%点眼液を、両眼に1滴ずつさし、文字が読める最短距離を計測。視標は、求人フリーペーパー タウンワークの本文(赤丸部分)の小さい文字とした。

2.結果

3.個人感想談

  • 点眼後1時間~3時間は、裸眼で老眼鏡+1.0をかけたたのと同じくらい見えることが分かった。
  • 5時間でほぼ元に戻るため、5時間後に再度点眼すると、同じような結果になった。
  • サンピロ1%を、、朝・昼の1日2回点眼することで、度数の低い老眼鏡で快適に手元作業が出来た。

希望者への頒布手順

問い合わせが多いので、サンピロを老眼対策として処方してよいのかを兵庫県保険医協会の法務部に問い合わせたところ、

  1. ラベルオフ使用なので保険診察は不可。自費診療のみ可能である。その場合でも、処方医師が責任を持ち、承諾書をもらうこと。
  2. オンライン診療も自費であれば可能。その場合、薬の受け渡しは①自費処方箋なら可能。②薬品そのものは送付は今まで不可であったが、だんだん規制が甘くなって、現在では品質管理に留意すれば可能となった。

以上から、当院では、

  • 初回は必ず対面診察を自費診療で行い、同意承諾書に御署名いただく。⇒ 初回の自費診療代金は2950円。点眼薬は税込み330円。
  • 二回目以降はオンライン自費診療可能で、希望なら薬そのものも送付させていただく。 ⇒ 二回目以降はオンライン自費診療代金1950円。点眼薬は税込み330円。

といたします。

老眼対策の点眼薬(体験談)

老眼対策のVUITY™ (pilocarpine HCI ophthalmic solution) の記事は、反響が大きかったので、被験者約1名(女性、軽度老眼、正視眼)に、自費診療で体験してもらった。

遠近両用コンタクトの場合にはどうしても遠方視時のWaxyVision(ぼやけた見え方)が気になるということだったので、

  • +0.5Dのコンタクト+1.0%サンピロ
  • +1.0Dのコンタクト+1.0%サンピロ

を比較してもらった。

彼女の感想は、以下の通りです。

★+0.5遠視用レンズ & 1.0%ピロカルピン

(近く)
そこそこ見える。
裸眼でPCモニターやスマホもある程度見える。
小さい字は見えない。

(遠く)
少しぼやけるが問題ないレベル。
運転も問題なし。

(トータル)
遠近両用コンタクトレンズの近くも遠くももやのかかったような感じがなく自然にちかい。
1年前の老眼の進み具合に戻った感じ。

★+1.0遠視用レンズ & 1.0%ピロカルピン

(近く)
くっきりはっきりめちゃくちゃよく見える。
遠近両用コンタクトレンズ(+2.50)よりも断然よく見える。

(遠く)
かなりぼやける。視力としては0.4か0.5くらいの印象。
運転できるけど、やや不安な感じ。遠近両用コンタクトレンズの遠くの見え方よりも劣る。

(トータル)
完全デスクワークで電車通勤ならいいと思う。

+0.5遠視用レンズ & 1.0%ピロカルピン が、具合良いようです。

トライアルご希望の方は、お申し付けください。自費診療扱いとなります。

老眼対策の点眼薬

こういう記事 をみたので、老眼に悩む患者さんに朗報と思って調べてみました。

ここに書いてあるように、点眼薬は、「VUITY™ (pilocarpine HCI ophthalmic solution) 1.25%」というものです。

つまり、昔からある緑内障の点眼薬のサンピロを1.25%で調合しました!て感じですね。

縮瞳によるピンホール効果で焦点深度が増して近見がみえるというあたり、EDoFの眼内レンズを思わせるものがある。

当院でもかつて、処方したことがあるけども、当然暗く感じるので、患者さんからの評価は微妙であったと記憶する。

試してみたい方は、当院でお申し付けください。