新しい近視治療点眼薬(慶応大学とロート製薬の共同研究)

日経新聞に目薬で近視の進行抑制という記事が掲載されました。
アトロピンクロセチンとは異なる機序の新薬を、坪田先生とロート製薬が共同研究しているという内容。

ロート製薬に問い合わせ、下記のScleral PERK and ATF6 as targets of myopic axial elongation of mouse eyesを教えていただきました。


マウス実験で

endoplasmic reticulum(ER) stress(※)↑→ PERK and ATF6系の活性↑→眼軸長↑
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4-phenylbutyric acid (4-PBA)投与→endoplasmic reticulum(ER) stress↓→眼軸長↓
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4-phenylbutyric acid (4-PBA)は、近視治療に有望である。

と、いうのが2022/10発表の論文骨子である。

 

この度、国内第I相臨床試験(以下、「本試験」)に向けての準備が整いましたので、本試験を開始いたします。

と、いうのが2023/11発表の記事である。

 

坪田先生はベンチャー経営されているだけあって、動きが速いなと感心する。

ただ、violet lightといい、意外と実用化に時間かかる感じでありましょうか。


(※)小胞体の中に、折り畳み不全のタンパク質が蓄積したときに認められる状態のことをendoplasmic reticulum(ER) stressといい、4-phenylbutyric acid (4-PBA)は、この折り畳み不全タンパク質が正しく折りたたむのを手助けするchaperone(介添え人)として働くらしい💦

左は正常眼の強膜線維芽細胞、右は折り畳み不全のタンパク質が蓄積した近視眼の強膜線維芽細胞