近視治療アトロピンの至適濃度

0.01%アトロピン点眼が世界標準なので、当院では1%アトロピンを100ml生理食塩水で希釈して作成しています。
商用マイオピンには0.025%が掲載されているので、至適な濃度についての文献を検索してみました。

この文献は、0.01%,0.025%,0.05%の濃度を比較しており

2年間の追跡の結果、等価球面度数の平均進行度はアトロピン0.05%群で0.55±0.86D(一対比較でのP=0.015)、0.025%群で0.85±0.73D(同P<0.001)、0.01%群で1.12±0.85D(同P=0.02)、眼軸長の平均変化度は0.39±0.35mm(同P=0.04)、0.50±0.33mm(同P<0.001)、0.59±0.38mm(同P=0.10)だった。

以上より、「0.05%アトロピンは0.01%アトロピンの倍の効果がある」と結論付けています。


当院でも、0.05%アトロピンを頒布予定です。

ミニウェル・レディ、ミニウェル・プロクサについて(2)

ミニウェル・レディの見え方について、日本語資料を入手しましたー。

夜間運転のシミュレーションは以下の通り。ハロー・グレアはほぼない。何なら単焦点レンズよりも少ないかしらん。

遠方から近方までの視力表の見え方シミュレーション。

さすがに、遠方の見え方は単焦点が一番よいかな。


今なぜ、このレンズが脚光を浴びているかについて考按する。

Sifi社からミニウェルがEDoFレンズの嚆矢として発売されたとき、巨人AMO社やALCON社も当然このレンズを研究したはず。しかし、市場投入するにあたって球面収差だけでは近見困難なので、回折格子を導入した。
 ↓
市場拡大に伴い副作用面に対する不満、すなわち光エネルギーのロスとかハログレが問題視されるようになった。
 ↓
温故知新的に球面収差onlyのミニウェルが見直された。Sifi社も近方不足は認識していたためproxaをWell Fusionとして発売した。
 ↓
意識高い系な人達が着目して盛上がってる + AMOやALCONも回折格子を持たないレンズ発売。⇐ いまここ。


適応についても、考按する。

「神経質な方、期待度が過度に高い方は避けた方がよい」である。ここから引用すると

considering a MINI WELL®, make sure you choose patients with appropriate psychological and clinical profiles. Ideally,
you’re looking for easy-going Generation X-ers, with relatively active lifestyles and realistic expectations for the surgical procedure. In addition, and critically, they should have healthy eyes – in particular a
healthy tear film and no dry eye syndrome (which is one of the main contributing factors to IOL failure).
イージーゴーイングなX世代の人たち(1960年代中盤から1970年代終盤に生まれた世代)で、活発なライフスタイル、現実的な期待度、眼疾患がない(特にドライアイがないこと)を対象者とするべきである。

しかしながら、現状このレンズを意識高く抱いてる人って、「神経質な方、期待度が過度に高い方」じゃね?と感じる。このレンズを採用するクリニック側は「自費診療」という∞リスクを負担する。患者さん側も、また然りである。

この供給サイドと需要サイドのスプレッドが、かなり開いてるので、高額な料金設定となる ⇒ ますます「期待度が過度に高い方」が対象となる、、のでは?

このスプレッドを最小化すべく、当院ではWell Fusion両眼100万円で応需します。

挿入動画


2022/6/14追記

輸入業者からWellFusionの追加資料。

Well Fusionの特徴と利点


2022/9/11追記

AMOテクニスのアイハンス眼内レンズについて │ 眼科医のブログ (tarumi.co.jp) の追記に書いたように片眼アイハンス、片眼クラリオンという呉越同舟セットが意外と好評である。Miniwell検討者も一度考慮すべきかも。

ミニウェル・レディ、ミニウェル・プロクサについて

ミニウェル・プロクサについて問い合わせがありましたので、ミニウェル・レディとの違いなど書きます。

ミニウェル・レディ

以前のエントリーより再掲↓

EDoF(焦点深度拡張型レンズ)の先駆けとなったレンズで、アラガン社のsymphonyがでるまではEDoFレンズの代表でした。その後の一連のEDoFの流行の発端を作ったレンズで、現在でも、一部手術者に絶大な人気があります。

それは「ハロー、グレア、単眼複視など、多焦点 IOL で一 番問題とされた問題点を大部分取り除くことに成功している」という大きな利点があるためです

ただし、やや近方視力が弱い。

日本国内で認可されていないために、手術代、診察代がすべて自費となり高価となる。という問題点があります。

保険適用、選定医療を用いるなら、似た性格のSymphony、ActiveFocusを用いることが多いです

静的固定レンズが多焦点性,焦点深度を拡張させるための手法としては,①回折格子,②屈折加入,③小開口,④球面収差,⑤コマ収差の 5 つの手法に限られています。①,②はすでに多焦点 IOL として用いられており、⑤は像質が不良であることより,実質的には①から④の手法が現実的です。その④の球面収差を利用した機構をもちいたものが MiniWell Ready です。光学的デザインにより焦点深度を伸ばすことを可能にし,連続的な焦点を実現しています。近方加入度数は 3.0D です。

ミニウェル・プロクサ

この記事によると、

CATANIA, Italy, Dec. 21, 2020 /PRNewswire/ — SIFI, a leading international eye care company, today announces the launch of the WELL FUSION™ system and the Mini WELL PROXA® intraocular lens, offering a novel solution that provides cataract patients the option to treat presbyopia with spectacle-free uninterrupted high-quality vision at all distances and in all lighting conditions.

2020/12/21、イタリアのSIFI社はミニウェルフュージョン、及び、ミニウェル・プロクサを発表した。白内障患者に全距離・全照度で高品質な見え方を提供し、老眼鏡を不要とします。

Well Fusion Systemを構成するミニウェル・レディとミニウェル・プロクサ

さらにWell Fusion Systemによると、

 ミニウェル・プロクサは、ミニウェル・レディと同技術を使った真のEDoFレンズである。ミニウェル・レディが苦手としていた近方を補完するので、ミニウェル・プロクサ(=Proxa=近方)なのである。
 ミニウェル・レディを優位眼に、ミニウェル・プロクサを非優位眼に入れることを「Well Fusion」と呼び、両者は補完的に働く。

 デフォーカスカーブは以下のとおりで、素晴らしい。

Well Fusion Systemのデフォーカスカーブ

 

 多焦点レンズ普及に伴い、その欠点であるハログレが問題視され、回折格子を持たず球面収差に解決策を求めるレンズが注目されつつある。
 既報のアイハンスvivityもその類のレンズである。
 今回のミニウェルフュージョンシステムは、球面収差やマイクロ・モノビジョンなどの概念を総動員した「てんこ盛り」レンズと云える。


 当院では、適応がある場合には全例アイハンスを挿入していますが、ミニウェル・レディ、および、ミニウェル・プロクサも選択肢とすることにしました。

また、ご報告します。

ZeissのMyoKids眼鏡 考

ZeissのMCレンズは発売中止だったはずだが、MyoKidsというブランド名で生き残っているらし、と既報した。

そこで、Zeissに直接話を聞いた。

先に言っとくと、この「MyoKidsというレンズは近視治療に役立ちそうな雰囲気の名前だが、医学的エビデンスはない」ということだった。


Zeissの近視対策眼鏡の変遷

初代が、いにしえのMCレンズで、Zeissが合併したソーラー社の製品。岡山大学で15%くらいの有効性であったが、ビミョーな評価なので沙汰やみになった由である。

2代目は正確にはMyoVisionといい、これが「同心円状に遠近度数を入れ込んだだけの老眼鏡レンズで効果がなかった」「有効性が明確に否定された」と逆の意味で有名なレンズ。
以下、あたらしい眼科2020年5月号から引用。

MyoVision(CarlZeiss Vision)として市販されるレンズは,平均30%の近視進行抑制効果を示した。しかしこの値は、近視の家族歴がある学童に限定した後付けのサブグループ分析から得られたものであった。

追試として国内では、家族歴のある学童に対象を限定して7大学共同でRCTが実施された。ところが期待に反して、屈折度、眼軸長いずれにおいても抑制効果はみられなかった。


3代目が件のMyoKidsで、設計は初代MCレンズと「基本同じで若干異なる」とのこと。2代目の同心円状配置ではない。初代よりいやましてエビデンスがなく、近視治療を一切謳っていない。

MyoKidsレンズのパターン配置

パンフレットには

眼鏡レンズによる近視のアイケアは、子供の近視の発症率の高まりにより、
ますます重要性を増しています。様々な治療法も提案されるなかで、眼鏡
レンズは最も実用的かつ消費者にとって選びやすい選択肢です。眼鏡レン
ズは市場に存在する近視コントロールプロトコルと併用することも可能です。

MyoKidsという命名といい、タイトロープを渡るがごとき戦略。。

あゝMCレンズ、以て瞑すべし哉。


2022/6/4追記。
Zeissから神戸でのMyoKids取り扱いにつき、以下ご連絡をいただきました:-)

予約優先でされている場合もございますので、お店に行かれる前に電話で確認して頂いた方がスムーズと思われます。

・グラスファクトリー神戸店・・・子供用フレームはございませんが、MyoKidsレンズ対応可能です。

神戸市中央区北長狭通2-5-12
TEL :078-392-3080   11:00~19:00、定休日:毎週水曜日

・マイスター大学堂・・・MyoKidsレンズ対応可能です。子供用フレームもご用意されております。

兵庫県神戸市中央区三宮センター街2丁目
TEL : 078-331-5542営業時間 :午前10:00~午後7:00  営業日:元日のみ休業

老眼対策の点眼薬(濃度別のサンピロ体験報告)

市販のサンピロは0.5%、1%、2%にくわえて、Vuityと同じ濃度の1.25%を自家調合して効果を比較実験しました。ただしn=1(女性、軽度老眼、正視眼)です。

0.5%サンピロはほとんど効いてないですね。1%サンピロは1.25%ピロカルピン、すなわちVuityとほぼ変わらないようです。2%だと頭痛などの副作用が出やすい様子。


 僕の想像ですが、「Vuity製薬会社も試行錯誤してほぼ1%あたりに至適濃度をみとめた。だけど、1%サンピロと同じものを販売すればコマーシャル的に、かつ法的に問題となるので、頭痛が出ない程度の濃度として1.25%を選んだ」あたりが真相ではないかぃな?

第4回日本近視学会総会に出席しました。

大阪のグランドフロントで開かれた近視学会に出席してきました。学会会長は京都大学の辻川明孝教授で、かつて、この大学出身の大御所が「近視治療は無意味で、早々に眼鏡を処方すべきである」とのたまっておられたことを思うと、隔世の感があります。

土曜セッションで”Cutting edge of myopia treatment”があり、その掉尾がオーストラリアメルボルン大学のMingguang He先生による”Repeated Low-level red-light therapy for myopia control in children”でした。
即ち、赤色光で近視治療であり、最後に持ってきたてことはこの治療が注目されてるということかしらん?

講演内容はOphthalmology誌に書かれてあったこととほぼ同じでしたが、なぜ赤色光が有用かについて

「赤色光が脈絡膜の血行を良くする ⇒ 脈絡膜の菲薄化を防ぐ⇒ 眼軸長の伸長を防ぐ。」という機序を想定している。



この「脈絡膜の菲薄化」は、学会バズワードで、慶応大Xiaoyan Jiang先生も

「バイオレット光がOPN5(ニューロプシン)を刺激することで脈絡膜肥厚を制御し、眼軸長伸長を抑制する。」ことをマウス実験で確認した。

ただし、

バイオレット光以外に赤緑青色光も試したが、赤色光、緑色光には全く効果がなく、青色光のみ弱いながらも効果を認めた。

って「赤色光で近視治療」説と、真逆?!

加えて、バイオレット学派曰く「バイオレット光は屋内、眼鏡装用でも遮られる」「したがって、屋外活動が大切である」
なれば 「赤色光は屋内にも到達するので、わざわざ照射するに及ばず」ともいえ、僕もバイオレット派に一票かな。。


その他、Zeissが製造中止したと思ってたMCレンズがMyoKidsとしてよみがえっている様子。

ただし、発表者のSaulius R. Varnas先生自身が35%くらいの有効度(と言っていたと思う)
つまりオルソケラトロジーやアトロピン点眼ほどには推してない印象でした。

この件は、Zeissの担当者に以前のMCレンズとどう違うのか聞く予定です。

下眼瞼たるみにヒアルロン酸を入れました。

下眼瞼がたるんで、疲れたように見えるので、美容外科でヒアルロン酸を入れてみました。

術後直後写真

「下眼瞼脱脂手術」を勧められたが、「貴重な組織は温存したい」といったところ、「ヒアルロン酸入れてみましょう」「手術の3~4割の効果かもしれない」となりました。

効果は7割以上ある。

術前写真
  • 注入したヒアルロン酸:アラガン社のジュビダームウルトラプラスXC 1本+レスチレン社のリド1本。0.5本残して4W後に修正用に使う。
  • 注入時の痛み:ちくちくした痛み。キシロカインゼリー塗布はほとんど意味なしだったが、小鼻横のキシロカイン皮下注射(31G)はよく効いた。

手技的にはとても簡単そうだったので、アラガンの講習を受けて、疼痛コントロールできれば、鏡見つつ自分で自分に注入できるんじゃね?と感じました。

赤色光による近視治療

短波長のバイオレットライトが近視を抑制するのは有名だが、赤色光も効果があるという発表(Ophthalmology誌)であったので、紹介します。

Participants: Two hundred sixty-four eligible children 8 to 13 years of age with myopia of cycloplegic spherical equivalent refraction (SER) of -1.00 to -5.00 diopters (D), astigmatism of 2.50 D or less, anisometropia of 1.50 D or less, and best-corrected visual acuity (BCVA) of 0.0 logarithm of the minimum angle of resolution or more were enrolled in July and August 2019. Follow-up was completed in September 2020.
Methods: Children were assigned randomly to the intervention group (RLRL treatment plus single-vision spectacle [SVS]) and the control group (SVS). The RLRL treatment was provided by a desktop light therapy device that emits red light of 650-nm wavelength at an illuminance level of approximately 1600 lux and a power of 0.29 mW for a 4-mm pupil (class I classification) and was administered at home under supervision of parents for 3 minutes per session, twice daily with a minimum interval of 4 hours, 5 days per week.

8歳〜13歳の近視264例で
「眼鏡装用+週5回1日2回3分ずつ赤色光を見る」
   vs
「眼鏡装用のみ」
を比較した。

その結果、

Results: Among 264 randomized participants, 246 children (93.2%) were included in the analysis (117 in the RLRL group and 129 in the SVS group). Adjusted 12-month axial elongation and SER progression were 0.13 mm (95% confidence interval [CI], 0.09-0.17mm) and -0.20 D (95% CI, -0.29 to -0.11D) for RLRL treatment and 0.38 mm (95% CI, 0.34-0.42 mm) and -0.79 D (95% CI, -0.88 to -0.69 D) for SVS treatment. The differences in axial elongation and SER progression were 0.26 mm (95% CI, 0.20-0.31 mm) and -0.59D (95% CI, -0.72 to -0.46 D) between the RLRL and SVS groups. No severe adverse events (sudden vision loss ≥2 lines or scotoma), functional visual loss indicated by BCVA, or structural damage seen on OCT scans were observed.

Conclusions: Repeated low-level red-light therapy is a promising alternative treatment for myopia control in children with good user acceptability and no documented functional or structural damage.

1年後

「眼鏡装用+週5回1日2回3分ずつ赤色光を見る」は眼軸長0.13mm伸長
   vs
「眼鏡装用のみ」は、眼軸長0.38mm伸長

「眼鏡装用+週5回1日2回3分ずつ赤色光を見る」は-0.20D進行
   vs
「眼鏡装用のみ」は、-0.79D進行

これは、坪田先生のバイオレットライト論文(cf.Table S2)よりも効果がある(ようにみえる)。650nmの赤色光ランプは簡単に製造でき、近視治療の朗報(かもしれない)。

↑で、奥歯にものを挟んでいる理由は

  • 論文にしては、結果の評価が甘い。結果の統計処理が記されていない。
  • 「安全性が確認された」がやけに強調されているあたり、以前紹介した鍼治療論文と近似している。

つまり、悠久の国由来の論文は、ひとしなみには評価しがたいなぁ~みたいな。。
全き個人の感想であります。

老眼対策の点眼薬(追加報告、および、希望者への頒布手順)

被験者約1名(女性、軽度老眼、正視眼)から、詳細な追加報告を頂戴したので、お報せします。

追加報告

1.方法

サンピロ1%点眼液を、両眼に1滴ずつさし、文字が読める最短距離を計測。視標は、求人フリーペーパー タウンワークの本文(赤丸部分)の小さい文字とした。

2.結果

3.個人感想談

  • 点眼後1時間~3時間は、裸眼で老眼鏡+1.0をかけたたのと同じくらい見えることが分かった。
  • 5時間でほぼ元に戻るため、5時間後に再度点眼すると、同じような結果になった。
  • サンピロ1%を、、朝・昼の1日2回点眼することで、度数の低い老眼鏡で快適に手元作業が出来た。

希望者への頒布手順

問い合わせが多いので、サンピロを老眼対策として処方してよいのかを兵庫県保険医協会の法務部に問い合わせたところ、

  1. ラベルオフ使用なので保険診察は不可。自費診療のみ可能である。その場合でも、処方医師が責任を持ち、承諾書をもらうこと。
  2. オンライン診療も自費であれば可能。その場合、薬の受け渡しは①自費処方箋なら可能。②薬品そのものは送付は今まで不可であったが、だんだん規制が甘くなって、現在では品質管理に留意すれば可能となった。

以上から、当院では、

  • 初回は必ず対面診察を自費診療で行い、同意承諾書に御署名いただく。⇒ 初回の自費診療代金は2950円。点眼薬は税込み330円。
  • 二回目以降はオンライン自費診療可能で、希望なら薬そのものも送付させていただく。 ⇒ 二回目以降はオンライン自費診療代金1950円。点眼薬は税込み330円。

といたします。

新世代超音波白内障手術装置のセンチュリオン導入について。

白内障手術を始めて以来、ずっとALCON社の手術装置を使っている。
その馴れ初めから、今回のセンチュリオン導入まで。


 

10thousand

勤務医時代は10thousandで、日本人は1万マスターといってた。永原御大がボトル高を80㎝以上にしてるときいて、45cmそこそこでやってた僕らはびっくりし、聖母病院まで押しかけて設定値を教えてもらったのを思い出す。

Legacy Everest 20000

開業初期はレガシーエヴェレスト20000。デフォルトで前房虚脱が実質的にほぼ起こらなくなった装置だった。「角膜熱傷を起こさないようにする」が当時の争点で、マックールシステムとか本当に角膜を冷却するアタッチメントが存在していた。
で、この角膜熱傷を防ぐ目的もありで、パルスモードの本格導入が始まった。それまでは「パルスモードは初心者モード、手術名人はコンティニュアスモードをセナ足で使いこなす」だったのである。
また、この装置の末期ごろにフレアチップとか特殊なチップが出現し、次世代の横ブレ振動の萌芽が見られた。

  

Infinity

現有機はinfinity。これは上記横ブレをozilモードとして昇華させたALCON渾身の名器である。infinity=∞=ozilモードの動きといいたいのな。
核片保持はよいし、角膜熱傷も起こさないしと、いいことづくめで、本当に開業医向けの手術装置であると感じいり、長年愛用してきたのである。

Centurion

しかし、Centurionを、2022日本眼科学会の機械展示で、触って乗り換える決断をしました。
ALCONの推しは、前房圧をモニタリングしてactiveに圧を負荷するActive Fluidics機能。「業界初です」ていってるんだが、実際はライバル社の〇〇〇であるし、そもそも前房虚脱とか一体いつの話?と、今まで食指が動かなかった。
僕がハンズオンで、感心したのは超音波発振そのものである。infinityよりもかなり洗練されている。ozilモードだとほとんど振動を感じないし、縦振動も全然違くて感銘した。これは実際に手術を行っている人間なら誰しも感じるだろう。
ALCONは、この点をもっと訴求したほうが良いんちゃう?


ALCONは、TOYOTAとかINTELという位置づけで安定感、安心感がある。
このまま、糟糠の妻と偕老同穴と成るかしらん、。。


2022/5/24追記。

Centurionでは「パルスモードではなくてコンティニュアスモードがデフォルトです」。パルスモードにしなくても「食いついがよく、かつ熱損傷も起こさない」なら、コンティニュアスモードのほうがむしろ効率UPで、良き!という結論。