3Dプリンター導入記

3Dプリンタで、院外受付機とか院内備品を作れたら素晴らしいんでは?と考えPrusa MK4を購入しました。

「全て工作」が流儀らしいんだが、ヘナチョコなので完成品を輸入した。。
つもりが、「エンクロージャは自分で組み立ててね😊」と斜め上の製品仕様につき、結局、数日以上を費やしました。


使用方法(ソフトウェア対応)

「製作用のstlデータをthingiverseprintablesからダウンロード and/or 360Fusionで作成 →PrusaSlicerでg-codeに変換→PrusaConnectにアップロードして印刷」
これは、簡単。

目詰まり対処(ハードウェア対応)

印刷開始でいきなり目詰まり😒よくあることらしい。
1.バイク用の0.4mm経の針金をnozzle下方から突っ込むか、太い針金を上から突っ込んでガシガシする。
2.だめなら、ノズルの交換か、nextruderの分解掃除
こっちは、とても面倒。


試作品

上記の3DBenchyなるものを印刷するのが、2Dプリンタのテストプリントに相当するらし。

受付機が印刷できたら、アップします。


参考サイト

3Dプリントが楽しくなる無料モデルデータサイト10選比較! | 3Dエンジン (deluxcombo.com)

学童の近視進行抑制2023

京都府立医大 稗田牧先生のご講演@兵庫県眼科医会特別講演
色々と目新しいことを、聴けました。


高次収差と眼軸長

動物実験では、ぼやけが強い(≒高次収差が強い)ほど眼軸長が延長する。しかし、近視矯正手段であるタオルソケラトロジー、多焦点CL,アトロピン点眼はいずれもぼやけが強くなる手段である。つまり、動物実験と臨床経験が矛盾する。
これについては「中央網膜では高次収差が少なく、周辺網膜では高次収差が多いほうが近視抑制に働くのではないか?」と稗田先生ご自身は想定しているとのことでした。


近視眼の特性

●Lens induced myopia
過矯正眼鏡が近視を進めることは、臨床経験上知られてきた。
今では、これは論文レベルで根拠がある。

●正視眼と近視眼の違い
正視眼のひとにプラスレンズを挿入すると、45分程度で眼軸長が短縮する!ところが、近視眼の人にプラスレンズを入れると眼軸長が延長する。
従って、近視では低矯正眼鏡であっても眼軸長延長の可能性がある。
近視は眼軸長の調節機序が働かず、眼軸長が伸びる一方という疾患なのかもしれない。


アトロピン点眼について

●アトロピン点眼の有効性について
日本人を対象とした研究では、0.01%アトロピンの点眼の有効性が、他国人(≒欧州人、シンガポール人)よりも出にくい。
なぜなのかを研究したところ、日本人は他国人よりも薄暮時の瞳孔径が大きいことが判明した。
すなわち、交感神経が優位気味だとアトロピンが効きにくにいということ。

●アトロピン点眼の濃度依存性
いままでは、アトロピンは濃度依存性にきくとされてきた(LAMP study)
2023年の米国発表では0.01%には効果があったが、0.025%では効果がなかった由。

●アトロピン点眼の近視予防効果
0.05%アトロピンを近視になる前に点眼すると、近視発症予防効果があることが判明した。

緑内障眼に対する多焦点眼内レンズの適応

2023/10/14 北里大学医療衛生部 神谷和孝教授@大阪眼科手術の会です。

前提の与件

日本眼科学会の公式見解:緑内障眼は多焦点レンズ挿入の除外対象

2焦点レンズ時代

かつての2焦点レンズのころはコントラスト感度の低下が著しかった。

3焦点レンズ・EDoFレンズ時代

3焦点レンズ、EDoFレンズと技術進展に伴い、最近ではコントラスト感度の低下はほとんど見られないという報告が増えてきている。

結論

  • 軽症例で、中心閾値低下がみられない。
  • ドライアイ、不正乱視、黄斑疾患がない。
  • 本人が希望

以上の条件が満たされるなら、緑内障眼でも挿入可能か?と風向きが変わりつつある。


追加
アイファガン点眼(交感神経α2作働薬)には縮瞳効果があり、グレハロ軽減に役立つ。

Synergyの目標ターゲット

PanOptixやアイハンスは、やや近視側に振るのが通説になってる。
しかしSynergyはやや遠視側に寄せる。

以下、大内雅之先生 TECNIS発売10周年記念講演から引用。

上図の3焦点はPanOptixでFirstNegative、SynergyはFirstPositiveといってます。

以前のエントリーに掲載した下図Defocus曲線を見れば、SynergyはPanOptixとくらべて±0.5Dでの傾きが非対称である。

ここで紹介した下図でも同様の傾向。

IOL BがPanOptix

結論

  • PanOptixの場合には近見がやや弱いので、FirstNegativeというのは臨床上よろしい。
  • 一方、Synergyは近見が強いし、Far非対称なのでFirstPositiveで運用するのが理にかなっている。

難治性黄斑円孔の治療

第25回兵庫県眼科フォーラム@ポートピアホテルを受講しました。


黄斑円孔は初回閉鎖率が95%に達する。

閉鎖しない5%については、内境界膜を近位網膜からはがしたうえで有形移植するという手法を採用しているということでした。


初回の円孔手術でも、かつてのように内境界膜を剥いて終わるのではなく、内境界膜を残して裏返しにかぶせるとか、↓のような各種組織を詰め物する手法が開発されている。

黄斑円孔は、ほぼ完治するステージに入ったということですね。